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「ま(マ)」の博多・糸島弁

1 ま  《詳しくはこちら》
  【標準語】もう
【意味等】この上、更に、いま
【同義】ま、まあ
【参考】「ま」を使った言葉
・まいっぺん、まいっかい→もういっぺん
・まいっちょ、まひとつ→もうひとつ
・まちっと、まちょっと、まちょこっと→もう少し
2 まあ  《詳しくはこちら》
  【標準語】もう
【意味等】「ま」に同じ
【参考】「まあ」を使った言葉
・まあいっぺん、まあいっかい→もういっぺん
・まあいっちょ、まあひとつ→もうひとつ
・まあちっと、まあちょっと、まあひとせん→もう少し
3 まあたらし
  【標準語】新品
【意味等】真新しい、おろしたて、未使用
【同義】まあたらし、まっさら
【参考】まっ(真に)+あたらし(新しい)→新品
【用例】「新入生やけん、学生服もカパンも靴も、そうよマアタラシ…汚しなんなよ」
 →「新入生なので、学生服も鞄も靴も、すべて新品…汚すなよ」
4 まあひとせん  《詳しくはこちら》
  【標準語】もう少し
【意味等】もうちょっと、もう少し
【同義】まあひとせん、まちっと、もちょこっと
【参考】まあ(もう)+ひとせん(「一寸:の音変異)→もう少し
【用例】「分け前な…こがしこな?儲けば独り占めしなんな…マアヒトセン出しない」
 →「分け前は…これだけかい?儲けを独り占めするなよ…もうちょっと出しなさい」
5 まあぶう
  【標準語】海霧(漁業用語)
【意味等】海上で発生する霧、冬の始めごろに内湾の海岸に発生する朝霧
【同義】まあぶう、まぶ、まんぶう
【参考】語源は「魔布」、濃霧であり視界を遮るため航行の障害になる
6 まいかけ
  【標準語】前掛け
【意味等】前垂れ、エプロン、調理などの立ち作業で身につける着衣
【参考】「前掛け」の音変異
【用例】「マイカケ締めるたあ、水仕事の汚れ防止もばってん…腰痛の防止いもなる」
 →「前掛け締めるのは、水仕事の汚れ防止もだけど…腰痛の防止にもなる」
7 まいかけじょうもん
  【標準語】働く美しい女性
【意味等】調理場などでせっせと働く博多美人、エプロン姿の綺麗な女性
【参考】まいかけ(前掛けをつけて仕事をする)+じょうもん(美しい女の人)
【用例】「おらあ…あすこで給仕しよるごたあ、マイカケジョウモンが好いとうと」
 →「俺は…あそこで給仕をしているような、エプロン姿の美人が好きなんだ」
8 まいげ  《詳しくはこちら》
  【標準語】眉毛
【意味等】眉、目の上と額の間に横に並んで生えている毛、眉の毛
【同義】まいげ、ますげ(まつ毛のことだが、眉毛の意味もある)
【参考】眉毛(まゆげ)の音変異、北陸から九州までの広い範囲の一部地域で使われる
【用例】「あたきゃ毛濃いかけん、髭ば剃るときいマイゲも剃らなあ…つながると」
 →「私は体毛が濃いので、髭を剃るときに眉毛も剃らないと…繋がっちゃうんだ」
9 まいじゃく
  【標準語】網の修繕(漁業用語)
【意味等】網修理、魚を取る網の破れをなおすこと
【参考】糸島西部から唐津にかけての一部漁村で使われる
10 まいっちょ  《詳しくはこちら》
  【標準語】もうひとつ
【意味等】もう一個、もう一丁
【同義】まいっちょ、まあいっちょ、まひとつ
【用例】「美味かねぇ…このおはぎ、マイッチョ食べてよかかいな?」
 →「美味いねぇ…このおはぎ、もう一つ食べてもいいかなあ?」
11 まいっぺん  《詳しくはこちら》
  【標準語】もういっぺん
【意味等】もう一回、もう一度
【同義】まいっぺん、まあいっぺん
【用例】「あの店のチャンポン…野菜の多して旨かったねえ、マイッペン行ってんろ」
 →「あの店のチャンポン…野菜が多くて旨かったなあ、もういっぺん行ってみよう」
12 まいで
  【標準語】以前
【意味等】この前、前回
【同義】まいで、まえで
【用例】「マイデ…来たときいな、この辺な桜の満開で…えらい綺麗かったと」
 →「以前…来たときには、この辺は桜が満開で…とても綺麗だったよ」
13 まいまい  《詳しくはこちら》
  【標準語】旋回、渦、旋毛
【意味等】
(1)「旋回」のまいまい
《意味》空中や水中をくるくると回ること、飛び回ること、飛散すること
《関連》水中を旋回するミズスマシのことを「マイマイ、マイマイムシ」という
《用例》「漁港い行たら、トンビのたいそマイマイしよるが…魚ば狙いよるとかいな」
 →「漁港に行ったら、トンビがたくさん旋回しているけど…魚を狙っているのかな」
(2)「渦」のまいまい
《意味》渦を巻いていること、巻貝の形状
《関連》殻が渦状のカタツムリのことを「マイマイ、マイマイムシ」という
《用例》「西海橋んにきな海流の速かけん、下ば覗きこうだら…マイマイの見ゆる」
 →「西海橋の付近は海流が早いので、下を覗き込んだら…渦が見える」
(3)「旋毛」のまいまい
《意味》頭頂部の毛が集中して放散性の渦状になっている部分、頭の真中
《同義》ぎりぎり、まいまい、まいまいこんじょう
《用例》「おらあマイマイの2つあるけん、頭のよかげなばってん…禿げ易かとげな」
 →「俺は旋毛が2つあるので、頭がいいんだそうだが…禿げ易いそうだ」
14 マイマイ  《詳しくはこちら》
  【標準語】カタツムリ、ミズスマシ
【意味等】
(1)「カタツムリ」のマイマイ
《意味》蝸牛、でんでんむし、陸に棲む巻貝のうち殻を持つものの通称
(2)「ミズスマシ」のマイマイ
《意味》豉虫、コウチュウ目に含まれる水面を素早く泳ぐ小型の水生昆虫
【同義】マイマイ、マイマイムシ
15 まいまいこんじょう  《詳しくはこちら》
  【標準語】旋毛、頭頂部の毛が集中して放散性の渦状になっている部分
【意味等】「まいまい」(3)に同じ
16 マイマイムシ  《詳しくはこちら》
  【標準語】カタツムリ、ミズスマシ
【意味等】「マイマイ」に同じ
17 まう  《詳しくはこちら》
  【標準語】回る
【意味等】回転する、巡る、旋回する、巡回する
【参考】「回う・舞う」の音変異
【用例】「朝から具合の悪か…吐き気のして、目のマウ」「酒臭かけん、宿酔いやろ」
 →「朝から体調が悪い…吐き気がして、目が回る」「酒臭いので、宿酔でしょ」
18 まえさがり
  【標準語】片前下がり
【意味等】着物や服の裾が左右揃わずに一方が下がっている状態、肩前だれ
【同義】かたみだれ、まえさがり
【用例】「誰が着付けばしたとな?せっかくの振袖の、マエサガリいなっとうが」
 →「誰が着付けをしたんだい?せっかくの振袖が、方前下がりになっているよ」
19 まえのはたけ
  【標準語】屋敷畠
【意味等】屋敷の前に配した畠地、自宅の屋敷に付属する自家用野菜の畑
【参考】昔の田舎屋敷は一般的に、自宅前に畑を配して家事消費の野菜を作っていた
【用例】「あら…ネギのなか、味噌汁い入れるけん、誰かマエノハタケで採ってきて」
 →「あら…ネギが無い、味噌汁に入れるので、誰か屋敷畠から採ってきて」
20 まえろ
  【標準語】三の艪(漁業用語)
【意味等】舟の左舷の艪、艪を3本使う場合に舟の左舷中間につける第3の艪
21 まが
  【標準語】馬鍬(農業用語)
【意味等】牛馬や農機具にひかせて田の代掻き(土の破砕、ならし)をする農具(鍬)
【参考】 横木に長さ約15cmの歯を等間隔に立たせ、前方に轅2本を取り付けたもの
22 まがい
  【標準語】渋糸(漁業用語)
【意味等】絹糸や麻糸を柿渋で処理して耐水性を加え強化した釣糸
【参考】由来は不明、当時の釣糸の主流はテグス(天蚕糸)なので、そのまがいもの?
