いっぱい、うんと、うんとこ、ええしと、たいそ、たいそう、ようけ、ようけえ

【標準語】たくさん、はなはだしく

【品詞】副詞

【意味】

(1)「たくさん」の「たいそ」

《意味》多く、たくさん、あまた、数量が多いこと

《同義》いっぱい、うんと、うんとこ、ええしこ、たいそ、たいそう、ようけ、ようけえ

《用例》

・イッパイ食うて…大きゅうならなあ、ばってん取るたあ…100円の皿いしとっちゃんない
 →たくさん食って…大きくならなきゃ、でも取るのは…100円の皿にしといてくれ

・運動して…ウントコ汗ば流いたっちゃ、そえんウントビール飲うだら…なあもならん
 →運動して…たくさん汗を流しても、そんなに大量にビール飲んだら…何にもならない

・ジャガイモば…やるけん、エエシコ持って行き
 →ジャガイモを…あげるから、たくさん持って行って

・あっちゃあ…タイソ犬ば飼うちゃあけん、餌代の…えらいタイソウかかるげな
 →あちらは…たくさんイヌを飼ってるので、餌代が…すごくたくさんかかるそうだ

・ジャガイモのヨウケ採れたけん、やろう…遠慮せんでヨウケエ持って行きんしゃい
 →ジャガイモがたくさん採れたので、あげる…遠慮せずにたくさん持ってってちょうだい

(2)「はなはだしい」の「たいそ」

《意味》たいへんな、非常に、とても、大仰な

《同義》たいそ、たいそう

《用例》

・投資しとった会社のこきたあれたって?顔色の悪かが…イッパイ損ばしたごたるね
 →投資していた会社が倒産したって?顔色が悪いけど…大変な損をしたようだね

・補助金ば出しますけん、ウント稼いで…ウントコ税金ば納めちゃんなっせい
 →補助金を出しますから、すごく稼いで…驚くほど税金を納めてくださいな

・2年前い買うとった…原画、作家の世界的い人気の出て、今あエエシコな値段げなよ
 →2年前い買ってた…原画、作家が世界的に人気が出て、今はもの凄い値段らしいよ

・あんた、彼氏ば振ったと?彼氏なタイソウ落ち込うで、タイソ泣きよんなったよ
 →あなた、彼氏を振ったの?彼氏がとても落ち込んで、ひどく泣いていたよ

・親あ…心配困憊やったぜ、起業したんだあ…ヨウケ稼いで、ヨウケエ親孝行せなあぜ
 →親は…心配で憔悴してたぞ、起業したら…無茶苦茶稼いで、すごく親孝行しないとな

【同義】いっぱい、うんと、うんとこ、ええしこ、たいそ、たいそう、ようけ、ようけえ

【対義】ちょこっと、ちびっと

同義語の由来と詳細

(1)「いっぱい」について

・由来は「一杯」で、標準語でも「たくさん」の意を持つ

・ただし、容量に対する「たくさん」で「あまた」の意はなく、ニュアンスが違う

《用例》

・イッパイ食うて…大きゅうならなあ、ばってん取るたあ…100円の皿いしとっちゃんない
 →たくさん食って…大きくならなきゃ、でも取るのは…100円の皿にしといてくれ

・この家な…ゴッカブローのイッパイおる、床下ば見たら…ゾゴゾゴするごとおった
 →この家は…ゴキブリがたくさんいる、床下を見たら…悪寒が走るようにいた

(2)「うんと・うんとこ」について

・由来は不明、標準語では重いものを持ち上げるときなどの掛け声、唸り声

・「うんと」と声を出さないと運べないほど、たくさんの意味か?

《用例》

・船越のおいさん方から…牡蠣棒ばウントもろうたけん、よかしこ持っていっちゃり
 →船越のおじさんちから…牡蠣をたくさんもらったので、よいだけ持っていって頂戴

・今日な…朝からウントコ仕事したけん、ご褒美な発泡酒やのうして…ビールば飲むけん
 →今日は…朝からたくさん仕事したから、ご褒美は発泡酒じゃなくて…ビールを飲むから

(3)「ええしこ」について

・由来は不明、「よいだけ」の意の方言「よかしこ」の音変異と思われる

・「ええしこ」→「よいだけ」→「いるだけ、たくさん」→「たくさん」と想定

《用例》

・タマネギの品薄んとい…うちゃあ運良う豊作で、エエシコ儲かって…笑おうごたあ
 →タマネギが品薄なのに…うちは運良く豊作で、たくさん儲かって…笑っちゃいそう

・ジャガイモのたいそ採れたけん、持って行き…遠慮せんでエエシコ持って行きんしゃい
 →ジャガイモがたくさん採れたので、持って行って…遠慮せずにたくさん持ってってよ

(4)「たいそ・たいそう」について

・由来は「大層(たいそう)」の音変異

・全国的に広く使われる方言

《用例》

・あっちゃあ…タイソ犬ば飼うちゃあけん、餌代の…えらいタイソウかかるげな
 →あちらは…たくさんイヌを飼ってるので、餌代が…すごくたくさんかかるそうだ

・おまやぁ…先輩い何ば言うたとや?タイソウはらかいて…くらすって言いよんなったぜ
 →お前は…先輩に何を言ったんだ?とても怒ってて…ぶん殴るって言ってたぞ

(5)「ようけ・ようけえ」について

・由来は「余計(よけい)」の音変異

・中部から関西、九州にかけて全国的に使われる。「ようけい」で使われる場合が多い

《用例》

・アジコばヨウケもろうた、食いきれんけん南蛮漬けなっと作ってんどう
 →アジをたくさん貰った、食べきれないので南蛮漬けでも作ってみよう

・牧のうどんば3杯やら…あんたんごと、そえんヨウケエ食うたあ…おらんぜ
 →牧のうどんを3杯なんて…あなたのように、そんなたくさん食う人は…いないよ

■TOP画面に戻る
■「知っとう、博多・糸島弁」に戻る

イラストによる用例解説

【翻訳】
「たくさん釣れたから…食べてちょうだい」
「こんなにたくさん貰っても…婆さんと2人だから、食べきれないよ…重たいよぉー」

【翻訳】
《たいそう1》
「女子からチョコをもらった」
「まあ…たくさん」
「俺はモテなかったのに…本当に俺の子供なのか?」


《たいそう2》
「どうしちゃったの?」
「ひどく気落ちしている…フラれたそうな」
「ぐぐっ」


【翻訳】

《ようけい》
「あなた…そんなにたくさん喰って…大丈夫かい?」
「私は大食い女王ですよ…どんどん持って来てちょうだい!」

《ようけ》
「そんなにたくさん喰ったら…うんちもたくさん出るんでしょうなぁ?」
「もちのろん!うんこもたくさん出ますわよ」
「製糞機女王でも、あるんですねぇ」

■TOP画面に戻る
■「知っとう、博多・糸島弁」に戻る

【博多・糸島弁検索】

あ(ア) い(イ) う(ウ) え(エ) お(オ)
か(カ) き(キ) く(ク) け(ケ) こ(コ)
さ(サ) し(シ) す(ス) せ(セ) そ(ソ
た(タ) ち(チ) つ(ツ) て(テ) と(ト)
な(ナ) に(ニ) ぬ(ヌ) ね(ネ) の(ノ)
は(ハ) ひ(ヒ ふ(フ) へ(ヘ) ほ(ホ)
ま(マ) み(ミ) む(ム) め(メ) も(モ)
や(ヤ)   ゆ(ユ)   よ(ヨ)
ら(ラ) り(リ) る(ル) れ(レ) ろ(ロ)
わ(ワ)       ん(ン)