「は(ハ)」の博多・糸島弁
1 | ~ば 《詳しくはこちら》 |
【標準語】を 【意味等】~を、~をば 【参考】体言に付いて目的格を示す ・~をば(「を(格助詞)」+「は(係助詞)」の「を」が略されたもの〕 ・~を(係助詞:「を(格助詞)」と同意だが「を」の付いた体言を多少強調する) 【関連】九州弁を代表する語彙だが、東北や北海道の一部地域でも使われる 【用例】「~ば」を使った短い言い回し ・「しょうゆバ取っちゃらん?」→「しょうゆを取ってくれない?」 ・「あたきゃ…ああたバ好いとう」→「私は…あなたが好きです」 ・「エッチかビデオバ観よったろ?」→「エッチなビデオを観てただろ?」 |
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2 | ばあか |
【標準語】違う 【意味等】そうじゃない(相手の思い違いや間違いを、軽くたしなめる言い方) 【参考】友達など相当に気心が知れた(同格または目上から目下に)間で使う 【用例】「バアカ…違あ、鬼ヶ島い行たたあ桃太郎…金太郎やなか」 →「そうじゃないよ…違う、鬼ヶ島に行ったのは桃太郎…金太郎じゃないよ」 |
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3 | ばあこいた |
【標準語】だめになった 【意味等】ご和算になった、仕舞になった 【参考】双方または一方に不都合や差支えが発生し、物事が駄目になること 【用例】「予定しとったレストランでの婚活パーティー、コロナ禍でパアコイタ」 →「予定していたレストランでの婚活パーティー、コロナ禍で中止になった」 |
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4 | ばあばあ |
【標準語】お婆さん(幼児語) 【意味等】祖母、婆、お婆ちゃん 【用例】「バアバアって言いなんな…あたきゃまーだ40歳ばい、おば様って言いない」 →「お婆ちゃんて言わないで…私はまだ40歳だよ、おば様って言いなさい」 |
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5 | ハイ |
【標準語】ハエ 【意味等】蠅、ハエ目(双翅目)ハエ亜目(短角亜目)環縫短角群ハエ下目に属する昆虫の総称、衛生害虫また農業害虫の双方の側面で害虫とみなされることが多い 【用例】「遠足で弁当ば食べよったら、牧場やけんハイのたいそおると…好かーん」 →「遠足で弁当を食べてたら、牧場なのでハエがたくさんいるの…嫌ーっ」 |
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6 | ~ばい 《詳しくはこちら》 |
【標準語】~ぞ 【意味等】~よ、~だよ 【参考】文末にあって軽く念をおすような詠嘆を表す、強調する接尾語 ・断定や詠嘆のニュアンスがある「~は(終助詞)」が転じたもの ・文末に用いて強い詠嘆の意を表す「~はや(古語)」が転じたもの 【同義】~ばい、~ばな 【類義】~たい、~たな(文末にあって軽く念を押す・判断をするような気持を示す) 【関連】「~ばい」を使った言葉:~ばいな 《意味》~だそうな 《参考》「~ばい」の想定、根拠や理由のある推量を表す 《用例》「ホークスな、今日…勝ったら優勝やけん、夜なお祝いのビールかけバイナ」 →「ホークスは、今日…勝ったら優勝なので、夜はお祝いのビールかけだそうな」 【用例】「~ばい、~ばな」を使った短い言い回し ・「そらあ、うちんとバイ」→「それは、私の物だよ」 ・「あたきゃ…ああたば好いとうバナ」→「私は…あなたが好きだよ」 ・「そんくらい知っとうバイ」→「それくらい知ってるよ」 |
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7 | ぱい |
【標準語】捨てる(幼児語) 【意味等】捨てる、投げ捨てる 【参考】ぱいする→捨てる、ぱいしんしゃい→捨てなさい 【関連】大阪弁で「ちゃい」、「ほかす、ほうる」の幼児語 【用例】「ゴミばどこいやらパイせんと。親な誰な?子供の…しつけのなっとらん」 →「ゴミをどこにでも捨てなさんな。親は誰だい?子供の…しつけがなってない」 |
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8 | はいすご |
【標準語】ふご(農業用語) 【意味等】もっこ、縄やわらで編んだ土などを運ぶかご 【参考】むしろの四隅に釣り紐をつけて野菜や肥料などを入れて運ぶ用具 |
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9 | ばいた |
【標準語】背板 【意味等】丸い材を方形にひき割ったあとに残る板、片面に丸みのある板 |
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10 | ばいな 《詳しくはこちら》 |
【標準語】~だそうな 【意味等】~だそうだよ 【参考】「~ばい」の想定、根拠や理由のある推量を表す |
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11 | はいや |
【標準語】堆肥舎(農業用語) 【意味等】雑草や廃物、家畜糞尿などを発酵させ、肥料として再利用するための建物 【参考】有機肥料の活用と資源循環型の環境農業として、広く取り組まれている |
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12 | はいらず |
【標準語】蠅帳 【意味等】食品を虫から守るための器具 【参考】折りたたみタイプと家具タイプがある ・折りたたみタイプ(食卓にかぶせて一時的に保存する) 《形状》網で作られた傘状の開閉できる器具 《参考》食卓傘やランチパラソルなどと呼ばれる ・家具タイプ(害虫や猫などから食品を守る) 《形状》金網等を張って食物や食器を保管できるようにした家具 《参考》通気性があり、冷蔵庫が普及するまでは食品保管の主力であった 【関連】別名「はえいらず(蠅入らず)」とも言い、それが転じたようである |
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13 | はいるところがなか |
【標準語】満腹になる 【意味等】腹いっぱいになる 【用例】「デザートな別腹って言うばってん、食い過ぎた…もうハイルトコロガナカ」 →「デザートは別腹って言うけど、食べ過ぎた…もうお腹いっぱいだ」 |
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14 | はえ |
【標準語】南風、南 【意味等】「南風」と書いて「はえ」と読む 1)「南風」のはえ 《意味》南の方から吹いてくる風(南風、南東の風、南西の風) 《同義》はえ、はやのかぜ、はやんかぜ 《参考》4月から8月にかけて吹く夏の季節風、沖縄を中心に九州各地で使われる ・梅雨どきの雨を伴って吹く南風を「黒南風(くろはえ)」 ・梅雨明け後の真夏の晴天時に吹く風を「白南風(しらはえ)」 《関連》漁師たちは「はえ」が吹いたら天候の変化の前兆として警戒する ・荒れ模様の天気を伴う南風を「荒南風(あらばえ)」という ・梅雨明けごろ、この風が吹き続けると海が荒れて出漁できなくなる →「五斗食い風(福岡市志賀島)」五斗の米を食べ終わるまで出漁できない →「六俵バエ(佐賀県東松浦半島)」六俵の米を食べ終わるまで出漁できない 《関連》南風により打ち寄せてくる白波のことも「はえ」という 2)「南」のはえ 《意味》南方、真昼に太陽のある方 【関連】「はえ」を使った言葉:はえぐも 《意味》南から来る雲 |
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15 | はえかぶる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】伸び放題 【意味等】髪の毛が長く伸びた様子、除草を怠り雑草が生い茂った様子 【参考】はえ(生える)+かぶる(被る)→髪や草が生えまくった状況 【用例】「正月いなりようとい…庭なハエカブッテ見たむなか、剪定なっとしない」 →「正月前というのに…庭は雑草が伸び放題で見ちゃおれん、剪定くらいしなさい」 |
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16 | はえぐも |
【標準語】南風雲 【意味等】南から流れてくる雲 【参考】はえ(南風)+くも(雲)→南風に吹かれて南から北へ漂流する雲 |
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17 | はえる |
【標準語】掃き捨てる 【意味等】ごみやちりを掃いて捨てる 【参考】掃える(はらえる):掃え(已然形)+る(完了の助動詞の連体形)の音変異 【用例】「座敷の畳な、お茶っ葉ば撒いてから…はえとって」 →「座敷の畳は、お茶っ葉を撒いてから…掃き捨ててちょうだい」 |
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18 | はか |
【標準語】分量 【意味等】仕事などの進み具合、やり終えた量、割り当てられた区画、目当て、あてど 【参考】漢字で「計」「量」「果」「捗」…計る(量る)ことの意 【関連】「はか」を使った言葉:はかのいく 《意味》はかどる、能率が上がる |
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19 | はがいか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】悔しい、歯痒い 【意味等】 1)「悔しい」のはがいか 《意味》残念だ、くちおしい 《参考》不満足な点が多くて心残りであること 《用例》「何て…嘘やろ、6点ば9回裏で逆転されてホークスの負けた?…ハガイカ」 →「何だと…嘘でしょ、6点を9回裏で逆転されてホークスが負けた?…悔しい」 2)「歯痒い」のはがいか 《意味》もどかしい、じれったい 《参考》思いどおりにならずにイライラすること 《用例》「まーだ終わらんと?ほんにい…ふうたんぬるか、見とってハガイカやねえ」 →「まーだ終わらないの?本当に…のろまだねえ、見ていてじれったいよ」 【同義】はがいか、はがいげなか、はがいたらしか(強い言い方) 【関連】腹立ちを表す方言について…強弱 (弱)「はがいか」<「ぐらぐらこく」<「はらかく」<「ぞうのきりわく」(強) |
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20 | はがいげなか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】悔しい、歯痒い 【意味等】「はがいか」に同じ 【参考】はがい(歯痒い)+げな(みたいな)+か(なあ:感嘆) |
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21 | はがいたらしか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】悔しい、歯痒い 【意味等】「はがいか」に同じ 【参考】はがい(歯痒い)+たらし(態らしい:強調)+か(なあ:感嘆) |
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22 | ばかいやう |
【標準語】奪い合う 【意味等】互いに奪い取ろうと争うこと、先を争って取る、互いに取ろうと争う 【同義】ばかう、ばかいやう 【参考】ばかい(奪い)+やう(合う)→奪い合う 【用例】「三角関係で、親友同士んとい彼女ばバカイヤウごとなって、絶交状態げな」 →「三角関係で、親友同士なのに彼女を奪い取ろうと争って、絶交状態だそうだ」 |
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23 | ばかう |
【標準語】奪う、奪い合う 【意味等】「ばかいやう」に同じ 【用例】「メダルばバカウ…ゲームたい、相手からたいそ取った方が…勝ちたい」 →「メダルを奪い合う…ゲームだよ、相手からたくさん取った方が…勝ちだよ」 |
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24 | ばかされ |
【標準語】ばかり(ばかし) 【意味等】おおよその程度を表す、…ほど、…くらい 【参考】およその程度の数量を表す言い方、おおよその分量を表す 【類義】がと(ちょうどの数量を表す) ・1,000円がと売っちゃり→1,000円分売ってちょうだい ・1,000円ばかされ足らん→1,000円くらい足らない 【用例】「飲みい誘われとうとばってん、じぇんの足らんと…1万円バカサレやり」 →「飲みに誘われてるんだけど、お金が足らないんだ…1万円ほど融通してよ」 |