23 まがかけ
  【標準語】代掻き(農業用語)
【意味等】耕起した田に水を張り、土を細かく砕いてかき混ぜ、表面を平らにする作業
【参考】まが(馬鍬)+かけ(掻け)→馬鍬で水田の均しをすること→代掻き
24 マガゼ
  【標準語】トルトノキ
【意味等】モガシ、ホルトノキ科ホルトノキ属の植物の一種
【参考】由来は不明、ホルトノキは「ポルトガルの木」が転訛したもの
25 まがどうふ
  【標準語】凍み豆腐
【意味等】高野豆腐、寒気にさらして凍らし固めた豆腐
【参考】由来は不明
26 まがのこ
  【標準語】つらら
【意味等】雨や雪の水滴が凍って軒下などに垂れ下がったもの
【参考】由来は「馬鍬の子」、つららが馬鍬の等間隔の歯に形状が似ていることから
27 まがりがね
  【標準語】曲尺
【意味等】矩尺、金属製の直角に曲がった形の建築用のものさし、大工道具のひとつ
【用例】由来は形状と材質(直角に曲がった金属の物差し)から
28 まかるな
  【標準語】値引きできるか?
【意味等】負けられるか?、値段を下げられるか?
【類義】まからんな?→値引きできないかい?
【参考】値段交渉の常套句、値引きしたら買うかもしれないの意思表示
【用例】「こら甘かろうごたあ、よかスイカやなぁ…ほしかばってん、マカルナ?」
 →「これは甘そうな、よいスイカだねえ…欲しいんだけど、値引きできるかい?」
29 まからんな
  【標準語】値引きできないか?
【意味等】負けられないか?、値段を下げられないか?
【類義】まからるな?→値引きできるかい?
【参考】値段交渉の常套句、値引きないと買うのを躊躇する意思表示
【関連】「まかるな?まからんな?」は、売り手側に値引きを迫る言い方
【用例】「甘かろうごたあスイカやなぁ…安かったら買うとばってん、マカランナ?」
 →「甘そうなスイカだねえ…安けりゃ買うんだけど、値引きできないか?」
30 まぎ
  【標準語】雑木
【意味等】ナラやクヌギなどの材木として、あまり役に立たないような粗末な木
【参考】由来は「薪」、薪にしかならない雑木
【関連】まぎのぼう→雑木で作った棒
31 まきあげ
  【標準語】牧場帰りの牛(農業用語)
【意味等】牧場(放牧)から連れ帰ってあまり日時がたっていない牛
【参考】まき(牧場:放牧)+あげ(上がり:終了)→放牧終了の牛
32 マキナ
  【標準語】チョクレイハクサイ
【意味等】ハクサイ、アブラナ科の蔬菜、中国直隷省原産の白菜、直隷白菜
【参考】由来は、葉を巻き込みながら生育する菜葉による
33 まぎのぼう
  【標準語】雑木の棒
【意味等】ナラやクヌギなどの雑木の棒
【参考】一般には薪、クヌギなどはシイタケの榾木に使われる
34 まぐ
  【標準語】交尾する
【意味等】まぐわう、動物の雌雄両性が交接する、つがう、情交する
【参考】由来は、同じ意味の古語「媾う(まぐわう)」の音変異
【関連】「まぐあう」の語源は「目合う:互いに目を見合わせて愛情を通わせること」
35 まぐさがり
  【標準語】秣刈(まぐさかり)(農業用語)
【意味等】田植えが終わった夏場…牛馬の冬用飼料用に秣場に馬草を刈りに通うこと
【参考】家畜の冬期飼料となる草を、夏の農閑期に刈り取ること
36 まくじ
  【標準語】目やに
【意味等】目糞、目垢、眼脂(がんし)、目から出る生理的な分泌物・老廃物
【同義】まくじ、まなくじ、めあね
【参考】語源は不明
37 まくばる
  【標準語】間隔を置く、公平に分ける
【意味等】
(1)「間隔を置く」のまくばる
《意味》適度な間隔を保って置く、あちこちに分けて置く
《参考》時間や距離など一定の間をあけ、分けて配置・配布すること
《用例》「いっぺんにやったら、これがそうよう食うてしまうけん…マクバッチャリ」
 →「一度に与えたら、こいつが全部食っちまうんで…分けながら与えてちょうだい」
(2)「公平に分ける」のまくばる
《意味》一様に生き渡させる、偏りがないように配る
《参考》すべての配布対象に、平等に行き渡るように偏りなく分けること
《用例》「被災者の夕食やけん、食べられん人のおらんごと…マクバッチャリ」
 →「被災者の夕食なので、食べられない人がないように…公平に分けてちょうだい」
【参考】由来は「間配る」、全体が恩恵を被るように一様に配置・分配すること
38 まくら
  【標準語】枕畝(農業用語)
【意味等】田畑の両端、または農地を囲むように立てられた畝
【参考】由来は、複数の畝と直角に接し、それらの枕のように見えるため
【関連】水田の畑地への一時転用など、水はけを調節するための畝
39 まくらみぞ
  【標準語】枕溝(農業用語)
【意味等】畝端に排水のために掘った溝
【参考】由来は、畝の端の枕に当たる部分に掘られた溝であるため
【関連】水稲の裏作に麦を植えたときに、水はけを調節するための排水用の溝
40 まくり
  【標準語】御座(ござ)
【意味等】イグサで編んだ敷物
【参考】由来は、御座は薄く捲れることから「まくり」の音変異
【関連】ワラを編んだ敷物は「むしろ」、御座は畳表にも使われるので上等な敷物
41 まぐれ
  【標準語】間一髪
【意味等】差し迫った瞬間
【参考】由来は不明、一瞬なので「目+暗し」、「目+切る」と思われる
【関連】一般的には、標準語で「偶然の好運にめぐまれること」の意で使われる
・標準語の由来は「紛れ:因果関係がわからない」だが、語源は「目暗し」と思われる
【用例】「そこい仮面ライダーのきんしゃって…爆発からマグレ助け出しんしゃった」
 →「そこに仮面ライダーが現れて…爆発から間一髪、助け出したんだ」
42 まぐれる
  【標準語】迷う、失神する
【意味等】
(1)迷うの「まぐれる」
《意味》迷う、わからなくなる
