こかす

【標準語】落とす、倒す、ずらす、くすねる

【品詞】動詞

【意味】

(1)「落とす」の「こかす」

《意味》落ちさせる、垂らす、下げる、堕胎する、放出する

《参考》

・「こく」:意味(ほざく、放出する)の活用

・屁をこかす:屁を放出する

《用例》

・せっかく…落とし穴ば掘ったけん、あいつば呼んで来…ここいコカイちゃろう
 →せっかく…落とし穴を掘ったから、あいつを呼んで来て…ここに落としてやろう

・レスキューな…すごかねぇ、屋上からロープばコカシテ…忍者のごと降りてきなった
 →レスキューは…すごいなあ、屋上からロープを垂らして…忍者のように降りてきた

・俺とお前な…さあきからイモば食いようが、どっちが先い…屁ばコカスと思う?
 →俺とお前は…さっきからイモを食ってるが、どちらが先に…屁を放出すると思う?

(2)「倒す」の「こかす」

《意味》立っている物を横にする、寝かす、転ばす、転倒させる、殴る、やっつける

《参考》「こかす」を使った言葉

・ぼてくりこかす:ぼてくり(ぼこぼこに)+こかす(倒す)→ボコボコに殴り倒す

《用例》

・ボーリングな…1投目でたいそピンばコカイテ、2投目で残りば全部コカスとたい
 →ボーリングは…1投目でたくさんのピンを倒して、2投目で残りを全部倒すんだ

・あんたの息子な…悪そうやねえ、女の子ばわざとコカイテ…泣かせよるばい
 →あんたの息子は…悪童だなあ、女の子をわざと転倒させて…泣かせてるぞ

・あらあ横着っか…先輩い挨拶もせん、一回コカサなあ…分からんとのごたあ
 →あいつは横着だ…先輩に挨拶もしない。一回殴らないと…分からないようだな

(3)「ずらす」の「こかす」

《意味》後にやる、後回しにする

《用例》

・急ぎの仕事の入ったけん、今の作業ばコカイテ…こっちば先いしちゃらんな
 →急ぎの仕事が入ったから、今の作業を後回しにして…こちらを先にしてくれないか

・そこい置いたら…冷蔵庫の入らんけん、まちっと…10cmばかし右いコカイテ
 →そこに置いたら…冷蔵庫が入らないので、もう少し…10cmほど右にずらして

・あら…人のよかけん、頼まれたんだあ我が用なコカス…家族なよか迷惑やもん
 →あいつ…人が好いから、頼まれたら自分の用は後回し…家族はいい迷惑だよ

(4)「くすねる」の「こかす」

《意味》ひそかに着服する

《同義》けっぱる

《用例》

・会計責任者の…積立金ばコカイて、マンション管理組合な…おおごといなっとう
 →会計責任者が…積立金を着服して、マンション管理組合は…大変なことになっている

・店の経営ば任いとったら…大赤字、調べたんだあ…店長の売り上げばケッパットッタ
 →店の経営を任せてたら…大赤字、調べたら…店長が売り上げをくすねていた

・役場の出納課長の…逮捕されたげな、愛人に貢ぐとい…12億円もコカイトウげな
 →役場の出納課長が…逮捕されたそうだ、愛人に貢ぐのに…12億円も着服したらしい

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イラストによる用例解説

 

【翻訳】
「倒した方が相撲大会に出られるそうだ」
「すごーい熱戦だねえ」
「行け‼ぶん投げろ!」

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「こかす」に関連する言葉

こくる、こける

【標準語】転ぶ、崩れる、老ける

【品詞】動詞

【意味】

(1)「転ぶ」の「こける」

《意味》倒れる、落ちる

《用例》

・駅の階段でコケテ…痛うしてたまらんけん、病院い行たら…足の骨の折しょれとった
 →駅の階段で転んで…痛くてたまらないので、病院に行ったら…足の骨が折れていた

・年やねぇ…運動会の保護者リレーい出たが、足のついていかんで…コケッしもうた
 →年だなぁ…運動会の保護者リレーに出たけど、足がついていかずに…転倒しちゃった

・フラフラいなるごと…酒飲うで、さりくりコケテ…気絶して救急車で運ばれなった
 →フラフラになるほど…酒飲んで、激しく転倒して…気絶して救急車で運ばれちゃった

(2)「崩れる」の「こける」

《意味》壊れる、ご和算になる、駄目になる

《用例》

・契約の話やろ?うもう行きよったが、相手の会社の不渡り食らうて…コケタったな
 →契約の話だろ?うまく行ってただ、相手の会社が不渡り食らって…駄目になったんだ

・見とってん…えらい儲け出しよんなあが、あえな商売しよったら…さっちコケル
 →見ててごらん…すごく儲かっているけど、あんな商売してたら…必ず倒産する

・結納まで行ったとい…結婚なコケとうと、どうも男の方い…隠し子のおったとげな
 →結納まで行ったのに…結婚はご和算だ、どうも男の方に…隠し子がいたらしい

(3)「老いる」の「こける」

《意味》年寄りになる、老ける

《参考》

・「こっけ」は「老いた」や「老けた」の意だが、小馬鹿にした言い方

・「こっけじじい、こっけばばあ」→「老いぼれ爺、老いぼれ婆」→「くそ爺、クソ婆」

《用例》

・わっかときゃあ…好か男やったが、コケテ髪なのうなって…こっけ爺いなんなった
 →若い時は…好い男だったけど、老けて髪は無くなって…老いぼれ爺になっちゃった

・ああたっちゃ…愛らしかったとい、コケテ顔な皺ごんちゃく…こっけ婆いなっとろうが
 →あなたも…可愛かったのに、老けて顔は皺だらけ…老いぼれ婆になってるだろ

・わっかときゃ…ギラギラしとったが、コケタら脂の抜けて…渋か紳士のごとなっとう
 →若い時は…ギラギラしてたけど、老いたら脂が抜けて…渋い紳士のようになっている

【同義】こくる、こける

【参考】由来は「転げる(ころげる)」の音変異

「こける」を使った言葉

さりくりこくる、さりくりこける、さりこくる、さりこける、されこける

【標準語】転倒する

【品詞】動詞

【意味】ひどく転倒する、つまずいてもんどりうって倒れる

【参考】

・「さりくりこける」→さりくり(ひどく(強調の接頭語))+こける(転ぶ)

・「さりこくる、さりこける、されこける」は「さりくりこける」の音変異

・ひどく落ちることは「さりくりこける」とは言わず「さりくりおちる」という

【用例】

・万引きば…追いかけよったら、足のもつれてサリクリコケテ…大けがしたと
 →万引きを…追いかけてたら、足がもつれてもんどりうって倒れて…大けがしたんだ

・駅の階段でサリコケテ…野次馬い囲まれて、恥ずかしかばってん…いごかれんと
 →駅の階段で激しく転倒し…野次馬に囲まれて、恥ずかしいけど…動けないんだ

・スケート場で…もちょう思うて、つやつけて滑りよったが…サレコケっしもうた
 →スケート場で…モテようと思って、カッコつけて滑ってたら…ひどく転倒しちゃった

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