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25 | ばかし |
【標準語】疑似針(漁業用語) 【意味等】魚が餌と間違えて食うよう、虫などに似せた疑似餌に釣針をつけたもの 【参考】魚を疑似餌で「化かし」て釣る釣針であるので「ばかし」 【同義】ばかし、ひっかけ |
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26 | ばかぞう 《詳しくはこちら》 |
【標準語】馬鹿者 【意味等】「ばかちん」に同じ 【参考】不思慮で恥知らずの愚か者、救いようがなく可愛げのない馬鹿者 【用例】「あらあ…バカゾウやん、下半身丸出しで女風呂ば覗いて…捕まったげな」 →「あいつは…大馬鹿者だ、下半身丸出しで女風呂を覗いて…逮捕されたそうだ」 |
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27 | バカゾウ |
【標準語】シンテンオウ(アホウドリ)、カマツカ 【意味等】 1)「シンテンオウ(アホウドリ)」のバカゾウ 《意味》信天翁、シンテンオウ(アホウドリの仲間) 《参考》ミズナギドリ目アホウドリ科アホウドリ属に分類される鳥類 2)「カマツカ」のバカゾウ 《意味》鎌柄(魚類) 《参考》コイ目 コイ科 カマツカ亜科の魚類の一種 |
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28 | ばかたれ 《詳しくはこちら》 |
【標準語】馬鹿者 【意味等】「ばかちん」に同じ 【参考】考えの浅い馬鹿者、行動は愚かだが可愛げはある 【参考】「バカタレが…自分探しの旅い行くって出かけたとい、もう帰ってきなった」 →「馬鹿者が…自分探しの旅に行くって出かけたのに、もう帰ってきちゃった」 |
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29 | ばかちん 《詳しくはこちら》 |
【標準語】馬鹿者 【意味等】愚か者 【参考】愚かなことをする者をあざけっていう言葉 【同義】ばかちん、ばかぞう、ばかたれ ・「ばかちん」:愚かなことをする馬鹿者だが可愛げがある ・「ばかぞう」:思慮のない恥知らずの愚か者、可愛げはない ・「ばかたれ」:考えの浅い馬鹿者だが可愛げはある 【類義】「のうのわるか」:物分かりが悪い、もの覚えが悪い 【用例】「バカチンが…土左衛門の真似やらするもんやけん、海水浴場な大騒ぎたい」 →「馬鹿者が…水死体の真似なんかするもんだから、海水浴場は大騒ぎだよ」 |
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30 | はがね |
【標準語】粘土 【意味等】鋼土,刄金土、防水用の粘土や泥(資材)、粘土による溝の簡易な修繕 【参考】貯水地の漏水予防・防止のため、堤の躯体また周囲に塗り込む粘土や泥 |
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31 | はかのいく |
【標準語】はかどる 【意味等】能率が上がる、仕事などの進み方が早くなる、効率がよくなる 【参考】はか(捗:分量)+の(が)+いく(行く:進む)→能率よく進む 【用例】「監督のおんなれん方が…何でか仕事のハカノイクっちゃが…不思議」 →「監督がいないほうが…どういう訳か仕事がはかどるんだよ…不思議」 |
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32 | はがま |
【標準語】羽釜、歯釜 【意味等】底が丸く…中央部につばのある、かまど用の飯炊き釜 【参考】 つばがかまどの縁に掛かるようになっていて、固定される 【関連】九州(沖縄を含む)から四国、関西までの広範囲で使われる |
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33 | ばからしか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】損をする、恥ずかしい 【意味等】 1)「損をする」のばからしか 《意味》もったいない、利益がない、損なこと 《用例》「焼き牡蠣のそえん高いと?バカラシカ…糸島で食うたら4倍な食わるる」 →「焼き牡蠣がそんなに高いの?もったいない…糸島で食ったら4倍は食える」 2)「恥ずかしい」のばからしか 《意味》恥ずかしい、バカバカしい 《用例》「いくら芝居って言うたっちゃ…おらあこえなバカラシカ格好なしっきらん」 →「いくら芝居だと言っても…オレはこのような恥ずかしい格好はできないよ」 |
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34 | ハカリミカン |
【標準語】キシュウミカン 【意味等】紀州蜜柑、小蜜柑、ムクロジ目ミカン科ミカン属の柑橘類の一種 【参考】正月飾(小型の鏡餅)用の小ミカン、小ぶりで甘く種がある 【関連】大分県津久見市の尾崎小ミカン(天然記念物/樹齢800年超)が先祖木、16世紀には紀州有田で栽培、紀伊国屋文左衛門が江戸で販売して財を成した伝説のミカン |
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35 | はぎし |
【標準語】はぎし 【意味等】歯茎(「ねじ…2)」に同じ) 【参考】歯が生える部分、歯の根を覆い包む口粘膜 【用例】「ハギシの腫れて歯のグラグラしよる…歯槽膿漏のごたる」 →「歯茎が腫れて歯がグラグラしている…歯槽膿漏のようだ」 |
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36 | はぎしみ |
【標準語】歯ぎしり 【意味等】歯ぎしり、歯を食いしばること 【参考】は(歯)+きしみ(きしみ、きしむ音)→歯ぎしり 【用例】 ・あんたあ、イビキだけやのうして…ハギシミもしゃあらしか、一緒いな寝えられん →あなたは、イビキだけじゃなくて…歯ぎしりもうるさい、一緒には寝られない ・きしゃん…うっ叩いて気合ば入れちゃあ、口ん中の切るるけん…ハギシミしやい →貴様…ぶん殴って気合を入れてやる、口の中が切れるので…歯を食いしばれ |
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37 | はぐ |
【標準語】半端、交尾する、めくる 【意味等】 1)「半端」のはぐ 《意味》「ちぐ」に同じ、そろわないこと、足りないこと、端下 《同義》ちぐ、はぐ 《参考》語源は「ちぐはぐ」の「はぐ(破具:釘抜)」、「剝ぐ」とも書き半端の意 《関連》「ちぐ」の語源は「ちぐはぐ」の「ちぐ(鎮具:金槌)」 《用例》「二人一組で、ハグいなったけん…先生と組まされたったい」 →「二人一組で、相手がいなかったので…先生と組まされてしまったんだ」 2)「交尾する」のはぐ 《意味》兎や鶏が交尾すること 《参考》兎や鶏の交尾のみいう、人間や他の動物には使わない 《用例》「鶏のやかましゅう鳴きようと思うたら…ハギよるもん」 →「鳥がうるさく鳴いていると思ったら…交尾してるんだもん」 3)「めくる」のはぐ 《意味》めくる、はがす、まくる 《同義》はぐ、はぐる 《参考》はがすの「剝ぐ」、めくることを言う 《用例》「そしたら…教科書の128ページをハグッテ、よおと読んでください」 →「それでは…教科書の128ページをめくって、よく読んでください」 |
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38 | はくせん |
【標準語】くしゃみ 【意味等】くしゃみ、ハクション 【参考】呼吸時に吸い込んだホコリやゴミなどを体外に吹き出すための生理反応 【用例】「電車ん中でハクセンしたら…エアロゾル感染するって、えらいがられた」 →「電車の中でくしゃみをしたら…エアロゾル感染するって、すごく怒られた」 |
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39 | はくそがし |
【標準語】駄菓子、歯に付着しやすい粉菓子 【意味等】 1)「駄菓子」のはくそがし 《意味》安い材料で作った粗末な菓子 《参考》歯糞(歯垢)にしかならないような駄菓子 《用例》「お茶じょうけな…ハクソガシぐらいしかなかばってん、お茶いしょう」 →「お茶菓子は…駄菓子くらいしかないけど、お茶にしましょう」 2)「歯に付着しやすい粉菓子」のはくそがし 《意味》小麦粉などを使った焼菓子、クッキーやクラッカーなどの焼菓子 《参考》食べると歯に付着して歯糞(歯垢)のように見えるから 《用例》「高級やろうばってん、クッキーのごたあハクソガシより…饅頭の方がよか」 →「高級なんだろうけど、クッキーのような焼菓子より…饅頭の方がいい」 |
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40 | はくらくさん |
【標準語】獣医、馬喰 【意味等】 1)「獣医」のはくらくさん 《意味》獣医、特に牛馬の病気を治療する医者、 牛馬の良否を見分けることに巧みな人 2)「馬喰」のはくらくさん 《意味》牛馬の売買・仲介を業とする人・商人、 牛馬の良否を見分けることに巧みな人 【同義】はくらく、ばくりゅう、ばくりょう ・「馬喰(ばくりょう、ばくりゅう)」は、主に牛馬の売買などをする商人をさす 【参考】語源は、中国の天馬を守る星の名「伯楽(はくらく)」 |
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41 | はぐり |
【標準語】日めくりカレンダー、花札 【意味等】 1)「日めくりカレンダー」のはぐり 《意味》壁などに掛けて毎日一枚ずつめくるカレンダー、柱暦 2)「花札」のはぐり 《意味》花札のように、めくって遊ぶカードゲーム |
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42 | ばくりゅう |
【標準語】獣医、馬喰 【意味等】「はくらくさん」に同じ、主に牛馬の売買などをする商人を言う |
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43 | ばくりょう |
【標準語】獣医、馬喰 【意味等】「はくらくさん」に同じ、主に牛馬の売買などをする商人を言う |
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44 | ぱくる |
【標準語】詐取する 【意味等】かすめ盗る、かっぱらう、巧みに他人の物を盗む、ごまかして盗る 【参考】関西を中心に使われる方言、警察が犯人を逮捕することなどの意味がある 【関連】大阪では「ぱちる」とも言い、「ぱちもん」は盗品のこともさす 【用例】「交通安全標語で市長賞ば取ったげなが…あらあ、俺の作品ばパクットろ?」 →「交通安全標語で市長賞を取ったそうだが…あれは、俺の作品を盗用しただろ?」 |
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45 | はぐる |
【標準語】めくる 【意味等】「はぐ」の3)に同じ 【用例】「住職やらしよるが…こまか時なスカートハグリい夢中か、煩悩小僧やった」 →「住職なんかやってるけど…幼い時はスカートめくりに夢中な、煩悩小僧だった」 |
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46 | はげ |
【標準語】梅雨明け(農業用語、雑節)、カラスビシャク 【意味等】 1)「梅雨明け」のはげ 《意味》半夏(半夏生の略)、梅雨明け 2)「カラスビシャク」のはげ 《意味》烏柄杓、半夏(はんげ)、オモダカ目サトイモ科ハンゲ属の植物 【参考】半夏生の頃(下記参照)に梅雨が明け、田にカラスビシャク(半夏)が生えるのを目安に田植の終期とされてきた 【関連】半夏生とは、太陽が黄経100度にある日で夏至から11日目(7月2日ごろ) |
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47 | はげあめ |
【標準語】梅雨明け雨(農業用語) 【意味等】半夏雨、梅雨明けのころに降る雷を伴う大雨、梅雨末期の大雨 【参考】半夏雨による洪水を「半夏水」という 【関連】災害を引き起こしかねない非常に危険な気象状態を意味する言葉 |