《用例》「認知症いなりようごたあ、家ば出たんだあ…マグレテ帰られんごとなる」
 →「認知症になりつつあるようだ、家を出たら…迷って帰れなくなっちゃうんだ」
(2)失神するの「まぐれる」
《意味》気を失う、目が眩んで倒れる、気を失うほど驚く
《用例》「おら~えずかた好かん…お化け屋敷やら行たら、えずうしてマグリョウや」
 →「俺は~怖いのは嫌だ…お化け屋敷なんかに行ったら、怖くて気を失っちゃうよ」
【参考】由来は「紛れる」で、わからないようになること、またその状態
【関連】強調の「ど」がついた「どまぐれる」は、堕落するやうろたえるの意味
43 まこ
  【標準語】鮞(はらごこ)、実子
【意味等】
(1)「鮞(はらごこ)」のまこ
《意味》魚卵、出産前の魚類の卵塊、はららご、はらこ
《対義》白子(しらこ)
《用例》「このカレイの煮付けな…旨かなあ、マコば抱えて…身もふわふわしとう」
 →「このカレイの煮付けは…旨いねえ、卵を抱えて…身もふわふわしている」
(2)「実子」のまこ
《意味》実の子、いとしご、まなご、最愛の子
《参考》ま(慈しみを表す接頭語)+こ(子)
《関連》「まこ」は血のつながった実子、「ままこ」は血のつながっていない継子
《用例》「うちゃあ子供の多かばってん…再婚やけん、あたきのマコなあこの子だけ」
 →「我が家は子供が多いけれど…再婚だから、私の実の子はこの子だけ」
【関連】由来は古語の「真子(まこ)」意味は(2)
44 まご
  【標準語】植え残し、半端な畝(農業用語)
【意味等】
(1)「植え残し」のまご
《意味》田植のとき田の隅にできる植えそこないの空地
(2)「半端な畝」のまご
《意味》いびつな形の水田の隅にできる短い畝
【参考】由来は不明、植え継など手間のかかる農地の一部
【関連】「まごもうり」:「まご」の部分への稲の植え付け
45 まごもうり
  【標準語】補植
【意味等】植え残しの場所に稲を植えること
【参考】まご(植え残した場所)+もうり(面倒を見る)→植え残しがないよう植える
46 ましあしあわん
  【標準語】急場の用に立たない、割に合わない
【意味等】
(1)「急場の用に立たない」のましあしあわん
《意味》当座の用に役立たない、緊急時に使えない
《用例》「けえなパンク修理剤やら、マシアシアワン…スペアタイヤばつけちゃり」
 →「こんなパンク修理剤なんか、急場の役に立たない…スペアタイヤをつけてくれ」
(2)「割に合わない」のましあしあわん
《意味》無駄骨、儲けがない
《用例》「こえん、やっさと呼び出されて対応せないかんとなら、マシアシアワン」
 →「こんなに、頻繁に呼び出されて対応しないといけないなら、割に合わない」
【同義】ましあしあわん、ましゃくいあわん、まひょうしいあわん
【参考】由来は不明、「ましゃくいあわん」の音変異と思われる
47 ましゃくいあわん
  【標準語】急場の用に立たない、割に合わない
【意味等】「ましあしあわん」に同じ
【参考】由来は「間尺に合わない」、割に合わない、損をするの意
【用例】
・困っとうとい、休みやけん来られんやら…マシャクイアワン業者やねえ
 →困っているのに、休みなので来れないなんて…急場のように立たない業者だなあ
・飲み放題んとい、注文したっちゃ…いっちょん来ん、マシャクイアワンやなかな
 →飲み放題なのに、注文しても…ちっとも来ない、割に合わないじゃないか
48 ますげ  《詳しくはこちら》
  【標準語】まつ毛、眉毛
【意味等】
(1)「まつ毛」のますげ
《意味》瞼の上の毛
《参考》由来は「睫毛(まつげ)」の音変異
《用例》「この赤ちゃんな、マスゲの長うして…愛らっさ、べっぴんになんなあばい」
 →「この赤ちゃんは、まつ毛が長くて…可愛いねえ、美人になるよ」
(2) 「眉毛」のますげ
《意味》眉毛、まゆ、「まいげ」に同じ
《用例》「水商売のひたあ化粧しなあけん…マスゲば剃ったり抜いたりしとんしゃあ」
 →「水商売の人は化粧をするので…眉毛を剃ったり抜いたりしているよ」
49 ますぼり  《詳しくはこちら》
  【標準語】へそくり
【意味等】秘かに貯えた物品、本来は米などを貯めておいて臨時の出費で使うこと
【参考】由来は「桝減り」、もしもに備え…枡から減らした米を少しずつ貯めること
【関連】へそくりをする…少しずつ金品を抜き取って貯める行為は「ますぼる」
【用例】「よかろ?奢んないや…ああたマスボリ金ば、たいそ持っとらっしゃろうが」
 →「いいだろ?奢ってくれよ…あなたヘソクリ金を、たくさん持っているんでしょ」
50 まぜめし
  【標準語】五目飯
【意味等】魚肉または野菜など種々の具材を入れて炊いたご飯
【同義】あじめし、まぜめし
【参考】由来は、炊いて具材とご飯を均等に混ぜ合わせつことから
【用例】「食育の講義で、九大生の鶏ば絞めて…マゼメシば作って食いんしゃあげな」
 →「食育の講義で、九大生が鶏を絞め殺して…かしわ飯を作って食うそうだ」
51 まぜくりまわす
  【標準語】まぜかえす、混乱させる
【意味等】
(1)「まぜかえす」のまぜくりまわす
《意味》物を混ぜ返す、必要以上に混ぜ返す
《用例》「あんまとマゼクリマワイタラ、雑菌の入ってねまるけん…ちょっとでよか」
 →「あまり混ぜっ返すと、雑菌が入って腐るので…少しでいい」
(2)「混乱させる」のまぜくりまわす
《意味》差出口をして話を混乱させる、混乱させて妨害する
《類義》さいたらまわす:余計な口出しをする
《用例》「あれがはしかかこと言うて、会議ばマゼクリマワスけん…なあも決まらん」
 →「あいつが攻撃的なことを言って、会議を混乱させ妨害するので…何も決まらん」
【参考】まぜ(混ぜる)+くり(繰り返す)+まわす(回す)→しつこく混ぜ返す
52 またから  《詳しくはこちら》
  【標準語】次から
