あばくる、あばける
【標準語】皮膚が荒れる、酒席で乱れる、溢れる
【品詞】動詞
【意味】
(1)「皮膚が荒れる」の「あばくる」
《意味》出来物や虫刺されで皮膚が荒れる、腫れる、化膿する、だだれが広がる
《同義》あばかん、あばくる、あばける
《用例》
・蚊の喰うた所ば…掻きむしったろ?あんた…肌の弱かけんアバケトウが
→蚊に刺された所を…掻きむしったでしょ?あんた…肌が弱いからただれているよ
・傷のようなりかけようとい、とうば剥いたりして…せせくったらアバクルばい
→傷が良くなりかけているのに、瘡蓋をはがしたりして…いじったら化膿しちゃうぞ
・クワガタ虫ば捕りい行て…ハゼ負けで背中のえらいアバケテ、可哀そかごたあ
→クワガタ虫を捕りに行って…ハゼにかぶれて背中にただれが広がって、可哀そうだ
(2)「酒席で乱れる」の「あばくる」
《意味》酒に酔い常軌を失う、宴席で礼儀が乱れる
《同義》あばくる、あばける
《用例》
・普段な物静かで…大人しか人ばってん、酒癖の悪うして…いっつもアバケテおおごったい
→いつもは物静かで…大人しい人だけど、酒癖が悪くて…いつも酒で乱れて大変だよ
・飲まいたらいかんって言いよったろうが、あらあアバケテ…手い合わんごとなるっちゃが
→飲ませたらだめだと言ってただろ、あいつは酔って乱れて…手に負えなくなるんだよ
・覚えとらんと?昨日の宴会でアバケテ…ああた、ちんちん出して踊りよったっちゃが
→覚えてないの?昨日の宴会で酔って乱れて…あなた、ちんちん出して踊っていたのよ
(3)「溢れる」の「あばくる」
《意味》いっぱいで溢れる、こぼれる、器から溢れる
《同義》あばかん、あばくる、あばける
《類義》あばれこぼれ
《用例》
・ちょこっとでよかと…おらあ酒な弱かっちゃけん、そえんアバクルごと注ぎなんな
→ちょっとでいいんだ…俺は酒に弱いんだから、そんなに溢れるように注がないでよ
・風呂の湯はり機能の…そぜとう、お湯の湯船からアバレコボレしよる
→風呂の湯はり機能が…壊れている、お湯が湯船から溢れこぼれている
・この店の大盛な…すごか、カレーやらルウの皿からアバケルけん…客い盆ごと出しなあ
→この店の大盛は…凄い、カレーなんてルウが皿から溢れるので…客に盆ごと出すんだ
「あばくる」に関連することば
あばれこぼれ
【標準語】溢れかえる
【品詞】動詞
【意味】溢れてこぼれる、容器の容量を超える液体が注がれ溢れかえる
【参考】あばれこぼれ→あばける(溢れる)+こぼれ(こぼれる)→溢れかえる
【用例】
・うちゃあ…そえん飲みきらんと、そえんアバレコボレするごと…お酒ば注がんのって
→私は…そんなに飲めないの、そんなに溢れかえるように…お酒を注がないでよ
・タンクい水ば入れっぱなしいして…止むるとば忘れとったら、アバレコボレしよった
→タンクに水を入れっぱなしにして、止めるのを忘れてたら、溢れてかえっていた
・おらあ…湯船いっぱいい張って、入ったときい…お湯のアバレコボレするとが好いとうと
→俺は…湯船いっぱいに張って、入ったときに…お湯が溢れかえるのが好きなんだ
イラストによる用例解説(その1)
【翻訳】
「嫌だーっ、知らないうちに…虫刺されが化膿している!」
イラストによる用例解説(その2)
【翻訳】
「酔ったら乱れちゃうから!課長に飲ませたら駄目よって言ってたでしょ…」
「知らなかったのよ!」
「知らないでしょ、これからが…ものすごく、しつこくなるの!」
【博多・糸島弁検索】
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