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48 | はざ 《詳しくはこちら》 |
【標準語】間、暇、平常 【意味等】 1)「間」のはざ 《意味》間、隔たり、間隔、狭間 《用例》「タマネギば…そえん詰めて植えたら実のこもうなる、ハザば開けらなあ」 →「タマネギを…そんなに詰めて植えたら実が小さくなる、間隔を開けなきゃ」 2)「暇」のはざま 《意味》暇、時間 《用例》「ネットゲームい…はまっとうと、ハザのあったら…スマホばいじりよう」 →「ネットゲームに…はまっているんだ、時間があったら…スマホをいじってる」 3)「平常」のはざま 《意味》普段、平常 《用例》「明日…印鑑証明ば取りい行く?日曜ばい、役場な…ハザいしか開いとらん」 →「明日…印鑑証明を取りに行く?日曜だよ、役場は…平日にしか開いていないよ」 【参考】「はざま(狭間)」の音変異 【関連】「はざ」を使った言葉 1)はざかる→挟まる、物と物との間に異物が挟まる 《用例》「トウキビば食うたが…歯いハザカッテ、楊枝でせせくったっちゃ取れんと」 →「トウモロコシを食ったが…歯に挟まって、楊枝でつついたけど取れないんだ」 2)はざぐい→間食 《用例》「食欲の秋やけんって言うて…ハザグイばしようけん、そえん肥えるったい」 →「食欲の秋だからといって…間食をしているから、そんなに太っちゃうんだ」 3)はざひき→間引き 《用例》「ハザヒキした…ハクサイやらダイコば、塩で揉んで食うたら…えらい旨か」 →「間引きした…白菜や大根を、塩で揉んで食ったら…すごく旨い」 |
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49 | はざかる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】挟まる 【意味等】物と物との間に異物が挟まる 【用例】「机と壁のハザの小銭ば、定規で取りよったらハザカッテ取れんごとなった」 →「机と壁の間の小銭を、定規で取っていたら挟まって取れなくなった」 |
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50 | はざぐい 《詳しくはこちら》 |
【標準語】間食 【意味等】食事と食事の間にものを食べること、狭間食い 【用例】「脳の働くごと…毎日ハザグイして血糖値ば上げよったら、糖尿病いなった」 →「脳が働くように…毎日、間食して血糖値を上げてたら、糖尿病になった」 |
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51 | はざひき 《詳しくはこちら》 |
【標準語】間引き(農業用語) 【意味等】間を抜いて間隔をあけること、まばらにすること 【参考】野菜などの品質を上げるため、苗などを間引きして養分を集中させること 【関連】間引きした根菜や葉物の苗は…塩で揉んだり漬けこんで食べる、美味である 【用例】「ダイコンばハザヒキするけん…手伝うて、ハザヒキダイコンな…やるけん」 →「ダイコンを間引きするので…手伝って、間引きダイコンは…あげるから」 |
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52 | はざひく 《詳しくはこちら》 |
【標準語】間引く(農業用語) 【意味等】間隔を開ける、間隔を調整する 【用例】「ミカンの実ばハザヒクことば「摘果」って言うと…摘果ミカンなすいかぜ」 →「ミカンの実を間引くことを「摘果」と言うんだ…摘果ミカンは酸っぱいよ」 |
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53 | ばさらか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】たいそうな 【意味等】法外な、たくさん、荒っぽい 1)「法外な」のばさらか 《意味》とても、すごく、贅沢な 《用例》「ここのラーメンな…あんまと旨うなかばってん、餃子なバサラカ…旨かぜ」 →「ここのラーメンは…あまり旨くないけど、餃子は無茶苦茶…旨いよ」 2)「たくさん」のばさらか 《意味》たくさん、いっぱい、あまた 《用例》「牧のうろんな…麺のバサラカ入って、食うたっちゃ…いっちょん減らん」 →「牧のうどんは…麵がたくさん入って、食っても…ちっとも減らない」 3)「荒っぽい」のばさらか 《意味》大雑把、荒々しい、乱暴な 《同義》あらけなか、ばさらか 《用例》「バサラカ仕事ばしよったら、信用ののうなって…またから頼みなれんばい」 →「大雑把な仕事をしていたら、信用がなくなって…次からの依頼が無くなるぞ」 【参考】語源はサンスクリット語の「vajra (伐折羅、バジャラ)= ダイヤモンド」 ・室町時代の流行語、社会風潮や文化的流行(美意識や価値観)をあらわす言葉 ・ダイヤモンドのような硬さで常識を打ち破るようなイメージの言葉、婆沙羅とも書く ・元来の「奢侈で派手な振舞い」や「粋で華美を好む美意識」の意味が変化したもの |
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54 | ばし 《詳しくはこちら》 |
【標準語】~でも、~かのように 【意味等】 1)「~でも」のばし 《意味》~でも、~など 《同義》~なっと、~ばし 《用例》「なんば寝ぼけたことば言いようとな、顔バシあろうて出直してきない」 →なにを寝ぼけたことを言ってるんだ、顔でも洗って出直してこい 2)「~かのように」のばし 《意味》~かのように、いかにも~かのような 《用例》「あんたあ…見てきたバシかのごと話しよるが、ほんなことな?」 →「あなたは…いかにも見てきたかのように話してるけど、本当のことなの?」 【参考】語源は古語の「ばし」(係助詞「は」+副助詞「し」)、強調のための助詞 |
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55 | はしか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】芒(のぎ、はしか) 【意味等】稲や麦などの果実の先にある針のような毛 【参考】芒はチクチクした不快な触感がするため、刺々しいや意地悪などの意がある |
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56 | はしかいん 《詳しくはこちら》 |
【標準語】狂犬 【意味等】狂犬病の犬、意地の悪い犬、喧嘩好きの男 1)「狂犬病の犬」のはしかいん 《意味》狂犬病にかかっている犬 《用例》「よだれ垂らいて痙攣しよる、ハシカインばい…咬まるるけん近づかんと」 →「よだれ垂らして痙攣してる、狂犬病の犬だ…咬まれるので近づかないで」 2)「意地の悪い犬」のはしかいん 《意味》吠えたり唸ったり威嚇してくる犬 《用例》「あんたんがたのいん…あたきいばっかし吠えかかると、ハシカインやもん」 →「君んちの犬…私にばかり吠えかかるんだ、意地の悪い犬だよ」 3)「喧嘩好きの男」のはしかいん 《意味》喧嘩っ早い人、すぐに咬みつく(喧嘩を吹っかけてくる)人 《用例》「なんか言うたら…因縁ばつけてきなあ、ハシカインやけん…うてやわれん」 →「何か言ったら…因縁をつけてくるんだ、喧嘩っ早い人なので…相手にできない」 【同義】はしかいん、はじかいん 【参考】はしか(刺々しい)+いん(犬)→狂犬病の犬、すぐ咬みついてくる人 |
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57 | はしかか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】刺々しい 【意味等】喧嘩ごしの、小骨が多い 1)「喧嘩ごしの」のはしかか 《意味》角の立った性格、刺々しい感情、余裕のない様 《用例》「可哀そかばってが、あいつなハシカカけん…みんない嫌われとうっちゃん」 →「可愛そうだけど、あいつは角の立った性格なので…みんなに嫌われているんだ」 2)「小骨が多い」のはしかか 《意味》食べ辛いほど小骨が多い、小骨が多くて食べるのが面倒臭い 《用例》「コノシロなハシカカけん、こえんもろうたっちゃ…料理きらんが…」 →「コノシロは小骨が多いので、こんなにもらっても…調理できないよ…」 【参考】はしか(チクチクする)+か(い:形容詞)→はしかい、刺々しく不快 |
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58 | はじまけ |
【標準語】はぜかぶれ 【意味等】うるし科の植物(ハゼ)に触れたことをが原因とする特有のかぶれ 【参考】ハジはハゼノキ(ハゼ)の古名、ハゼノキはウルシ科ウルシ属の落葉小高木 【関連】ハゼノキの実は蠟の原料になる、ウルシほどではないが触るとかぶれる 【用例】「クワガタ捕りい行て…ハジマケ、かいかばってん…あばくるけん掻かれん」 →「クワガタ捕りに行って…はぜかぶれ、痒いけど…とびひになるので掻けない」 |
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59 | ハジカミ |
【標準語】ショウガ 【意味等】生姜、ショウガ科ショウガ属の多年草 【参考】ハジカミは山椒の古名、昔は辛いものをハジカミと呼んでいた、生姜は山椒と区別するため「クサハジカミ」や「クレハジカミ」などとも呼ばれていた |
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60 | はじき |
【標準語】面子 【意味等】紙製の四角や丸い玩具、絵柄や写真柄の入ったトランプ大の厚紙 【同義】はじき、ぱち、ぱっち、ぱっちん 【参考】地面に置いて交互に打ち合い、裏返し、弾き飛ばして取り合って遊ぶ 【用例】「ぱっちいな、鉄人28号やら月光仮面やら刷ったって、宝もんやった」 →「面子には、鉄人28号や月光仮面などが印刷してあって、宝ものだった」 |
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61 | はしのこ |
【標準語】梯子の横木 【意味等】梯子の一つ一つの上り段 |
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62 | はしりぐっちょう 《詳しくはこちら》 |
【標準語】かけっこ 【意味等】走る競争、走る速さを競い合う行為 【同義】はしりぐっちょ、はしりぐっちょう、はしりやい、はしりやっこ 【参考】はしり(走り)+ぐっちょう(比べ合う)→かけっこ 【関連】「ぐっちょう」は、比べるや競うの意、 《同義》ぐうちょ、ぐっちょ、ぐっちょう、やい、やっこ 【用例】「高学年の走りぐっちょうのアンカーな…組でいっち速かとが出るごたる」 →「高学年のかけっこのアンカーは…クラスで一番速い子が出るようだ」 |
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63 | ばすのぬけとる |
【標準語】頼りない 【意味等】芯がない、味気ない 【参考】語源は不明、「ばす」は釣糸として使った馬の尾の毛…の意味がある 【用例】「入院しとったが、飯なまずうはなかとばってん…なんかバスノヌケトルと」 →「入院してたんだけど、飯は不味くはないんだけど…なんか味気ないんだ」 |
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64 | ばすのぬける |
【標準語】気が抜ける 【意味等】気合が入らない 【用例】「今日のプレゼン…急い中止いなって、バスノヌケテ…もう帰ろうごとある」 →「今日のプレゼン…急に中止になって、気が抜けて…もう帰りたくなっちゃった」 |
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65 | はずはず |
【標準語】すれすれ 【意味等】かろうじて、やっと、ぎりぎり 【用例】「試験のあるとい寝坊して…必死豆炭で自転車こいで、ハズハズ間におうた」 →「試験があるのに寝坊して…一生懸命に自転車こいで、かろうじて間に合った」 |
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66 | ぱすぱす |
【標準語】かすかす、ぱさぱさ 【意味等】果物などの果汁が少なくジューシーではない味わい 【用例】「このミカンな…パスパスして美味うなか、今度から…伊都彩々で買うてき」 →「このミカンは…ぱさぱさして美味くない、今度から…伊都彩々で買ってきて」 |
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67 | はぜ |