【意味等】以後、二度と、再度、その後、それからのち
【参考】また(再び)+から(助詞)→次から
・「またから」の後には否定文が接続する、肯定分の場合は「また」に接続
【用例】「なんや、この店な…ビール1本で5,000円?はらかいた、マタカラ来ん」
 →「なんだ、この店は…ビール1本で5,000円?怒ったぞ、二度と来ない」
53 またぎ
  【標準語】竿掛け(漁業用語)
【意味等】舟の櫓床に立てた釣桿を載せる股木、二股になっている木
【参考】由来は「股木」「叉木」で、二股の竿などがかけられる木
54 またごす  《詳しくはこちら》
  【標準語】またぐ
【意味等】またいで物の上を越える、またいでいく
【参考】また(またぐ)+ごす(越える)→またいで越える
【用例】「行儀な悪かばってん、酔うて寝とんなあけん…マタゴイテ行くけん」
 →「行儀は悪いけれど、酔って寝ているので…またいで越えて行くから」
55 マタジイ
  【標準語】マテバシイ
【意味等】ブナ科マテバシイ属の常緑高木、日本で一番大きなドングリの実をつける
【同義】マタジイ、マテガシ、マテジイ、マテシイノキ、マテノキ
【参考】葉の形がマテ貝に似ていることから「マテバシイ」マタジイは、その音変異
56 まちかた
  【標準語】非農家
【意味等】農家以外、給与生活者、勤め人
【参考】由来は「町方」本来の意味は、町に住む人や町の方の意味
【用例】「あんたあマチカタやけん、夏な冷房の下で仕事のでけて…よか身分やなあ」
 →「あんたは勤め人だから、夏は冷房の下で仕事ができて…いい御身分ですなあ」
57 まちっと  《詳しくはこちら》
  【標準語】もう少し
【意味等】「まあひとせん」に同じ
【参考】ま、まあ(もう)+ちっと(ちょっと、ちょこっと)→もうちょっと
【用例】「ちょっと無理ばい、マチット男前やったら…付きおうちゃるとばってん」
 →「ちょっと無理だわ、もうちょっと男前だったら…付き合ってあげるんだけど」
58 まちない
  【標準語】待ってくれ
【意味等】待ちなさい
【同義】まちない、まちやい
【参考】まち(待ち)+ない(なさい)
【用例】「ちょっとマチナイ、そえな話な聞いとらん…約束の違あっちゃなかな」
 →「ちょっと待ってくれ、そんな話は聞いていない…約束と違うんじゃないのか」
59 まちなんか
  【標準語】待ち遠しい
【意味等】待ち長い、待ちわびる、長い間待っている
【参考】まち(待ち)+なんか(長い)
【用例】「まあだ支度のでけんとな?女の人あ、化粧やら何やらで…ああマチナンカ」
 →「まだ支度ができないの?女の人は、化粧や何やと…ああ待ち長い」
60 まちやい
  【標準語】待ってくれ
【意味等】「まちない」に同じ
【参考】まち(待ち)+やい(「なさる」の女言葉の命令形「しゃい」の音変異)
【用例】「ちょっとマチヤイ…役所の人やろ?道路工事のことで聞きたかことのある」
 →「ちょっと待って…役所の人でしょ?道路工事のことで聞きたいことがある」
61 まちょこっと  《詳しくはこちら》
  【標準語】もう少し
【意味等】「まあひとせん」に同じ
【参考】ま、まあ(もう)+ちょこっと→もうちょっと
【用例】「マチョコット頭のよかったら、俺の収入も…マチョコット良かったろうや」
 →「もうちょっと頭が良かったなら、俺の収入も…もう少し良かっただろう」
62 まちょっと  《詳しくはこちら》
  【標準語】もう少し
【意味等】「まあひとせん」に同じ
【参考】ま、まあ(もう)+ちょっと→もうちょっと
【用例】「確かい、食事ば松から梅い落といたが…マチョット何とかならんとな?」
 →「確かに、食事を松から梅に落としたけれど…もう少し何とかならないのかい?」
63 まつあかし
  【標準語】たいまつ
【意味等】松明、炬火、トーチ、明りに使う手で持てる火のついた木切れ
【参考】長い棒の先に松脂などに浸した布を巻きつけたもの、由来は松脂の明り
64 まっきり
  【標準語】幕切れ
【意味等】最後、閉幕、終り
【参考】由来は閉幕を表す「幕切」の音変異
【用例】「タイムセールの卵な、もうなかと?」「しまえ、マッキリ…もうなかよ」
 →「タイムセールの卵は、もうないの?」「終わり、幕切れ…もうないよ」
65 まっくらすみ  《詳しくはこちら》
  【標準語】真の暗闇
【意味等】暗闇、まったく光を感じない闇、何も見えないほどの暗闇
【参考】まっくら(真っ暗)+すみ(墨)→真の暗闇
【用例】「鍾乳洞い入る時な懐中電灯のいる…マックラスミでなあも見やせん」
 →「鍾乳洞に入る時は懐中電灯がいる…真の暗闇で何も見えない」
66 まっくろうなって
  【標準語】一生懸命
【意味等】夢中になって、熱心に、
【参考】まっくろう(真っ黒に)+なって(なるほど)→日焼けで黒くなるほど
・日焼けをいとわず野良仕事や遊びなどの野外活動を熱心にする、
【用例】「あっちゃあ働きもんやけん、このぬくされい…マックロウナッテ働きなあ」
 →「あちらは働き者だから、この暑い中…熱心に働いている」
67 まっくろうなる  《詳しくはこちら》
  【標準語】夜になる
【意味等】宵闇迫る、真っ暗になる、暗くなる
【参考】まっくろう(真っ暗に)+なる→夜になる
【用例】「この頃…マックロウナッタら酒ば飲みとうなると、アル中やなかろうか」
 →「最近、夜になったら酒をに見たくなるんだ、アル中じゃないだろうか」
68 マッコウシバ
  【標準語】シキミ
【意味等】ハナシバ、マツブサ科シキミ属に分類される常緑性小高木または高木
【参考】仏事や神事に供えられる植物、抹香(まっこう)としても使われる
69 まっさら
  【標準語】新品
【意味等】「まあたらし」に同じ
【参考】まっ(真に)+さら(更または新:新しい)→新品
