しかしか

【標準語】てきぱき、はかばかしく、次々と、しっかり

【品詞】副詞

【意味】

(1)「てきぱき」の「しかしか」

《意味》素早く手ぎわよく物事を行う様、かいがいしく行う様、しっかり

《用例》

・今度のバイトな…えらいよか、何も言わんっちゃ…シカシカ働きなあ
 →今度のバイトは…とてもよい、何も言わなくても…しっかり働くんだ

・てれてれしなんな…働きない、シカシカ仕事せな…今日中い終わらんぜ
 →ぐずぐずするな…働けよ、てきぱき仕事しないと…今日中に終わらないぞ

・あれの仕事ぶりば…見てんやい、シカシカしながら…部下いの指示も適確やが
 →あいつの仕事ぶりを…見てみろよ、手際よくしながら…部下への指示も適確だよ

(2)「はかばかしく」の「しかしか」

《意味》物事が望ましい方向へ進むさま、はきはき、はっきり

《用例》

・あの会社な…信用も責任感も強かけん、発注した仕事な…シカシカ進みよう
 →あの会社は…信用も責任感も強いので、発注した仕事は…はかばかしく進んでいる

・あの子が…学校一の優等生ばい、シカシカものば言うて…賢かろうごとしとう
 →あの子が…学校一の優等生だ、ハキハキものを言って…賢そうにしている

・はらかかんけん、なして…そえんなったとか、シカシカと言うてんない
 →怒らないから、なぜ…そんなになったのか、はっきりと言ってごらん

(3)「次々と」の「しかしか」

《意味》ひっきりなしに、絶え間なく、後から後から、頻繁に

《用例》

・テレビで…うちの饅頭の紹介されて、朝からシカシカ客の来て…1時間で売り切れた
 →テレビで…うちの饅頭が紹介されて、朝から次々と客が来て…1時間で売り切れた

・わんこ蕎麦屋い行たが…シカシカお代わりの麺ば入れなあけん、150杯も食うた
 →わんこ蕎麦屋に行ったら…絶え間なくお代わりの麺を入れるので、150杯も食った

・電車の止まっとうけん…駅な、苦情やらのシカシカで…ばたばたしとう
 →電車が止まってるので…駅は、苦情などが引っ切り無しで…てんやわんやしている

(4)「滅多に」の「しかしか」

《意味》そうそう、ろくに、ざらに、頻繁には、さっぱり、健康がすぐれない様

《参考》(3)の対義語として使われる場合もある

《用例》

・商品数の多かとが…売りばってん、牛の鼻輪のごたあたあ…シカシカ売れん
 →商品数が多いのが…売りだけど、牛の鼻輪のようなのは…滅多に売れない

・ネグレクトばい…実子いなごっつおー食わいて、継子いな…シカシカ食わせなれんげな
 →ネグレクトだよ…実子にはご馳走食わせて、継子には…ろくに食わせないそうだ

・なしかいな?超特価…赤字覚悟んとい、シカシカ売れん…いっちょん売れん
 →何故なんだ?超特価…赤字覚悟なのに、さっぱり売れない…ちっとも売れない

(5)「かんかん」の「しかしか」

《意味》さんさん、日が照る様子

《用例》

・この時季な…稲の育つ時やけん、田んぼい…シカシカと陽の当らなあいかん
 →この時季は…稲が育つ時なので、田んぼに…燦燦と陽が当らないといけない

・スイカな…暑かほうがよう育つけん、はよ梅雨の明けて…シカシカ照らんかいな
 →スイカは…暑いほうが良く育つので、早く梅雨が明けて…かんかん照らないかな

【参考】

・(1)~(3)の「しかしか」は、漢字で「確々」。古い言葉で、意味は同じ

・(4)、(5)の「しかしか」は、漢字で「然々」。打消しの語を伴い「それほど」の意

・また「然々」は「赫々然々(かくかくしかじか)」の「然々」と同様の意味でもある

・この「然々」は、繰り返しや継続している状態を表わす

【類義】こしこしと、こしごしと

《意味》地道に、本腰で

《参考》類義は(1)~(3)のみ、(4)、(5)は除く

《用例》

・また赤字ってな?てれてれせんで…コシゴシト仕事ばせな、店な潰るるばい
 →また赤字だって?いい加減にせず…本気を出して仕事をしないと、店は潰れるぞ

・弁護士いなりたかとなら、コシコシト勉強せな…いきめえもん
 →弁護士になりたいのなら、本腰を入れて勉強しないと…いかんだろ

【対義】てれてれ、てれんぱれん、ぼさぼさ

《意味》のろのろ、ぐずぐず、ぼんやり、だらだら

《参考》対義は(1)~(3)のみ、(4)、(5)は除く

《用例》