【標準語】足袋の小鉤(こはぜ) 【意味等】足袋の合わせ目に縫い付けられた爪状の留め金 |
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68 | はぜる |
【標準語】白ける、映える、弾ける 【意味等】 1)「白ける」のはぜる 《意味》肉や魚が酢や熱湯によって白くなること 《用例》「シメサバもシャブジャブも、ちょっとハゼルくらいの半生が…好いとう」 →「シメサバもシャブジャブも、ちょっと白けるくらいの半生が…好きだ」 2)「映える」のはぜる 《意味》目立つ、映える、引き立つ 《用例》「ああた…色の白かけん、その服な…ようハゼル、じょうもんさんのごたあ」 →「あなた…色が白いから、その服は…すごくお似合いよ、お嬢様みたい」 3)「弾ける」のはぜる 《意味》飛び散る、破裂する 《用例》「この植物な、種房ばあつこうたら割れて…種のハゼルごとなっとう」 →「この植物は、種房を触ったら割れて…種が飛び散るようになっている |
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69 | はたく |
【標準語】叩く 【意味等】砕く、叩く 1)「砕く」のはたく 《意味》突き砕く、砕いて細かくする 《参考》穀類などを杵でついて粉にすること 《関連》「はったいご(オオムギをいり粉にひいたもの)」は、砕いた粉の意 《用例》「昔な…水車小屋の臼で小麦ばハタイテ、粉いしよったと」 →「昔は…水車小屋の臼で小麦を突き砕いて、粉にしていたんだ」 2)「叩く」のはたく 《意味》平たい物で打つ・叩く 《用例》「昔の先生な…よう出席簿で生徒ばハタキよんなった、今ならクビやが」 →「昔の先生は…よく出席簿で生徒を叩いていたよ、今ならクビだよ」 |
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70 | ばたぐるう 《詳しくはこちら》 |
【標準語】苦しがって暴れる 【意味等】じたばたする、あがく、もだえる、激痛などで激しく動いて苦しがること 【参考】ばた(ばたつく)+ぐるう(狂ったように)→狂ったように暴れる 【用例】「尿道結石な…えらい痛かげなねえ、小便するとき…バタグルイするげなね」 →「尿道結石は…すごく痛いそうだねぇ、小便するとき…痛がって暴れるそうだね」 |
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71 | はたけすき |
【標準語】唐鋤(からすき:農業用語) 【意味等】鋤の種類のひとつ、牛鍬、盛立、牛馬に引かせ田畑を耕すのに用いる 【参考】柄が曲がって刃が広く左右に鋤き返えすことができる農具 【同義】はたけすき、もったて |
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72 | ハタケレンコン |
【標準語】オクラ 【意味等】アオイ科トロロアオイ属の植物、またその果実 【参考】切口がレンコンに似ていることからそう呼ばれる、別名オカレンコン 【関連】エチオピア原産、オクラは英語名の借用名、和名はアメリカネリ |
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73 | ばたばた 《詳しくはこちら》 |
【標準語】急いで、忙しい様子 【意味等】 1)「急いで」のばたばた 《意味》大至急、早く 《用例》「嫁ごの陣痛の始まったってやけん…会社ば早引けしてバタバタ帰ってきた」 →「妻の陣痛が始まったってだから…会社を早退して急いで帰ってきた」 2)「忙しい様子」のバタバタ 《意味》てんてこまい、ばたつく、慌てふためく 《類義》ちんちろまい;忙しくてゆっくりする暇がない様子 《参考》「ばたばたする」は忙しいことなどを強調する言い方 《用例》「テレビでお店の紹介されたもんやけん…お客さんと注文の電話でバタバタ」 →「テレビでお店が紹介されたもんだから…お客さんと注文の電話でてんてこまい」 【参考】「ばたばた」は鳥の羽音や風で激しく煽られる音、せわしない状況のこと |
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74 | はたはたする |
【標準語】おろおろする 【意味等】心配する、はらはらどきどきする、心配などで落ち着きがなくなる 【参考】語源は不明「はらはらする」の音変異と思われる 【用例】「なあも悪かこと…しとらんとばってん、警官ば見かけたら…ハタハタスル」 →「何にも悪いこと…してないんだけど、警官を見かけたら…落ち着きがなくなる」 |
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75 | ばたばたする 《詳しくはこちら》 |
【標準語】きりきり舞いする 【意味等】とても忙しくなる、急いでする 【参考】「ばたばた」という擬音で、忙しい(急ぐ)状況などを強調する 【用例】「お昼時なバタバタスルごと忙しゅうなるけん…今のうちい飯ば食っとって」 →「お昼時はきりきり舞いするように忙しくなるので…今のうちに飯を食っといて」 |
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76 | ハダンキョウ |
【標準語】スモモ 【意味等】李、バラ科サクラ属の落葉小高木、またその果実 |
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77 | ぱち |
【標準語】面子 【意味等】「はじき」に同じ |
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78 | ばちかぶる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】罰が当る、自腹を切る 【意味等】ひどい目に遭う 1)「罰が当る」のばちかぶる 《意味》責めを負う、悪いことをした報いがくること、因果応報 《用例》「そえな、おなごば泣かすごたあことしよったら…いんま、バチカブルばい」 →「そんな、女性を泣かせるようなことをしていたら…そのうち、罰が当たるぞ」 2)「自腹を切る」もばちかぶる 《意味》損害を被る、貧乏くじを引く、お金を負担させられる 《参考》負担しなくていいようなところでお金を払わされる 《用例》「便所から出てきたんだあ…誰もおらんと、飲み代な…俺がバチカブッタ」 →「トイレから出てきたら…誰もいないんだ、飲食費は…俺が払わされた」 【参考】ばち(罰)+かぶる(被る)→罰が当る、被害を被る |
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79 | はぢき |
【標準語】釣竿(漁業用語) 【意味等】魚を釣るために釣糸をつける細長い棒 【参考】四国や九州では、釣竿を「はじき」や「はんじき」と言う漁村がある |
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80 | ばちまわす 《詳しくはこちら》 |
【標準語】殴り飛ばす 【意味等】「でちまわす」に同じ 【同義】でちまわす、でっちまわす、ばちまわす、ぶちまわす 【参考】「ばち」は罰やひどい仕打ちを意味する 【参考】「ばち(ひどい目)+まわす(回す)」→ひどい目に遭わせる 【関連】暴力を加える方法として、うったたく(強く叩く)、くらす(殴る)、でちまわす(殴り飛ばす)、うしばく(棒でひっぱたく)、はつる(平手打ち)、はつりたおす(平手打ちの連打)、けたぐる(蹴りを入れる)、でちなぐる(投げ飛ばす)、ぼてくりこかす(ぼこぼこにする)、だごいなす(足腰立たんようにする) 【用例】「きしゃん…横着っかぜ、のぼしかえっとったら…バチマワスぜ」 →「貴様…横着だぞ、のぼせかえっているようだったら…殴り飛ばすぞ」 |
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81 | はちわれる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】熟し割れる 【意味等】果実などが熟して割れること 【参考】丸い実が裂け割れることから「鉢割れ」が語源と思われる 【同義】はちわれる、ひわるる 【用例】「庭のザクロの…ハチワレとう、栄養のあるげなけん…食うてんどう」 →「庭のザクロが…熟し割れている、栄養があるそうなので…食べてみよう」 |
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82 | はつあるき |
【標準語】最初の里帰り 【意味等】結婚後に初めて嫁が実家へ行く行事 【同義】あるきぞめ、はつあるき 【参考】はつ(初)+あるき(里帰り)→結婚後の最初の里帰り 【関連】「あるく」は里帰り(嫁や妻女がしばらくの間、実家へ帰ること) |
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83 | はついり |
【標準語】初年始(初入り) 【意味等】結婚後に初めて親類や縁者の年始回り(訪問)すること 【関連】地域によっては、夫の実家から妻の実家に「嫁ごぶり」が送られる |
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84 | はっか |
【標準語】鉤(かぎ:漁業用語) 【意味等】舟を岸につけるときに使うかぎ棒、フック(語源と思われる) |
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85 | はっかけ |
【標準語】裾回し 【意味等】八掛、袷長着の裏裾に用いる布 【参考】前後の裾に4布と大きな襟に2布、襟先に2布の合わせて8枚を使うため |
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86 | ばっかし |
【標準語】~ばかり 【意味等】ばかり、ほとんどがその物事 【参考】限定範囲内での物事が多く、それ以外の者がほとんどないことを表す 【用例】「あらあ…すらごとバッカシ言うっちゃもん、将来な詐欺師か…政治家やね」 →「あいつは…嘘ばかり言うんだもの、将来は詐欺師か…政治家だね」 |
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87 | はっすん |
【標準語】脚付膳(八寸膳) 【意味等】 懐石料理を盛り付ける24cm角の足つきの膳 【参考】8寸は24.2cm |
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88 | はったいご |
【標準語】麦焦(むぎこがし) 【意味等】オオムギを炒って粉に挽いたもの、直接食べたり菓子の原料に使う 【参考】はったい(はたいた:砕いた)+こ(粉)→砕いた粉 |
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89 | はったんどり |
【標準語】田の草取り器(農業用語) 【意味等】三回目の田の草取り作業に使用する農具 【参考】 ・竹・木製で鉄の爪を生やしたもので、押したり引いたりして使う ・1日に8反歩は押せる(草が取れる)に出る 【同義】おいたりひいたり、おしたくり、たのくさおし、はったんどり |
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90 | ぱっち |
【標準語】面子、股引(ももひき) 【意味等】 1)「面子」のぱっち 《意味》「はじき」に同じ 2)「ももひき」のぱっち 《意味》ももひき、メリヤスのズボン下 《参考》男性用の防寒用の下着、幼児用には尻開きぱっちがある 《用例》「温うなりようとい…まーだパッチばはいとうと?爺さんのごたあ」 →「温かくなっているのに…まだ股引をはいているの?お爺さんみたいだ」 |
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91 | ばっちい 《詳しくはこちら》 |
【標準語】汚い(幼児語) 【意味等】汚れている、清潔でないこと 【同義】あぺち、あぺちか、あぽち、あぽちか、ばっちい、ばばち、ばばちか 【類義】うだめしか、うらんしか、うじゃんしか、きしゃなか 【用例】「落てとうとば…食いなんな、バッチイ…ぽんぽんのしぇくばい」 →「落ちているものを…食べちゃいかん、汚い…お腹が痛くなっちゃうぞ」 |
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92 | ばっちょうがさ |