【用例】「マッサラな靴ないかん…遠足な、履き古したとやなからな、まめのでくる」
 →「新品の靴はいかん…遠足は、履き古したやつでなければ、まめができる」
70 まっしゃまっしゃ  《詳しくはこちら》
  【標準語】下っ端
【意味等】地位の低いもの
【参考】由来は、末社は本社の支配を受ける小神社、末社末社で最末社を表す
【用例】「大手の建設会社ば吸収合併したげなが…マッシャマッシャいな関係なか」
 →「大手の建設会社を吸収合併したそうだが…下っ端の俺たちには関係ない」
71 まっしょう
  【標準語】ましょう、でしょう
【意味等】
(1)「ましょう」のまっしょう
《意味》ましょう(勧誘)
《用例》「お客さんの待ってござあけん、そろそろ…行きマッショウ」
 →「お客さんが待ってありますから、そろそろ…行きましょう」
(2)「でしょう」のまっしょう
《意味》でしょう(推量)
《用例》「一生懸命で勉強しよんなったけん、合格しとりマッショウ」
 →「一生懸命に勉強をしていたので、合格しているでしょう」
72 まっせん
  【標準語】ません
【意味等】ません(丁寧な打消し・否定の言い方)
【参考】「あたしゃあ…知りマッセン、知っとったっちゃ言いマッセン」
 →「私は…知りません、知ってても言いません」
73 まっつんつんぐり
  【標準語】まつぼっくり
【意味等】マツの毬果、松毬、まつふぐり
【参考】由来は「松殖栗(まつふぐり)」の音変異、「まつぼっくり」も同様の音変異
74 まっときない
  【標準語】待っていてくれ
【意味等】待っておきなさい
【参考】まっと(待って)+ときない(おきなさい)
【用例】「まりかぶろうごたあ、便所い行てくるけん…ちょっとマットキナイ」
 →「漏らしそうだ、トイレに行ってくるから…ちょっと待っていてくれ」
75 まっとく
  【標準語】待っている
【意味等】待っておく
【参考】まっと(待って)+とく(おく)
【用例】「まりかぶろうごたあなら、早よ便所い行き…おらあ、ここいマットクけん」
 →「漏らしそうなら、早くトイレに行っておいで…俺は、ここで待っているから」
76 マツナ
  【標準語】スギナ
【意味等】杉菜、シダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属の植物
【関連】栄養茎をスギナ、胞子茎をツクシと呼び分ける、ツクシは食される
77 マツナバ
  【標準語】ハツタケ
【意味等】初茸、ベニタケ目 ベニタケ科のカラハツタケ属に分類されるキノコの一種
78 まっぽし  《詳しくはこちら》
  【標準語】真正面、図星
【意味等】
(1)「真正面」のまっぽし
《意味》まともに、遮るものがなく一望できる状態
《用例》「マツクイムシで松枯れの起きて、家い海風のマッポシ当たるごとなった」
 →「マツクイムシで松枯れが起きて、家に海風がまともに当たるようになった」
(2)「図星」のまっぽし
《意味》ずばり、そのまま、ぴったり、物事が的中すること
《用例》「うちの嫁な…えずか、隠し事しとったっちゃ…マッポシ言い当てなあ」
 →「うちの妻は…怖い、隠しごとをしてても…ずばり言い当ててしまうんだ」
【参考】由来は「真星」弓や鉄砲の標的の黒丸(ど真ん中)のこと
79 まつやね
  【標準語】松脂
【意味等】まつやに、マツ科マツ属の木から分泌される天然樹脂
【関連】主成分はテレビン油とロジンで、インキ用樹脂や接着剤などに加工される
80 まつら
  【標準語】竜骨(漁業用語)
【意味等】キール、船の船底中央を船首から船尾にかけて配置する強度部材
【参考】由来は、唐船の部材名のひとつ「馬面(まつら):帆摺」から来たと思われる
81 マテガシ
  【標準語】マテバシイ
【意味等】「マテジイ」に同じ
82 まつりあわせる
  【標準語】埋め合わせる
【意味等】損失をならす、損益乗除する、不十分な部分や損失を他のところで補う
【参考】まつり(真釣り:綺麗に釣り合う)+あわせる→損益をならし釣り合わせる
【関連】裁縫の「まつり縫い」は、裾の調整や表裏の生地を釣り合わせる縫い方
【用例】「ごめん、今度、マツリアワセルけん…報酬なこれしこで辛抱しちゃんない」
 →「ごめん、今度、埋め合わせをするから…報酬はこれだけで辛抱してくれ」
83 まてがる  《詳しくはこちら》
  【標準語】忙しい様
【意味等】休みなく仕事する様、手を休めずによく働く様、手間がかかる様
【参考】まて(丁寧)+がる(そのように振る舞う)→丁寧に振る舞う、糸島弁
【用例】「注文のたいそ来て、マテガリよんなあけん…あんたが代わりい行っちゃり」
 →「注文がたくさん来て、忙しそうにしてるから…あなたが代わりに行って」
84 マテジイ
  【標準語】マテバシイ
【意味等】「マテジイ」に同じ
85 マテシイノキ
  【標準語】マテバシイ
【意味等】「マテジイ」に同じ
86 マテノキ
  【標準語】マテバシイ
【意味等】「マテジイ」に同じ
87 まどう  《詳しくはこちら》
  【標準語】償う
【意味等】弁償する、賠償する、金銭等で埋め合わせる、財物を出して報い補う
【参考】
・由来は古語の「償ふ(まどふ)」音読みすると「つぐなう」で弁済するの意
・語源は「迷ふ(まよふ)」で、その音変異…「つぐなう」という意もある
・本来は全国で使われていた標準語だが、現在は西日本を中心に地域で使われる方言
【用例】「あんたが壊いたとやろうが…マドウて」
 →「あんたが壊したんでしょ…弁償して」
88 まどろしか
  【標準語】まどろっこしい
【意味等】もどかしい、じれったい、時間や労力を多く費やして面倒である
【参考】由来は「まどろかしい」の音変異、語源は「間怠-しい」で同意
【用例】「まあだ針い糸の通らん?老眼でよおと見えん?マドロシカ…貸してんやい」
