いたらん、いらん、ひんず
【標準語】余計な、迷惑な
【品詞】形容動詞
【意味】
(1)「余計な」の「いたらん」
《意味》必要でない、いらない、不要な
《参考》「~こと」「~もの(もん)」を連用して使う
・「~こと」の連用:いたらんこと、いらんこと、ひんずいこと…(意味)余計なこと
・「~もの」の連用:いたらんもん、いらんもん、ひんずいもん…(意味)余計なもの
《用例》
・わがひとりの力で…問題ば解きようとい、イタランコト…答えば言いなんな
→自分ひとりの力で…問題を解いているのに、必要ないのに…答えを言うなよ
・わっか娘が、あんか男い…イランコトうてあいなんな、ひきそざさるるばい
→若い娘が、あんな男に…必要ないのに相手にするなよ、不良の道に引っ張り込まれるぞ
・コロナ禍で…商売のやおいかんとい、お礼ば包むやら…ヒンズイコッタイ
→コロナ禍で…商売が大変なのに、謝金を持参するなんて…余計なことだ
(2)「迷惑な」の「いたらん」
《意味》邪魔な、つまらない、くだらない
《参考》「~こと」「~もの(もん)」を連用して使う
・「~こと」の連用:いたらんこと、いらんこと、ひんずいこと…(意味)迷惑なこと
・「~もの」の連用:いたらんもん、いらんもん、ひんずいもん…(意味)迷惑なもの
《用例》
・あんたい…宅配便の来とったばい、まーた、イタランモンば…買うたっちゃなかな?
→あなたに…宅配便が来てたわよ、また、余計なものを…買ったんじゃないの?
・おらあ…上司ぜ、好かんけんって…イランモン扱いしたら、こなすぞ
→俺は…上司だぞ、嫌いだからって…邪魔者扱いにしたら、いじめてやるぞ
・昔の金庫ば開けたんだあ、ぜんにならん書類やら…ヒンズナモンしか入っとらんやった
→昔の金庫を開けてみたら、金にならない書類など…いらないものしか入ってなかった
【同義】いたらん、いらん、ひんずい
【参考】ことばの由来
・「いたらん」:由来は「至らぬ」、不十分であることの意
・「いらん」:由来は「要らぬ」、必要ないの意
・「ひんずい」:由来は京ことばの「平頭(ひんず)」、予期しないの意、語源は不明
・いたらん・いらん・ひんずな(余計な、迷惑な)+こと(事)
・いたらん・いらん・ひんずな(余計な、迷惑な)+もん・もの(物・者)
イラストによる用例解説
【翻訳】
「脱税をされているかもとの情報がありますので、税務調査に来ています」
「階段の裏に金庫なんてありません!脱税なんかしていません!これは見せられません!」
「よ・余計なこと言うな!よ・余計なもの出すな?うわっ…うわああ、どうしよう、終わったみたいだ」
「金庫発見」
【博多・糸島弁検索】
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