【標準語】竹皮の笠 【意味等】本竹皮折ばっちょ笠、浅くて大きな竹皮の笠 【参考】農作業などでかぶる竹皮で作った粗末な日笠、柳川の川下りでかぶる笠 【同義】たかのばっちょ、たこのばっちょう、とんごうがさ、とんごがさ 【用例】「このぬくされい田い行くとなら、バッチョウガサばかぶっとかなあ」 →「この暑さで田んぼに行くのなら、竹皮の日笠をかぶっておかないいけないよ」 |
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93 | ぱっちん |
【標準語】面子 【意味等】「はじき」に同じ |
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94 | はっつくる |
【標準語】貼り付ける 【意味等】貼る、貼り付ける 【参考】はっ(貼る)+つくる(付ける)→貼り付ける 【用例】「九州場所い行たが、膏薬ばえらいしこハッツケトウお相撲さんのおった」 →「九州場所に行ったけど、湿布をすごくたくさん貼り付けたお相撲さんがいた」 |
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95 | ばって 《詳しくはこちら》 |
【標準語】けれども 【意味等】しかし、~けれど、~だが 【同義】ばって(が)、ばってん(が)、ばっても(が) 【参考】 ・用言の終止形などに付いて逆態接続の意を示す、否定の接頭語 ・語源は、古典助詞の複合形「~ばとて」(~とは言っても)の音変異などが有力 ・九州各地及び東北の各地で使われる 【用例】「腹減ったー、バッテ冷蔵庫いな…食わるるもんな、なあも入っとらん」 →「腹減ったー、けれど冷蔵庫には…食べられるものは、何も入っていない |
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96 | ばってが 《詳しくはこちら》 |
【標準語】けれども 【意味等】「ばって」に同じ 【用例】「あらあ、よう勉強ばする…頭もよか、バッテガ性格の悪か…意地の悪かと」 →「あいつは、よく勉強をする…頭もいい、だが性格が悪い…意地が悪いんだ」 |
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97 | ばっても 《詳しくはこちら》 |
【標準語】けれども 【意味等】「ばって」に同じ 【用例】「言いようこたあ…間違うとらん、バッテモそらぁ…理想論ばい」 →「言っていることは…間違っていない、しかしそれは…理想論だよ」 |
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98 | ばってもが 《詳しくはこちら》 |
【標準語】けれども 【意味等】「ばって」に同じ 【用例】「俺がおごらなあ…いかんとバッテモが、息子いな…なあも言いきらん」 →「俺が叱らないと…いけないんだが、息子には…何も言えないんだ」 |
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99 | ばってら |
【標準語】端艇(漁業用語) 【意味等】ボート、小型の船 【参考】語源はポルトガル語の「bateira(バッテイラ:小舟)」 【関連】 ・コノシロの押し寿司が小舟形だったので、明治時代にバッテラと呼ばれ始める ・その後、鯖寿司などの酢でしめた魚の押し寿司をバッテラと呼ぶようになった |
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100 | ばってん 《詳しくはこちら》 |
【標準語】けれども 【意味等】「ばって」に同じ 【用例】「ばってん荒川バッテン、ああた…わっかけん昔の地元人気芸人…知りめ?」 →「ばってん荒川だけど、あなた…若いから昔の地元人気芸人…知らないでしょ?」 |
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101 | ばってんが 《詳しくはこちら》 |
【標準語】けれども 【意味等】「ばって」に同じ 【用例】「俺が悪かた…わかっとう、バッテンガ…俺っちゃ面子のあるけん…謝らん」 →「俺が悪いのは…わかってる、だけど…俺にも面子があるので…謝らない」 |
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102 | ぱっぱ |
【標準語】どんどん、惜しげなく 【意味等】気前のいい様、お金を惜しまずに気前よく使う意味 【用例】「福祉い…パッパ予算ばつける選挙公約やが、そえん財源なあるとな?」 →「福祉に…惜しげなく予算をつける選挙公約だけど、そんなに財源はあるのか?」 |
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103 | はつりたあす 《詳しくはこちら》 |
【標準語】平手打ちで連打する 【意味等】倒れるまで平手打ちにする 【同義】はつりたあす、はりまわす 【用例】「あの女、うちの彼い…めっちょうかけよったけん、ハツリタアイちゃった」 →「あの女、私の彼に…狙って誘惑していたので、平手で連打して倒してやった」 |
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104 | はつる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】削り取る、平手打ちにする 【意味等】 1)「削り取る」のはつる 《意味》削り取る、削ぎ取る 《参考》 ・コンクリートや石材、木材などを整形するため、表面をノミや手斧で削ること ・漢字で「斫る」、語源は不明、似た語彙に「剥る:へつる」「撥る:はつる」がある 《関連》上記作業を「はつり」と言い、はつり職人を「はつり工、はつり屋」と呼ぶ 《用例》「そこい鉄骨の入るけん、明日の作業までいコンクリばハツットって」 →「そこに鉄骨が入るので、明日の作業までにコンクリートを削り取っておいて」 2)「平手打ちにする」のはつる 《意味》手の平で叩く、平らなもので叩く、はたく、びんたする 《参考》1)と同様に削ぎ取るように叩くので、語源は同様と思われる 《関連》執拗に「はつる」行為を「はつりたあす(はつり倒す)」などと言う 《用例》「電車で…痴漢の触ってきたけん、えずうなって…ハツリ倒いてしもうた」 →「電車で…痴漢が触ってきたので、怖くなって…平手打ちを連打してしまった」 |
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105 | はでじん |
【標準語】派手好み 【意味等】派手好きな人、派手なものが好きな人、派手なことが好きな人 【参考】はで(派手)+じん(人)→派手な人 【用例】「成金のごと…キラキラした服やら着て、ほんなこといハデジンやもん」 →「成金のように…キラキラした服なんか着ちゃって…本当に派手好きだなあ」 |
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106 | はな |
【標準語】最初、ご祝儀 【意味等】 1)「最初」のはな 《意味》初めのころ、物事の初め 《参考》漢字で「端(はな)」、大阪を中心に関西から九州まで広く使われる 《参考》「はな」を使った言葉:はなから→最初から 2)「ご祝儀」のはな 《意味》心づけ、ご祝儀 《参考》漢字で「花、華(はな)」 《用例》「こんだあ…舞台で主役ば張るげなね、めでたか…ハナば…はずむけん」 →「今度は…舞台で主役を張るそうだね、めでたい…ご祝儀を…はずむよ」 |
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107 | ~ばな 《詳しくはこちら》 |
【標準語】~ぞ 【意味等】「~ばい」に同じ 【用例】「秋いなったなあ、月のきれゆうして…コオロギも鳴き始めたバナ」 →「秋になったねえ、月が綺麗で…コオロギも鳴き始めたぞ」 |
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108 | はなかぶら |
【標準語】小鼻 【意味等】鼻先の端部分の左右の膨らんだ部分、鼻孔の上の小高い所 【参考】はな(鼻)+かぶら(古語で頭のこと)→鼻頭(鼻翼の部分) 【用例】「ハナカブラの高こうなりようが…おせいなって、色気の出て来よろ」 →「小鼻が高くなっているけど…大人になって、色気が出てきてるだろ」 |
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109 | はなから |
【標準語】最初から 【意味等】初めの頃から 【用例】「毎日の店い来なあが、ハナカラ用ななかっちゃけん…うてあわんでよか」 →「毎日の来店されるけど、最初から用はないんだから…接客しなくていいよ」 |
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110 | はながわ |
【標準語】爪掛 【意味等】端皮(はながわ)、下駄の先端に被せる覆い 【参考】下駄の爪先を覆って泥や湿気を防ぐ用具 |
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111 | はなぎ |
【標準語】花樹(かじゅ) 【意味等】花の咲く木、花を観賞するための植木、美しい花が咲く樹木 |
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112 | はなきれうし |
【標準語】向こう見ず 【意味等】考えなしに挑戦する人、根拠のない自信で手のつけられない人 【参考】鼻輪を通す部分(鼻中隔)が切れて制御が効かなくなった牛に出る 【用例】「あらあ…馬鹿ぞうたい、借金してまで株ば買うて…ハナキレウシやもん」 →「あいつは…大馬鹿者だ、借金してまで株を買って…向こう見ずだよ」 |
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113 | はなくそのしこ |
【標準語】極少量 【意味等】極めてわずかな分量、「なみだんしこ」に同じ 【参考】はなくそ(米粒ほどの大きさ)+の+しこ(だけ) 【用例】「ネットで野菜ば売りよるげなが、儲かりような?」「ハナクソノシコたい」 →「ネットで野菜を売っているそうだけど、儲かってる?」「ほんのわずかだよ」 |
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114 | はなぐり |
【標準語】鼻輪(農業用語) 【意味等】牛の鼻中隔に穴を空けて通す輪 【参考】鼻輪にひもをつけて手を制御する、大分県を中心に九州各地で使われる |
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115 | ハナシバ |
【標準語】シキミ 【意味等】樒、マツブサ科シキミ属に分類される常緑性小高木の1種、有毒植物 |
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116 | はなたれ |
【標準語】青二才 【意味等】経験の浅い人、未熟な人、半人前、はな垂らし 【参考】 年若く経験の乏しい者などをあざけっていう言葉、まだ子どもであること 【用例】「うちの息子やら、がたいな…でかかばってん、まーだハナタレですたい」 →「うちの息子なんて、図体は…でかいですけど、まだまだ半人前ですよ」 |
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117 | はなたれかぶる |
【標準語】不首尾 【意味等】最後がうまくいかないこと、事のなりゆきが思わしくないこと 【参考】はなたれ(未熟者)+かぶる(被る)→未熟であったための失敗 【関連】「~かぶる」を使った言葉 ・しかぶる、まりかぶる→大小便を漏らしてしまう ・やりかぶる、しかぶる→失敗すること ・いいかぶる→失言する、発言に起因んし責務を押しつけられる ・うけかぶる→仕事や責任を押しつけられる、利益の出ない注文を受ける 【用例】「梅ば漬けよったが…カビの生えとう、ハナタレカブッタや」 →「梅干を作ってたが…カビが生えてる、最後までうまくいかんものだ」 |
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118 | はなっぱし |
【標準語】鼻っ柱 【意味等】負けん気、向こう意気 【参考】 ・鼻は顔の中心にあるため、その存在を支える鼻柱は、その人の自信や意志を示す ・鼻柱とは、鼻筋(鼻を隆起させる軟骨)または鼻中隔(左右の鼻の穴を隔てる部分) 【関連】「はなっぱし」を使った言葉 ・はなっぱしが強い:鼻っ柱が強い→負けん気が強い、自信過剰 ・はなっぱしを折る:鼻っ柱を折る→慢心をくじく、恥をかかせる |