 →「まだ針に糸が通らない?老眼でよく見えない?じれったい…貸してごらん」
89 まなか
  【標準語】半間
【意味等】3尺(約90cm)、1間(約180cm)の半分の長さ
90 まなくじ
  【標準語】目やに
【意味等】「まくじ」に同じ
91 まばいか
  【標準語】まばゆい
【意味等】眩しい、光が強過ぎて直視ない、まともに見られないほど煌びやかで美しい
【参考】
・由来は「眩い(まばゆい)」で、明る過ぎて直視できないの意、語源は「目映ゆい」
・「映ゆい(はゆい)」は、きまりが悪い、照れくさいの、恥ずかしいの意
・ま(目)+映ゆい→恥ずかしくて見られない→まともに見られない→まぶしい
【用例】「夕方、宗像から福岡までの国道3号…夕陽のマバイカけん、運転しにっか」
 →「夕方、宗像から福岡までの国道3号…夕陽が眩しいので、運転しにくい」
92 まはらい
  【標準語】魔祓い刀
【意味等】御守剣、懐刀、死床や棺の上に置く刃物
【参考】古来神道には、刀には魑魅魍魎を遠ざけ穢れを祓い浄める力があるといわれる
93 まひょうしいあわん
  【標準語】急場の用に立たない、割に合わない
【意味等】「ましあしあわん」に同じ
【参考】由来は「間拍子に合わない」、物事の生きがかり(急場の用)に合わないの意
【用例】
・部品のなかけん、修理い5日もかかるげな…マヒョウシイアワン販売店やねえ
 →部品が無いので、修理に5日もかかるそうな…急場の用に立たない販売店だなあ
・保障期間中ばってん、部品代な有料?4万2千円?マヒョウシイアワンめえもん
 →保障期間中だけど、部品代は有料?4万2千円?割に合わないじゃないか
94 まぶ
  【標準語】海霧(漁業用語)
【意味等】「まあぶう」に同じ
95 まほき
  【標準語】真正面
【意味等】まっすぐ、正面、真帆
【同義】まほき、まほこ
【参考】由来は「真帆」帆船が追い風を帆全面に真正面に受け、十分に張ることから
【用例】「今度の台風な、こっつぁいマホキい来ようごたあ…外ば片付けとこう」
 →「今度の台風は、こっちに真っ直ぐ来ているようだ…外を片付けておこう」
96 まほこ
  【標準語】真正面
【意味等】「まほき」に同じ
【用例】「がたいの違い過ぎるけん、マホコからぶつかったんだあ…飛ばされるばい」
 →「体格が違い過ぎるので、真正面からぶつかったら…飛ばされるぞ」
97 まま
  【標準語】飯
【意味等】ごはん、食事、めし
【参考】由来は、ご飯を表す幼児語の「まんま」、まんま(母)のお乳が語源らしい
98 ままつぎ
  【標準語】飯櫃
【意味等】おひつ、炊き上がった飯を釜から移し入れて置くための木製の容器
【同義】ままつぎ、めしつぎ
99 ままんご
  【標準語】ままごと
【意味等】子供の遊戯、玩具などを使っで炊事の真似をする遊び
【同義】ままんご、ままんごと
100 ままんごと
  【標準語】ままごと
【意味等】「ままんご」に同じ、飯事
101 まむっこう
  【標準語】真向い
【意味等】ちょうど向かい合うこと、真正面、向かい合わせ
【参考】ま(真:ちょうど)+むっこう(向かう)
【用例】「病院のマムッコウい葬儀場のあって、どっちも経営なおんなじげな」
 →「病院の真向かいに葬儀場があって、どちらも経営は同じだそうだ」
102 まめおとこ
  【標準語】女好きな男
【意味等】 風流を愛し色好みな男、好色な男、
【参考】まめ(忠実:本能に忠実)+おとこ(男の人)→女好きな男
・由来は「忠実男(まめおとこ)」本来は、面倒がらずにあれこれと動く男
・ライフスタイルとして、面倒がらずに次々と女性に手を出す男
【用例】「旦那のマメオトコやけん…浮気話な絶えんごたあが、よう離婚にならんね」
 →「旦那が女好きなので…浮気話は絶えないようだが、よく離婚にならないなあ」
103 マメクジラ
  【標準語】ナメクジ、カタツムリ
【意味等】
(1)「ナメクジ」のマメクジラ
《意味》蛞蝓、陸に生息する巻貝(軟体動物門腹足綱)のうち殻が退化しているもの
《参考》由来は「ナメクジリ」の音変異と思われる、語源は限りなく多数の説がある
(2)「カタツムリ」のマメクジラ
《意味》「マイマイ」(1)に同じ
104 まめくりつく  《詳しくはこちら》
  【標準語】まとわりつく、粘りつく
【意味等】
(1)「まとわりつく」のまめくりつく
《意味》まつわりつく、絡みついて離れない、そばから離れない、つきまとっている
《用例》「うちのネコな…あたしがいっち好いとんなあけん、マメクリツイテきなあ」
 →「我が家のネコは…私を一番好きだから、まとわりついてくる」
(2)「粘りつく」のまめくりつく
《意味》粘りついて離れない、へばりつく、ひっついて取れない
《用例》「地下室いな行かん、クモのえばの顔いマメクリツくけん、気色わるか」
 →「地下室には行かない、くもの巣が顔にへばりつくので、気持ちが悪い」
【同義】まめくりつく、まめりつく(まめくりつく>まめりつく)
【参考】まめ(まみれる)+くり(繰り返し)+つく→繰り返し塗れるようにつく
105 マメチャ
  【標準語】エビスグサ
【意味等】夷草、熱帯地方に広く分布するマメ科ジャケツイバラ亜科に属する植物
【参考】アメリカ原産、江戸時代に中国渡来、種子は生薬のケツメイシでハブ茶の原料
106 まめなか
  【標準語】注意が行き届く様子
【意味等】働きぶりの親切な様、細かいことも面倒がらずにする様子
【参考】まめな(忠実な)+か(状況を示す助詞)→きめ細かに対応する様
【用例】「支配人なマメナカ人で、業界じゃ有名かけん…接客研修の講師もしなあ」
 →「支配人は注意が行き届く人で、業界で有名なので…接客研修の講師もするんだ」
107 まめりつく  《詳しくはこちら》
