~と

【標準語】~もの、~の、~よ、~だ、~な

【品詞】準体助詞(体言の代用をする格助詞)、文末助詞(疑問や念押しを表す)

【意味】
・明確化する「と」
《参考》物品などの所有や事柄の状況を明確にする
《類義》~たあ(~とな、~とは):~のは(~のもの)
《用例①》おんなしカパンやけん、間違ようごたあ…あっ、そらあ俺んト。君んタアこれ。
 →同じ鞄なので、間違えそうだ…あっ、それは俺のもの。君のはこれ。
《用例②》さあきまで…待っとんなったが「用のあるけん」って言うて、帰んなったト。
 →先ほどまで…待っていたけど「用があるから」と言って、帰っちゃったよ。

・断定をする「と」
《参考》物事の状況や状態を断定する
《用例①》糸島で買うてきたイチゴばい。その赤うして…大きなかトが、いっち…んまかト。
 →糸島で買ってきたイチゴだよ。その赤くて…大きいのが、一番…旨いんだ。
《用例②》今、2対5でホークスが勝っとうト。さあき…柳田が3Rホームランば打ったト。
 →今、2対5でホークスが勝ってるよ。さっき…柳田が3Rホームランを打ったんだ。

・問い掛けの「と」
《参考》物事の状態や心情を問い掛け、確認する
《用例①》こまかとい、よう…ひとんで天神のちょうい買いもんに行きいね?えずうなかト?
 →幼いのに、よく…一人で天神に買い物に…行くことができるね?怖くないの?
《用例②》見送りい行かんト?行かんでよかト?しばらく会えんトよ…後悔せんトね?
 →見送りに行かないの?行かなくていいの?しばらく会えないのよ…後悔しないのね?

・否定命令の「と(んと)」
《参考》行動などについて否定「ん」に連続し否定命令する
《用例①》真っ当に生きるとなら…盗とやらせんト。嘘なつかんト。最低限のルールばい
 →真っ当に生きるのなら…盗みなどするな。嘘はつくな。最低限のルールだぞ
《用例②》叩かんト、蹴らんト…からかわんト…。あんたもビービー泣きなんな…男やろ。
 →叩くな、蹴るな…からかうなよ…。あんたもビービー泣くんじゃない…男でしょ。

【参考】新しい使い方(話ことば):「名詞+と?」→「名詞+なの?」で、問いかけの「と」
《用例①》あたしい「好いとう…つきおうちゃってん」って言いよったばってん…嘘ト?
 →私に「好きだ…付き合ってくれ」って言ってたけれど…嘘なの?
《用例②》味噌の原料は大豆ト?豆腐も大豆ト?なら、豆腐の味噌汁な…ほとんど大豆ト?
 →味噌の原料は大豆なの?豆腐も大豆?じゃあ、豆腐の味噌汁は…ほとんど大豆なの?
《用例③》居酒屋い…おるとばってん、あんたもきー。一緒い飲もう。えっ…今、家ト?
 →居酒屋に…いるんだけど、あなたもおいでよ。一緒に飲もう。えっ…今、家なの?

【関連】CMでも出てくる:「動詞+んと」→「動詞+しないと」で、仮定の「と・んと」
《用例①》ふくさやの明太は、食べント…わからん、わからん…。3・2・1、ピシャ
 →ふくさやの明太は、食べないと…わからない、わからない…。3・2・1、ピシャ
《用例②》言葉じゃ…伝わらんト。自分の力で登ってみらんト…この達成感はわからんト
 →言葉じゃ…伝わらないよ。自分の力で登ってみなければ…この達成感はわからないよ

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イラストによる状況解説

 

【翻訳】
①「これは…俺のもの」「それは…僕のもの」
②「心配しなくても、たくさんあるよ」「たくさんある…そうだ」「うまい」
③「じいちゃん…それ、うまいの?」「これは…苦くてうまくないんだよ」
④「じいちゃん…飲んじゃだめだ、医者から飲むなと言われているだろ」「1杯くらい…どうってことないさ」「苦いのなら飲まなきゃいいのに」

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