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119 | はなっぽん |
【標準語】鼻欠け 【意味等】梅毒などで鼻を失った人、鼻が欠けた人 【同義】はなっぽん、はなもげ |
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120 | はなとおし |
【標準語】鼻通し(農業用語) 【意味等】牛に鼻輪を取りつけるため、鼻中隔に穴を空ける道具 |
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121 | はなとりがみ |
【標準語】鼻紙 【意味等】ティッシュペーパー、ちり紙 【参考】洟取り紙、鼻汁をぬぐい取るための薄紙 |
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122 | はなのす |
【標準語】鼻の穴 【意味等】鼻腔、呼吸のために鼻に空いた2つの穴 【同義】はなのす、はなんす、はなんぽす 【参考】はな(鼻)+の+ス(小さい穴)→鼻の穴 ・「す」は「穴」や「腔」の意味、「すが立つ」は茶碗蒸しの表面に穴ができること 【関連】「す」を使った言葉には、尻のす(尻の穴)、耳のす(耳の穴)などがある |
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123 | はなびき |
【標準語】はなびき 【意味等】荷車に梶棒に綱をつけて牛などに引かせること 【参考】はな(端:先頭)+ひき(引く)→先棒で引くこと |
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124 | はなびせんこう |
【標準語】線香花火 【意味等】線香花火、日本の代表的な手持ち花火 【参考】黒色火薬を稲藁に塗り線香のように立てて火をつけて遊んだことに由来 【関連】「すぼ手(藁穂の先に火薬付着)」と「長手(和紙で火薬を巻いた)」がある |
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125 | はなもげ |
【標準語】鼻欠け 【意味等】「はなっぽん」に同じ |
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126 | はなわ |
【標準語】粗縄、端縄 【意味等】 1)「粗縄」のはなわ 《意味》下処理をせずに…なった縄、稲わらの葉つきのままの縄 2)「端縄」のはなわ 《意味》縄切れ、半端な短い縄、物をくくるのにちょうど良い長さの縄 《参考》米俵をくくる縄、焚き木などをくくる縄 |
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127 | はなんさき |
【標準語】鼻先、端先 【意味等】 1)「鼻先」のはなんさき 《意味》目の前、すぐ先 《用例》「木い登ったら…ハンンサキいダゴバチの飛おできて、えずかった」 →「木に登ったら…鼻先にスズメバチが飛んできて、怖かった」 2)「端先」のはなんさき 《意味》端っこの方、先っぽの方、突端 《用例》「岬のハナンサキい…灯台のあって、デートコースいなっとう」 →「岬の突端に…灯台があって、デートコースになっている」 |
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128 | はなんす |
【標準語】鼻の穴 【意味等】「はなのす」に同じ |
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129 | はなんぽす |
【標準語】鼻の穴 【意味等】「はなのす」に同じ |
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130 | ~ばね |
【標準語】~をかい? 【意味等】~をか?(~でいいのか?) 【参考】懸念や心配について他人に問いかけるときに使う 【用例】「お祝いい…ジャガイモば贈ろうと思うとうと」「ジャガイモ…バネ?」 →「お祝いに…ジャガイモを贈ろうと思っている」「ジャガイモ…をかい?」 |
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131 | はねごし |
【標準語】贈答品のたらいまわし 【意味等】頂いた贈答品を第三者へ贈ること、また贈り 【参考】自分に頂いた贈答品が…跳ねて自分を越えて、他人の手元に行くこと 【用例】「糸島さんのお中元な…ハネゴシのごたる、のしい…古賀って書いちゃる」 →「糸島さんのお中元は…また贈りのようだ、のしに…古賀と書いてある」 |
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132 | はのつつく |
【標準語】歯痛 【意味等】歯が痛む、 【参考】は(歯)+の(が)+つつく(突く)→歯が突かれたように痛む 【用例】「虫歯のごたる、さいぜんから…ハノツツク、今晩な…寝られめえや」 →「虫歯のようだ、先程から…歯が痛む、今夜は…眠れないかもしれない」 |
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133 | ババゴロシ |
【標準語】クロキ 【意味等】「クロキトウ」に同じ、ハイノキ科ハイノキ属に属する常緑小高木 |
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134 | ばばしか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】かさばる 【意味等】場所を取る、かさむ、煩雑 【参考】糸島弁、場所を塞いで散らかって汚いので「場々しい」「ばばちい」か? 【用例】「うちで預かるたあよかばってん、キャンプ用品一式やら…ババシカなあ」 →「我が家で預かるのはいいんだけど、キャンプ用品一式なんて…かさばるなあ」 |
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135 | ばばしゃん 《詳しくはこちら》 |
【標準語】お婆ちゃん 【意味等】婆さん、祖母 【関連】家族などの呼称 ・ととしゃん→お父さん、かかしゃん→お母さん ・じじしゃん→お爺さん、ばばしゃん→お婆さん ・あんしゃん→お兄さん、あねしゃん→お姉さん ・おいしゃん→おじさん、おばしゃん→おばさん 【用例】「ババシャンのおらん…認知症いなりかけよんなあけん、さるきよんなあが」 →「お婆ちゃんがいない…認知症になりかけているから、徘徊しているぞ」 |
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136 | ばばちか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】汚い(幼児語) 【意味等】「ばっちい」に同じ 【用例】「誰んとか分らんごたあパンツやら…ババチカけん、履かるるもんな」 →「誰の物なのか分らないようなパンツなんか…汚いから、履かれるものか」 |
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137 | ハブウ |
【標準語】虫 【意味等】羽虫、昆虫一般 【参考】ハ(羽?)+ブウ(虫?)→昆虫(成虫?) 【類義】イモブウ(イモ(芋のような?)+ブウ(虫?)→芋虫(幼虫?)) 【関連】「ブウ」は虫のことで、イモブウが幼虫、ハブウが成虫と類推される |
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138 | ばぶて |
【標準語】場打 【意味等】晴れやかな席や大勢の人前に出て…場の空気におされて気後れすること 【類義】はぶてる(拗ねる、ふてくされる) ・博多弁ではないが、中国地方から九州北部で使われる |
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139 | ばふんまんじゅう |
【標準語】黒糖饅頭 【意味等】黒糖を生地に練り込んで蒸かした饅頭、まぐそまんじゅう 【参考】饅頭が馬糞色(濃い茶色)である、全国的には「まぐそ饅頭」と呼ばれる |
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140 | はま |
【標準語】漁村 【意味等】漁業者を中心とした集落、漁村 【対義】おか→農村(農業者を中心とした集落) 【関連】「はまの人」は漁師、「おかの人」は農業者 【用例】「昔ゃあ…ハマのおばしゃんたちの、朝早よう…魚の行商に来よんしゃった」 →「昔は…漁村の奥さんたちが、早朝から…魚の行商に来ていました」 |
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141 | はまりこうどる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】熱中している、立ち往生している 【意味等】 1)「熱中している」のはまりこうどる 《意味》夢中になっている、集中している 《用例》「かかさんの…韓ドラいハマリコウドルけん、観たか番組ば見られと」 →「母さんが…韓ドラに夢中になってしまったので、観たい番組が観られないんだ」 2)「はまっている」のはまりこうどる 《意味》ぬかるみなどに沈み(落とし)込んで動けなくなっている 《用例》「山道で…タイヤばハマリコウドルもんやけん、帰ってこられんごとなった」 →「山道で…タイヤを落とし込んでしまったもんだから、帰ってこれなくなった」 【参考】「はまる」の著しい状態 |
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142 | はまる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】精を出す、奮発する、ぬかる 【意味等】 1)「精を出す」のはまる 《意味》つとめ励む、熱心にする、一生懸命になる 《同義》がまだす、きばる、はずむ、はまる、ばりこむ 《用例》「最近…焼き物にハマッテしもうて、陶芸教室に通っているんだ」 →「最近…焼き物に熱中してしまって、陶芸教室に通っているんだ」 2)「奮発する」のはまる 《意味》奢る、奮発する 《同義》はずむ、はまる、ばりこむ 《用例》「先輩の俺が誘うたけん…飲み代な俺いハマラセリ、恥ばかかせなんな」 →「先輩の俺が誘ったんだから…飲み代は俺におごらせろ、恥をかかせるなよ」「ばっちい」に同じ 3)「ぬかる」のはまる 《意味》ぬかるみなどに足を取られる、タイヤなどを落とし込む 《同義》はまる、いぼる 《用例》「田んぼい…長靴のまま入るけん、どべいハマッテ…抜けんごとなった」 →「田んぼに…長靴のまま入るから、泥水にぬかるんで…抜けなくなった」 |
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143 | はまんこや |
【標準語】薪小屋 【意味等】薪の保存小屋、「たきもんごや」に同じ 【参考】糸島市芥屋(けや)地区限定の方言で「浜の小屋」のこと ・江戸時代に芥屋で大火があり漁村が移転、薪小屋は防火のため海岸近くに設置 |
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144 | はみ |
【標準語】飼葉 【意味等】牛馬の飼料・食べ物、家畜の餌、飼料用の干し草 【参考】語源は「食み(食べること)」に出て、食べ物(食む物)を言う 【関連】「はみ」を使った言葉:はみきり 《意味》飼葉(草やワラ)などを切る道具、馬草切り |
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145 | はみきり |
【標準語】馬草切り 【意味等】飼葉(草やワラ)などを切る道具、牛馬の餌を食べやすい大きさに刻む道具 |
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146 | ばやいし |
【標準語】お洒落 【意味等】みなりを飾る、またその人 【参考】糸島弁、語源は不明、「化ける」または「栄える」が語源と思われる |
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147 | ばやいとる |
【標準語】お洒落する、見栄を張る 【意味等】見得を飾る、見栄えをよくする、外観を飾る 【参考】語源は不明、「化かいとる」または「栄やいどる」が語源と思われる |
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148 | はやのかぜ |