  【標準語】まとわりつく、粘りつく
【意味等】「まめりつく」に同じ
【参考】まめり(まみれる)+つく→まみれるようにひっつく
【用例】
・うちゃあ、子供な好かんと…マメリツキなあたあよかばってん、鼻水やら付こうが…
 →私は、子供は嫌い…まとわりつくのはいいんだけど、鼻水なんか付くでしょ…
・おらあ、エンジンば扱うたあ好かんと…機械油の手いマメリツイテ、取れめえが
 →俺は、エンジンをいじるのは嫌いだ…機械油が手に塗れついて、取れないだろ
108 まめる  《詳しくはこちら》
  【標準語】まみれる、加わる、よくしゃべる
【意味等】
(1)「まみれる」のまめる
《意味》塗れる、外部にまといつく、外部に付着する、まぶされる、塗られる
《用例》「半殺しいしたご飯ば丸めたとい、餡子のマメっとうとが…おはぎたな」
 →「ほどほどに潰したご飯を丸めたのに、餡子が塗れているのが…おはぎだよ」
(2)「加わる」のまめる
《意味》仲間に入る、組織に入る、大きなものにくっつく
《用例》「うちの馬鹿息子の、やくざいマメッタと…親不孝もんが、あらあ勘当たい」
 →「私の馬鹿息子が、暴力団の組織に入ったんだ…親不孝者が、あいつは勘当だ」
(3)「よくしゃべる」のまめる
《意味》おしゃべり、舌が回る、淀みなくしゃべる
《用例》「噺家さんやろ?ああた、面白かごと舌のまめるねえ…立板い水やもん」
 →「噺家さんでしょ?あなた、面白いようにおしゃべりするねえ…立板に水だもの」
【参考】
・由来は古語の「まめる(塗る)」、基本となる物体に他の物体を付着させること
109 まや
  【標準語】馬屋
【意味等】厩、馬小屋、馬を飼っている建物、納屋
【参考】由来は「厩(うまや)」の音変異、「納屋(なや)」の音変異説もある
110 まらせる  《詳しくはこちら》
  【標準語】放らせる(大小便させる)
【意味等】幼児などを介助して大小便をさせる、大小便をさせる、排泄させる
【参考】まる(大小便を放る)+らせる(させる)→ひらせる
【用例】「子どもの、まりかぶろうごたあけん…ちょっと、木の下でマラセテこう」
 →「子どもが、おもらししそうだから…ちょっと、木の下でおしっこさせてこよう」
111 まりかぶる  《詳しくはこちら》
  【標準語】お漏らしする
【意味等】寝小便をする、大小便を漏らす
【参考】まり(大小便を放り)+かぶる(被る)→大小便を漏らす
【類義】いずれも「お漏らしする」の意味だが、微妙に主に漏らすものが違う
・しかぶる(小便)、まりかぶる(大小便)、たれかぶる(大便)
【用例】「寝る前いなって、そえんたいそお茶ば飲みよったら、マリカブルばい」
 →「寝る前になって、そんなにたくさんお茶を飲んでいたら、おねしょしちゃうぞ」
112 まる  《詳しくはこちら》
  【標準語】放る(大小便をする)
【意味等】大小便をする、排泄する
【参考】由来は、古語の「まる」で同意、主に九州だが全国的に一部地域で使われる
【用例】「おしっこばマッテこう」「俺もマリい行こう」「連れションな?俺もマル」
 →「小便をしてこよう」「俺も排泄に行こう」「連れションかい?俺もトイレ」
113 まるごし
  【標準語】素手
【意味等】手ぶら、仕事道具なし、道具を未持参
【参考】由来は「丸腰(まるごし)」刀(武器)をさしていない様を言う
【用例】「腕なよかとばってん、一人親方やけん…たいがいマルゴシで現場い来なあ」
 →「腕はいいんだけど、個人事業主なので…だいたい手ぶらで現場に来るんだ」
114 まわしみず
  【標準語】回し水(農業用語)
【意味等】山間部などの水田の周囲ぐるりと臨時的に作った水路の水
【参考】水路に流すことで、水温を上げたり雑草の種の侵入を防ぐなど、調整された水
115 まわす
  【標準語】薄める
【意味等】水や湯で汁物の味を薄めること、料理の塩分調整のため水分を加えること
【類義】うめる:風呂などに水を入れて冷ますこと、温度調整のため水分を加えること
【用例】「吸いもんの…ちいっとばかし辛かごたあけん、水ばマワイテ味ば調えり」
 →「お吸い物が…少しばかりしょっぱいようなので、水で薄めて味を調えて」
116 まん  《詳しくはこちら》
  【標準語】運
【意味等】巡り合わせ、運命
【同義】こうぼう、ふ、まん
【参考】由来は「間(ま)」の音変異、関西を中心に広く使われる
117 まんいわい
  【標準語】豊漁祝(漁業用語)
【意味等】大漁祝、漁期の漁獲量が大漁だった時や運よく大漁になったときのお祝い
【参考】由来は「万祝、間祝(まんいわい)」で大漁に巡りあった「運」を祝う
【関連】「まんいわい」の「まん」は「間」で、運や巡りあわせの意味
118 まんきんたん
  【標準語】効き目のないもの
【意味等】効果がないもの、駄目なもの、鼻糞まんきんたん
【参考】
・由来は「越中富山の反魂丹」解毒・気付けなどの効果があるとされた薬の名
・外観が丸めた鼻糞のようで、効果のないものを「鼻糞丸めて萬金丹」と揶揄した
・「鼻糞丸めて萬金丹」を短くした言い方が「まんきんたん」
【用例】「おれい任せり」が口癖…あらあ、別府温泉のマンキンタンたい」
 →「俺に任せんしゃい」が口癖…あいつは、言う(湯)ばっかりの駄目なやつだよ」
119 まんぐり  《詳しくはこちら》
  【標準語】都合
【意味等】スケジュール、(時間や流れ、物品、金品などの)繰り合わせ・調整準備
【同義】まんぐり、まんごう
【参考】由来は「万事繰り合わせ」の「万繰(まんぐり)」
【関連】
・「まんぐりつける」「まんぐりする」は「都合をつける」こと
・「都合をつける」を「まんぐる」という
【用例】
・「夕方5時から、会議するけんマングリつけて」「忙しかけん…マングリなつかん」