・新幹線い…乗り遅りょうごたあ、ああたテレテレ歩きよったら…置いて行くばい
 →新幹線に…乗り遅れそうだ、あなたノロノロ歩いていたら…置いて行くよ

・ボサボサして…最終電車い乗り遅れた、ごめんばってん…ああたんがたい泊めちゃらん?
 →ぼんやりして…最終電車に乗り遅れた、悪いけど…あなたの家に泊めてくれない?

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【翻訳】
「はっきりと言ってみロヨラ!ちっともわからん」
「それがねぇ…あのねぇ…えーとねぇ…」

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「しかしか」に関係する言葉

しかっと、しかと

【標準語】しっかりと

【品詞】副詞

【意味】ちゃんと、きちんと、十分に、確かに、確実に

【同義】しかっと、しかと

【参考】

・由来は「確と(しかと)」で、同じ意味

・「しかと」は広く使われており、意味の部は標準語としても使われる

【対義】てれっと、ぼさっと

《意味》ぼーっと、ぼんやりと、気合が入っていない様、間が抜けた様

《類義》てれてれ、てれんぱれん、ぼさぼさ、ぼやーんと、もさっと

《参考》

・「てれっと」は迂闊さを表わし、気合いが入ってないの意味合いが強い

・「ぼさっと」は呆け(ぼんやり)を表わし、間が抜けている意味合いが強い

《用例》
 
・テレット会社の社長さんやなかとばい、シカシカト仕事ばせな…潰るるばい
 →ぼーっとするのが仕事じゃないんだよ、ちゃんと仕事をしないと…倒産するぞ

・授業中いボサーット聞きようけん、大事かこたあ右の耳から左の耳い抜けよろ?
 →授業中にぼんやり聞いてるから、大事なことは右の耳から左の耳に抜けてるだろ?

【用例】

・何ば言いよるか…いっちょん分からん、分かるごと整理して…シカット説明しない
 →何を言ってるか…さっぱり分からん、分かるよう整理して…ちゃんと説明しなさい

・打ち合わせば…したかったが、時間ののうして…シカト話しなでけんやった
 →打ち合わせを…したかったけど、時間が無くて…十分に話しが出来なかった

・明日の朝が…原稿の締め切りばい、徹夜いなるけん…みんなシカット進めちゃり
 →明日の朝が…原稿の締め切りだ、徹夜になるから…みんな確実に進めてちょうだい

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こしこしと、こしごしと、しかしかと

【標準語】地道に、本腰を入れて

【品詞】副詞

【意味】

《意味》ちゃんと、堅実に、着実に

《用例》

・兄さんな…コシコシト勉強しよんなったが、卒業前い…司法書士の試験に合格しなった
 →兄さんは…地道に勉強してたけど、卒業前に…司法書士の試験に合格しちゃった

・目標ば立てて…コシゴシトこなしよったら、大谷翔平のごとならるる…かもしれん
 →目標を立てて…着実にこなしていたら、大谷翔平のようになれる…かもしれない

・成功い…近道な無か、することばシカシカトしながら…チャンスば待つったい
 →成功に…近道は無い、やることを堅実にやりながら…チャンスを待つんだよ

(2)「本腰を入れて」の「こしごしと」

《意味》真剣になって、本気になって、覚悟を決めて

《用例》

・ほんなことい…弁護士いなりたかとや?なら、コシコシト勉強せな…いきめえもん
 →本当に…弁護士になりたいのか?じゃあ、本腰を入れて勉強しないと…いかんだろ

・また赤字ってな?てれてれせんで…コシゴシト仕事ばせな、店な潰るるばい
 →また赤字だって?いい加減にせず…本気を出して仕事をしないと、店は潰れるぞ

・どえな仕事でっちゃ…誠意ばもってシカシカト取り組まなあ、みんない信頼されん
 →どんな仕事でも…誠意をもって真剣になって取り組まないと、みんなに信頼されない

【同義】こしこしと、こしごしと、しかしかと

【参考】

・「こしこしと」と「こしごしと」は、腰を入れての意味から「腰々と」が由来と思われる

・「しかしかと」は、しっかりとの意味から漢字の「確確と」が由来と思われる

【翻訳】
「本腰を入れて…生産しました!買ってください」

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