【標準語】南風 【意味等】「はえ」の1)に同じ |
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149 | はやぶる |
【標準語】先を争う 【意味等】割り込む、順番を守らない 【同義】はやぶる、はようおそう(糸島弁) 【参考】語源は「早む」「速む」、われさきに争って進む 【用例】「そえんハヤブルこたあ…いらん、人数のしこ…ちゃんとあるけん」 →「そんなに先を争う必要は…ない、人数の分…ちゃんとあるから」 |
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150 | はやもん |
【標準語】早生 【意味等】最も早く熟す性質の農作物、はしりの農作物、はしりものの食材 【参考】 旬の季節より早く食べられるように栽培、または品種改良した農作物 【用例】「ハヤモンのコシヒカリな…盆前い稲刈りするけん、新米の…はよ食わるう」 →「はしりもののコシヒカリは…盆前に稲刈りするので、新米が…早く食べられる」 |
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151 | はやんかぜ |
【標準語】南風 【意味等】「はえ」の1)に同じ |
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152 | はようおそう |
【標準語】先を争う 【意味等】「はやぶる」に同じ 【参考】「早く、遅く」と…われ先にと先を争うこと、糸島弁 【用例】「そえん…ハヨウオソウ行きなんな、遠足やけん…おんなじごと歩かなあ」 →「そんなに…先を争って行っちゃいかん、遠足だから…同じように歩きなさい」 |
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153 | ばら |
【標準語】蚕籠(農業用語) 【意味等】円形の平たい大かご、養蚕用(桑を敷いて養蚕する)の四角い浅い大かご 【参考】養蚕のほか、シイタケや梅干し用のウメなどを干すのに使用される |
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154 | はらかく 《詳しくはこちら》 |
【標準語】腹を立てる、腫れる、巣ごもりする 【意味等】 1)「腹を立てる」のはらかく 《意味》怒る、恨む、立腹する 《参考》語源は「腹掻く」、腹を掻きむしる…腹を掻き切るほどの怒りなど諸説 《関連》腹立ちを表す方言について…強弱 (弱)「はがいか」<「ぐらぐらこく」<「はらかく」<「ぞうのきりわく」(強) 《用例》「そえんハラカキなんな、騙すつもりやなかったとばってん…すまんたい」 →「そんなに怒るなよ、騙すつもりじゃなかったんだけど…すまないねえ」 2)「腫れる」のはらかく 《意味》腫れがひどくなる、可能する、勃起する 《類義》あばける:化膿やとびひなどで、傷口がグジャグジャになること 《参考》傷口や打撲部分などの状態が悪化し、治療などが必要な状態になること 《関連》「はらかく」を使った言い回し:ちんちんのハラカイトウ→勃起している 《用例》「寝とううちい、痛痒うして…掻きむしったけん、傷口のハラカイタ」 →「眠ってる間に、痛痒くて…掻きむしったので、傷口が化膿した」 3)「巣ごもりする」のはらかく 《意味》鶏が巣ごもりする、抱卵する 《参考》語源は、鶏が巣にこもり抱卵する(卵を腹に抱える)など諸説 《用例》「鶏のハラカイトルけん、卵ば取りい行たら、突いてきなあっちゃもん」 →「鶏が巣ごもりしているので、卵を取りに行ったら、突いてくるんだもの」 |
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155 | ばらかす 《詳しくはこちら》 |
【標準語】壊す 【意味等】ばらばらにする、壊す、崩す、破壊する 【同義】ばらかす、ばらす 【参考】物を壊したり砕いたりして使えないようにする 【用例】「パソコンば修繕しよって、どうもこうもならんごとなって…バラカイタ」 →「パソコンを修繕していて、どうにもこうにもならなくなって…壊した」 |
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156 | はらご |
【標準語】動物の胎児 【意味等】家畜などの動物の産まれる前の腹の中の子 |
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157 | ばらす 《詳しくはこちら》 |
【標準語】失敗する、バラバラにする 【意味等】 1)「失敗する」のばらす 《意味》しそこなう、やりそこなう、しくじる 《同義》しかぶる、ばらす、やりかぶる 《用例》「おきなかタイば釣ったとやが、タモ網の間に合わんで…バライてしもうた」 →「大きなタイを釣ったんだが、タモ網が間に合わずに…逃がしてしまった」 2)「バラバラにする」のばらす 《意味》分解する、壊す、ばらまく、散らばらす、殺す 《同義》ばらかす、ばらす 《用例》「古かバイクば修繕するけん、エンジンばバライテ…オーバーホールして」 →「古いバイクをレストアするので、エンジンを分解して…オーバーホールして」 【参考】「ばらす」は、関西を中心に広く使われる方言 ・一般的には「噓をあばく、真実を明らかにする」の意味で使われる ・「おごる、気前よく使う」の意味があるが「ばらす」より「ばりこむ」で使われる |
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158 | はらのせく 《詳しくはこちら》 |
【標準語】お腹が痛い 【意味等】腹痛、「せく」に同じ 【用例】「味のおかあしかやと思うて食うたら、はらのせいて…ねまっとったごたる」 →「味が変だぞと思って食べたら、お腹が痛くなって…腐っていたようだ」 |
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159 | はらのふとか |
【標準語】腹がふくれている、度量が大きい 【意味等】 1)「腹がふくれている」のはらのふとか 《意味》満腹である、妊娠している 《参考》お腹が大きくなること:満腹、妊娠 《用例》 ・食べ放題やが…もうハラノフトカ、ばってん…だいぶ食うたけん元な取っとろうや →食べ放題だけど…もう満腹だ、でも…だいぶ食ったので元は取ってるでしょう ・はつあるきしとんなぁが、新婚とい…もうハラノフトカごたあ、月のあわん →最初の里帰をしているけど、新婚なのに…もうお腹が大きいようだ、月が合わない 2)「度量が大きい」のはらのふとか 《意味》度量が大きい、心が広い 《対義》けつのあなのこまか:度量がない、心が狭い 《用例》「おらあ、ハラノフトカ上い…人たらしやけん、いっつもリーダーたい」 →「俺は、度量が大きい上に…人から好かれるので、いつもリーダーだよ」 |
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160 | ハランキョウ |
【標準語】スモモ 【意味等】尖酸桃、バラ科サクラ属の落葉小高木やその果実、トガリスモモ 【参考】漢字で「巴旦杏(アーモンド)」だが、ここではトガリスモモのこと |
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161 | ばり |
【標準語】ごち網漁、ペア、すごく 【意味等】 1)「ごち網漁」のばり 《意味》「ごち」に同じ、魚類を威嚇して網に追い込む漁法 2)「ペア」のばり 《意味》二人連れ、2人そろって 《用例》「仲のよかったけん、爺さんの葬儀いな…夫婦ばりで参りいこらっしゃった」 →「仲が良かったので、爺さんの葬儀には…夫婦連れ立ってお参りに来られた」 3)「すごく」のばり 《意味》超、とても、非常に 《参考》昔は使われていない新しい方言、語源は英語「very」の音変異など諸説ある 《関連》ラーメンの麺の硬さ」を指定するときも使われる (柔い) やわ麺 < ふつう < かた麺 < ばり硬 < ハリガネ < ナマ (硬い) 《用例》「今んた…誰?どこの高校?バリ愛らしかやん…知っとう人?紹介しちゃり」 →「今のは…誰?どこの高校?超かわいいじゃない…知ってる人?紹介してよ」 |
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162 | はりこむ 《詳しくはこちら》 |
【標準語】奮い立つ、奮発する 【意味等】 1)「奮い立つ」のはりこむ 《意味》精神を奮い起こす、精を出す、熱心にする 《参考》仕事や勉強などの行為・行動を熱心にすること 《同義》がまだす、きばる、はまる、ばりこむ 《用例》「えらい…ハリコウデ勉強しよんなあかと思うたら、スマホゲームやもん」 →「とても…熱心に勉強をしているなあと思ったら、スマホゲームだもの」 2)「奮発する」のはりこむ 《意味》気前よく金を出す、衣装などに金をかける、人におごる 《参考》奮発して高額な購入や出費、また人に奢ったりすること 《同義》はまる、はりこむ、ばりこむ ・「ばらす」も「おごる、気前よく使う」の意があり同義になるが、あまり使われない 《用例》「ベンツたい…バリコウデ買うたが、よかろ?何て?やくざのごたあって?」 →「ベンツだよ…奮発して買ったけど、いいだろ?何だと?やくざのようだって?」 【同義】はりこむ、ばりこむ |
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163 | ばりこむ 《詳しくはこちら》 |
【標準語】奮い立つ、奮発する 【意味等】「ばりこむ」に同じ |
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164 | バリタン |
【標準語】アイゴ 【意味等】スズキ目・アイゴ科に分類される魚の一種 【同義】バリタン(バリ)、バンチャゴ(幼魚名)とも「バリタン」と呼ばれる |
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165 | ばりたんのはら |
【標準語】腹が黒い 【意味等】悪事をたくらむ性質、腹黒い人 【参考】ばりたん(ヒレに毒棘を持つアイゴ)+の+はら(腹)→毒を隠し持つ腹 ・「ばりたん」とは、「アイゴ:スズキ目・アイゴ科に分類される魚の一種」のこと ・ヒレに毒棘があり、刺されると痛い。方言では「バリ」や「バリタン」と呼ばれる 【用例】「優あしか顔ばしとんなぁが、バリタンノハラやけん…気ばつけときない」 →「優しい顔をしてるけど、腹黒い性格なので…気をつけておくんだぞ」 |
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166 | ばりでる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】はみでる 【意味等】はみ出すこと、張り出すこと 【参考】語源は諸説あり ・「はりでる」( 外へ出っぱらせる、 外へ広げ出す)の音変異 ・鋳型加工などで、隙間からはみ出る原料くずを(ばり:英語burr)ということから 【用例】「サンドイッチな、具のバリデルぐらい…たいそ入っとうほうが好いとう」 →「サンドイッチは、具材がはみでるくらい…たくさん入っている方が好きです」 |
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167 | はりはり 《詳しくはこちら》 |
【標準語】腫れる、健康的に太っている 【意味等】 1)「腫れる」のはりはり 《意味》腫れる、むくむ 《用例》「昨日…そえん飲うだかいな?脚のむくうでハリハリしとう」 →「昨日…そんなに飲んだかしら?脚がむくんで腫れたようになっている」 2)「太っている」のはりはり 《意味》健康的に太る、肌がツヤツヤ張っている、張り艶が良い 《用例》「まっ!愛らっさ…えぱえぱ笑うて、身体もハリハリして、ほんに愛らしか」 →「まっ!可愛い…嬉しそうに笑って、身体も張り艶が良くて、本当に可愛い」 |
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168 | ばりばりまわせ |
【標準語】全速前進(漁業用語) 【意味等】漁船などが全速で航行すること 【参考】ばり(すごく)+ばり(すごく)+まわせ(回せ)→全速の回転 【同義】ばりばりまわせ、ホースビー |
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169 | はりまわす 《詳しくはこちら》 |
【標準語】平手打ちで連打する 【意味等】「はつりたあす」に同じ |
