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「ぬ(ヌ)」の博多・糸島弁

1 ぬいあげ
  【標準語】上げ
【意味等】着物の肩上げ、腰上げ
【参考】着物の長い分だけ肩や腰につまみ上げて縫い…丈を調整すること
2 ぬいもん
  【標準語】縫い物、縫い紋
【意味等】
(1)縫い物の「ぬいもん」
《意味》裁縫、裁縫すること
(2)縫い紋の「ぬいもん」
《意味》刺繍で家紋を入れること、刺繍の家紋
3 ぬか
  【標準語】籾殻
【意味等】籾米の殻、籾
【参考】一般的には米ぬかを言うが、籾殻を含んだ籾米の殻のことを言う
4 ぬかす
  【標準語】しゃべる
【意味等】言いやがる、ほざく、横着な口の利きようで言う
【参考】京言葉「ぬかす(吐かす)」が語源、相手を卑しめていう下品な言い方
【用例】「あえんこえん言うて、しぇからしか…こんだあ、何ばヌカシようとな?」
 →「ああだこうだと言って、うるさい…今度は、何をほざいているんだ?」
5 ぬかずけ
  【標準語】漬物
【意味等】「とこづけ」に同じ、糠味噌に漬けたもの、タクアン、一夜漬け
【用例】「ああたんがたのヌカヅケな美味しか…ぬか床の扱いの丁寧かけんやろう」
 →「あなたんちの漬物は美味しいね…ぬか床の扱いが丁寧だからでしょうか」
6 ぬかっとう  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】刺さっている、ぬかるんでいる、失念している、失敗している
【意味等】
(1)刺さっているの「ぬかっとう」
《意味》刺さっている、突き立っている
《用例》「何か…イガイガすると思うたら、指いとげのヌカットウもん」
 →「何か…チクチクすると思ったら、指にとげが刺さっているんだもん」
(2)ぬかるんでいる「ぬかっとう」
《意味》泥と泥水でぬかるんでいる、地面が泥でぐちゃぐちゃになっている
《用例》「水漏れで、玄関らへんのヌカットウけん…気ばつけて帰んなっせ」
 →「水漏れで、玄関の近辺がぬかるんでいるので…気をつけてお帰りください」
(3)失念しているの「ぬかっとう」
《意味》うっかり忘れるなどして(失敗し、迷惑をかけ)ている
《類義》やりそこのうとう、やりかぶっとう
《用例》「焼肉のタレのなか?あたしが…ぬかっとった、買うて来とりまっせん」
 →「焼肉のタレがない?私が…うっかり忘れてた、買ってきていません」
【参考】ぬかる(刺さる・ぬかるむ・失念する)+とう(~している)
7 ぬかる  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】踏み貫く、ぬかるむ、失敗する
【意味等】
(1)踏み貫くの「ぬかる」
《意味》尖った物が足などに突き立つ、突き刺さる、突き貫ける
《参考》語源は「貫かれる」の音変異と思われる、熊本を中心に使われる
《用例》「あいた…安全靴ば履いとらんやったけん、そんくぎばヌカッシもうた」
 →「しまった…安全靴を履いていなかったので、尖った切株を踏み貫いてしまった」
(2)ぬかるむの「ぬかる」
《意味》泥濘る、泥と泥水でぬかるむ、地面が泥でぐちゃぐちゃになる
《参考》語源は「泥濘る」またば「抜かる」という説、全国で広く使われる方言
《用例》「大雨で畑のヌカッテ、長靴でちゃ…いぼりこうで、野菜ば取りい行かれん」
 →「大雨で畑がぬかるんで、長靴でも…泥にはまり込んで、野菜を収穫に行けない」
(3)失敗するの「ぬかる」
《意味》うっかり忘れるなどして失敗や迷惑をかける、失念する
《参考》語源は「抜かる」、大事なことが抜けているの意、全国で広く使われる方言
《用例》「連絡係んといヌカッテしもうて、中止いなったとば…誰いも連絡しとらん」
 →「連絡係なのにうっかり忘れてしまい、中止になったのを…誰にも連絡してない」
8 ぬくい  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】暖かい、温かい
【意味等】気温や水温があたたかいこと
【参考】語源は京ことばの「ぬくい」、西日本や東北など全国で広く使われる
【同義】ぬくい、ぬくか、ぬっか
【関連】「ぬくい」は「おつむが足りない」という意もある
【用例】「このコーラ、冷蔵庫い入れんで…ひなたい置いとったろ?ヌクウなっとう」
 →「このコーラ、冷蔵庫に入れずに…ひなたに置いていたでしょ?暖かくなってる」