 →「夕方5時から、会議をするので都合をつけて」「忙しいので…都合がつかない」
・「明日までい100万円支払わなあいかんと…ああた、マングリされんかいな?」
 →「明日までに100万円支払わなくてはいけない…あなた、都合つかないかなあ?」
120 まんぐる  《詳しくはこちら》
  【標準語】調達する、横領する
【意味等】
(1)「調達する」のまんぐる
《意味》都合をつける、やり繰りする、調達する、調整し準備する
《同義》「まんぐりつける」「まんぐりする」は「まんぐる」と同じ意味
《用例》
・花見の酒ゃあ、俺が買うてくるけん…酒の肴な、ああたたちでマングットいて
 →花見の酒は、俺が買ってくるから…酒の肴は、あんたたちで手配しておいてくれ
・花見の開始な18時やけん…みんな遅れんごと、マングッテ来ちゃんしゃい」
 →花見の開始は18時なので…みんな遅れないよう、万象繰り合わせて来てください」
(2)「横領する」のまんぐる
《意味》わからないように盗む、横領する、ネコババする
《参考》自分の所有以外の金品を、自分の利得のために都合すること
《用例》
・愛人さい貢ぐためい、会計課長の3000万円もマングットんなあ…役場なおおごと
 →愛人に貢ぐために、会計課長が3000万円も公金横領している…役場は大騒ぎだ
・あらあ…急い辞めておらんごとなったが、会社の金ばマングッテ…クビいなっとう
 →あいつ…急に退社していなくなったが、会社の金を横領して…クビになってる
121 まんごう  《詳しくはこちら》
  【標準語】都合
【意味等】「まんぐり」に同じ
122 まんごく
  【標準語】万石通(農業用語)
【意味等】米の選別をする傾斜したふるい、粒の小さな米をふるい落とす道具、千石通
【参考】由来は「万石通(まんごくどおし)」を短めたもの、万石は1万石のこと
123 まんさく
  【標準語】豊作(農業用語)
【意味等】穀物が例年に比べて大量に収穫できること
【参考】由来は、豊作を表す四文字熟語の「豊年満作」の「満作」
124 マンサク
  【標準語】フクジュソウ、シイラ
【意味等】
(1)「フクジュソウ」のマンサク
《意味》福寿壮、キンポウゲ科の多年草
《参考》春を告げる花の代表、毒がある
(2)「シイラ」のマンサク
《意味》鱪、スズキ目シイラ科に分類される魚の一種
《参考》
・不作のときは、実が不生育で空籾の粃(しいら)が多く、米農家は粃を嫌う
・夏の生育期に、豊作を願い夏が旬のシイラを食べる風習から、マンサクと呼ばれる
125 マンジュウシバ  《詳しくはこちら》
  【標準語】サルトリイバラ
【意味等】がめの葉、饅頭しば、サルトリイバラ科シオデ属の多年生植物
【同義】カメイバラ、ガメノハ、サンキライ、サンネンウズキ、マンジュウシバ
【参考】「がめのは饅頭(米粉饅頭)」の饅頭部分を包む葉っぱ
126 まんせん
  【標準語】大漁(漁業用語)
【意味等】1回の漁で魚がたくさん捕れること、漁獲が船倉に満杯になること
【参考】由来は、船倉が漁獲で満杯になる「満船」
127 まんせんばた
  【標準語】大漁旗(漁業用語)
【意味等】帰港時の漁船が大漁を知らせるために掲げる旗
【同義】ふらいき、まんせんばた
【参考】まんせん(大漁)+ばた(旗)
128 まんなおし  《詳しくはこちら》
  【標準語】縁起直し
【意味等】縁起直し
【参考】まん(巡りあわせ)+なおし→身辺リセット→縁起直し
【用例】「マンナオシ言ううて、飲みい行きなったが…酔うて川い落て込んどんなあ」
 →「縁起直しと言って、飲みに行っちゃたけど…酔って川に落ち込んじゃってるよ」
129 まんのよか  《詳しくはこちら》
  【標準語】運が良い
【意味等】運が良い、巡り合わせが良い
【同義】こうぼうのよか、ふのよか、まんのよか
【参考】まん(巡りあわせ)+の(が)+よか(良い)→運がいい
【用例】「ギリギリ先着20名様で、1万円でこれば買われたと…マンノヨカろうが」
 →「ギリギリ先着20名様で、1万円でこれが買えたんだ…運がいいだろ」
130 まんのわるか  《詳しくはこちら》
  【標準語】運が悪い
【意味等】運が悪い、巡り合わせが悪い
【同義】こうぼううんのわるか、こうぼうのわるか、ふのわるか、まんのわるか
【参考】まん(巡りあわせ)+の(が)+わるか(悪い)→運が悪い
【用例】「マンノワルカろ?立ちションしよったら、露出狂と間違かあされたとぜ」
 →「運が悪いだろ?立ちションしていたら、露出狂と間違われたんだぞ」」
131 まんぶう
  【標準語】海霧(漁業用語)
【意味等】「まあぶう」に同じ
132 まんまんさん
  【標準語】神様、仏様(幼児語)
【意味等】仏様、ご先祖様、お釈迦様
【同義】のんのんさん、まんまんさん、まんまんしゃん
【参考】「まんまんさん(のんのんさま)…あん」は、仏壇に参る念仏の幼児語
【関連】「まんまん」は「南無阿弥陀仏」、神仏や太陽、月など尊ぶべきものの幼児語
133 まんまんしゃん
  【標準語】神様、仏様(幼児語)
【意味等】「まんまんさん」に同じ
134 まんろく
  【標準語】満足、十分
【意味等】
(1)「満足」のまんろく
《意味》円満、平穏無事
《用例》「よか温泉やた、ごっつぉーも美味かった…ここい泊って、おらあマンロク」
 →「いい温泉だった、ご馳走も美味かった…ここに泊って、俺は満足」
(2)「十分」のまんろく
《意味》十分、完全
《用例》「この子な躾のでけとらん、マンロクい箸も使いきんなれん…親な誰かいな」
 →「この子は躾ができていない、ちゃんとお箸を使うことができん…親は誰なのか」
【参考】由来は「満足(まんぞく)」の音変異

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