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170 | はる |
【標準語】平地、成長する 【意味等】 1)「原」のはる 《意味》漢字で「原」、台地(台地上の平地)、畑(農地)、野原(平らで広い土地) 《参考》漢字の「原」を使った「はる、ばる」と読む地名は、九州に多い ・福岡市周辺でも、前原(まえばる)、春日原(かすがばる)、白木原(しらきばる)など 2)「成長する」のはる 《意味》漢字で「張る」、野菜の株が膨れる・成長する、茶などの芽が出る・伸びる 《参考》漢字の「張る」は、植物の根などが広がり伸びる意としても使われる 《用例》「土の肥えとうけん…ようハットウ、後あイモブウい…やられんごとせな」 →「土が肥えているので…成長が良い、後はイモムシに…やられぬようにしなきゃ」 |
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171 | はるた |
【標準語】間田(かんでん)、株田(農業用語) 【意味等】 1)「間田」のはるた 《意味》一毛作の田、乾田、水田、沼田、 《参考》「はる」は開墾の意があり、元来は「開墾した田」をさす 2)「株田」のはるた 《意味》春に耕起したばかりの田、稲を刈り取って春までそのままにしてある田 《参考》「はる」は「株が張る」で、春先に前年の稲株が残っている田と思われる |
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172 | ばれ |
【標準語】引き分け 【意味等】勝敗なし、お互いに勝敗がつかないこと 【参考】引き分けというより、麻雀の流局のような勝敗がつかない状況 【用例】「どっちも2ペアやが…バレな?ポーカーな…勝敗の仕組みのようわからん」 →「どちらも2ペアだが…引き分け?ポーカーは…勝敗の仕組みがよくわからない」 |
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173 | はれもんのごと |
【標準語】恐る恐る大切に 【意味等】痛い腫れ物に触れるような感じで、 機嫌を損なわないように気を使う 【参考】はれもん(腫れ物)+の+ごと(ように:痛くないように気をつけて) 【用例】「姑さんな癇癪で…小姑な性悪、ハレモンニゴトしとかな…えずかとよ」 →「義母は癇癪で…義姉は性悪、機嫌を損なわないようにしていないと…怖いのよ」 |
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174 | はわきだめ 《詳しくはこちら》 |
【標準語】掃き溜め 【意味等】掃き取った塵を集めた場所、ゴミなど捨てる場所、ごみため 【参考】はわく(掃く)+だめ(溜)→掃き溜め |
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175 | はわく 《詳しくはこちら》 |
【標準語】掃く 【意味等】箒(ほうき)で塵などを払い除く、掃き掃除をする 【用例】「座敷な…えらい埃の舞いよったごたあけん、茶殻ば撒いて…ハワイとって」 →「座敷は…ひどく埃が舞っていたようなので、茶殻を撒いて…掃いてちょうだい」 |
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176 | はんかのち |
【標準語】田舎 【意味等】都会から離れた地方、鄙(ひな)、郷 【参考】はんか(半可:すべてが整っていない)+の+ち(地方)→田舎、糸島弁 【用例】「糸島あ…ハンカノチやが、癒さるる土地柄やけん…街の人い好かれとう」 →「糸島は…田舎だけど、癒される土地柄なので…街の人に人気がある」 |
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177 | はんぎい |
【標準語】半桶、寿司桶 【意味等】「はんぎり」に同じ |
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178 | はんきり |
【標準語】巻紙 【意味等】半切り紙、大きさが縦約17cm×横約45cmの和紙、書き初め用の半紙 【参考】杉原紙などを横に半分に切って継いだり、その大きさに漉いた巻紙・書簡用紙 |
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179 | はんぎり |
【標準語】半桶、寿司桶 【意味等】底の浅い桶、半高桶、たらい、たらい舟、寿司桶 【同義】はんぎい、はんぎり 【参考】語源は諸説いろいろある ・半高のたらい型の桶 →「半切」 ・盤状の浅い皿型の桶 →「盤切」 ・寿司飯を切るための桶→「飯切」 |
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180 | ばんこ |
【標準語】縁台 【意味等】床几(しょうぎ)、納涼台、涼むための腰掛 【参考】語源はポルトガル語の「banco(バンコ)」 【用例】「花火するけん…バンコと蚊取り線香、そして俺いな…ビールば持って来て」 →「花火するから…演題と蚊取り線香、そして俺には…ビールを持って来て」 |
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181 | はんごう |
【標準語】都合、段取り 【意味等】 1)「都合」のはんごう 《意味》具合、事情 《用例》「いまのう言うて来たっちゃ…そらぁ難しか、ハンゴウのつかんばい」 →「今になって言って来られても…それは難しい、都合がつかないよ」 2)「段取り」のはんごう 《意味》やりくり 《用例》「単身赴任で初めての家事やが、ハンゴウの悪うして…いっちょもしまえん」 →「単身赴任で初めての家事だけど、段取りが悪くて…ちっともおわらない」 |
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182 | はんさし |
【標準語】切り出しナイフ 【意味等】斜めに刀のついたやや幅の広い小刀、小刀、カッターナイフ 【参考】漢字で「筈刺(はんさし)」、矢筈の弦をはめる部分を彫るのに使う小刀 【用例】「このごらあ…ハンサシで鉛筆ば削ぎきい子供やら、おらんっちゃなかや?」 →「最近は…小刀で鉛筆が削れる子供なんて、いないんじゃないのかい?」 |
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183 | はんだい |
【標準語】卓袱台(ちゃぶだい) 【意味等】食卓、食事をするテーブル、箱膳、めしびつ 【参考】漢字で「飯台」、家族が囲んで食事するときに料理を乗せる卓やお膳 【用例】「ご飯いなるけん…誰かハンダイば台拭きで拭いて、きれゆうして」 →「ご飯になるから…誰か卓袱台を布巾で拭いて、綺麗にしてちょうだい」 |
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184 | はんたでござっしょう |
【標準語】忙しいでしょう 【意味等】お忙しいでしょう、物事が多くて煩わしいでしょう、(同情する言い方) 【参考】繁多・煩多(忙しい、煩雑)+で+ござっしょう(ございますでしょう) 【用例】「こんだあ…東京いも店舗ば出さっしゃあげなね、ハンタデゴザッショウ」 →「今度は…東京にも店舗を出されるそうですね、お忙しいことでしょう」 |
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185 | バンチャゴ |
【標準語】アイゴの幼魚 【意味等】スズキ目・アイゴ科に分類される魚の幼魚、「バリタン」の幼魚のこと |
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186 | はんどうがめ |
【標準語】飯銅甕 【意味等】水がめ、台所などの水を汲み入れておく甕 【参考】 ・はんどう(口が広く底が丸い器)+かめ(甕)→広口の底が丸い甕 ・飯銅だけで、水を貯蔵するための大型の粗陶器(水がめ)のこともさす ・九州では「はんどう」「はんと」と言い、漢字で「半銅」「飯胴」「半斗」と書く |
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187 | はんぱもん 《詳しくはこちら》 |
【標準語】半端者、半端物 【意味等】 1)「半端者」のはんぱもん 《意味》未熟者、経験不足の者、使いものにならない人、半人前 《参考》漢字で「半端者」→下記のような者のことも言う ・外見や言動が低劣で粗暴な人…ごろつき、チンピラ、不良、乱暴者、人間のクズなど ・世間から疎まれるような人……半端者、はみ出し者、フーテン、あぶれ者など 2)「半端物」のはんぱもん 《意味》全部そろっていない物、半端である物 《同義》ちぐもの、はんぱもん 《用例》「上等の有田焼の湯飲みセットばってん、ハンパモンやけん…半額たい」 →「上等の有田焼の湯飲みセットだけど、全部そろってないので…半額ですよ」 |
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188 | ばんばら |
【標準語】散乱している、八方破れの 【意味等】 1)「散乱している」のバンバラ 《意味》髪が乱れている様、裾が乱れている様、散らかっている様 《参考》他の地域では「ばんばらこ」「ばんばらけ」「ばんばらば」 《関連》「ばんばら」を使った言葉 ・「ばんばらがみ」→乱れ髪、ぼさぼさの髪、油っ気のない髪 ・「ばんばらばん」→ざんばら髪、整えた髪を振り乱した状況 《用例》「浴衣あ好いとうばってん、帯の緩うでバンバラいなったら…見たむなか」 →「浴衣は好きなんだけど、帯が緩んで裾が乱れてはだけたらたら…格好悪い」 2)「八方破れの」のばんばら 《意味》穴だらけで芯のない様、隙だらけの様子、何をしても道理に合わない状況 《用例》「根回しせんで提案するけん…バンバラやもん、質問一ついも…答えきらん」 →「根回しせずに提案するので…八方破れだよ、質問一つにも…答えられない」 【参考】「ばらばら」の音変異と思われる、関西から九州の一部で使われる |
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189 | ばんばらがみ |
【標準語】乱れ髪 【意味等】ぼさぼさの髪、油っ気のない髪 【用例】「はえかぶって…バンバラガミいなっとう、散髪して…こそうぞうとしない」 →「伸び放題で…ぼさぼさ髪になっている、散髪して…こざっぱりしなさい」 |
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190 | ばんばらばん |
【標準語】さんばら髪 【意味等】整えた髪を振り乱した状況、結った髪をほどいてバラバラにした様 【用例】「お色直しで洋装にするたあ、髪ばバンバラバンいするけん…時間のかかる」 →「お色直しで洋装にするのは、結った髪をバラバラにするので…時間がかかる」 |
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191 | ぱんぱんしゃん |
【標準語】神社、神棚(幼児語) 【意味等】神社、神棚、柏手をパンパンと打つところ、ぱんぱん様 【類義】まんまんしゃん:寺院、仏壇、まんまんと唱えるところ、まんまん様 【用例】「ぱんぱんしゃんに…おへぎば上ぐるけん、あんたも一緒い…参んしゃい」 →「神棚に…おへぎ(お供え物の器)を上げるので、あなたの一緒に…参りなさい」 |
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192 | ばんみず |
【標準語】灌水(農業用語) 【意味等】 水争いを避けるために順番を決めてここの田畑に水を引くこと 【参考】漢字で「番水」、日本各地の農村で使われていた方言、干ばつの年に行われる ・渇水時に平等に・順番に水が行き渡るように、川の用水配分と管理をする水利制度 ・中世以降にシステム化された、干ばつ時の灌漑用水の分配方法のひとつ |
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193 | はんみち |
【標準語】半里 【意味等】1里の半分、約2㎞ 【参考】漢字で「半道」、行程の中途という意味もある 【用例】「遠足な…楽しかろう?あとハンミチで着くけん、頑張りんしゃい」 →「遠足って…楽しいでしょ?あと2㎞ぐらいで着くので、頑張ってね」 |
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194 | はんごうがめ |
【標準語】半合甕 【意味等】水がめ、小ぶりの甕 【参考】一般的な甕の半分ぐらいの大きさであるため、半合(はんごう)甕という |