9 ぬくか  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】暖かい、温かい
【意味等】「ぬくい」に同じ
【用例】「半袖でよかぐらいヌッカとい、冬のごたあ服ば着て…そらあヌクカろう」
 →「半袖でよいくらい暖かいのに、冬のような服を着て…そりゃあ暑いでしょう」
10 ぬくされ  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】暑い中
【意味等】夏や初夏などの気温が高い(蒸し暑い)状態
【用例】「このヌクサレい、汗じっくりいなって…どこさい行きよらっしゃあと?」
 →「この暑い中、汗ぐっしょりになって、どちらへお出かけですか?」
11 ぬくたまり  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】陽だまり
【意味等】お日様が射して暖かい場所・範囲
【用例】「ネコやったら、縁側のヌクタマリで何匹もかたまって…寝とるばい」
 →「ネコだったら、縁側の陽だまりで何匹もかたまって…寝ているよ」
12 ぬくたらしか  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】蒸し暑い
【意味等】湿度が高いのに風がなくて蒸し暑い
【用例】「今日な朝からヌクタラシカ…具合の悪うなろうごと、えぐりもうらしかや」
 →「今日は朝から蒸し暑い…具合が悪くなりそうなほど、ひどく蒸し暑いなあ」
13 ぬくぬく  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】暖か、温か
【意味等】厚着している、何の不自由もない、温まる
【関連】「ぬくぬくと暮らしている」は、不自由なく快適に暮らしているという意味
【用例】「今晩な寒うなるけん、風呂い入ってパジャマ着て…ヌクヌクして寝ない」
 →「今夜は寒くなるので、風呂に入ってパジャマ着て…暖かくして寝なさい」
14 ぬくめ  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】役立たず
【意味等】無能である、働きがない、役に立たない者
【参考】手伝いに来ても座を温めるだけ…ものの役に立たない、またその者
【用例】「子供会から手伝いい来たが…子どもな遊び事ばっかりで、ヌクメやもん」
 →「子供会から手伝いに来たけれど…子ども遊んでばかりいて、役立たずだもの」
15 ぬくめどり
  【標準語】巣入り鶏
【意味等】卵をかえすために巣に入って卵を温める鶏
【用例】「今年なヌクメドリのおらんけん、孵卵機でヒヨコば孵しよると」
 →「今年は、卵を温める鳥がいないので、孵卵機でヒヨコを孵しているんだ」
16 ぬくめる  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】あたためる
【意味等】あたたかな温度にする、あたたかい状態を維持する
【用例】「遅かったなあ…晩ご飯なまーだやろ?ご飯ばヌクメルけん…待っとって」
 →「遅かったねぇ…晩ご飯はまだでしょ?ご飯を温めるので…待っていて」
17 ぬくもる  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】あたたまる
【意味等】暖房器具や温かな飲食物などで自分の身体を適温にする
【参考】冷えた自分の身体を適温にすること
【用例】「外あ寒かったろう?早う…こたつい入ってお茶ども飲うで…ヌクモンない」
 →「外は寒かったでしょ?早く…こたつに入ってお茶でも飲んで…温まりなさい」
18 ぬけさく  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】まぬけ
【意味等】愚鈍な人、少し知能が足りない人、まぬけな人をあざけっていう語
【類義】てれさく、てれすけ
【参考】関西を中心に全国的に使われる方言、ぬけ(間抜け)+さく(人名風にした)
【用例】「今度の新入社員な、よか学校な出とうとばってん…ヌケサクやもんなぁ」
 →「今度の新入社員は、学歴はいいんだけど…どこか間が抜けてるんだもんなぁ」
19 ぬける  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】取り除く、間が抜けている
【意味等】
(1)取り除くの「ぬける」
《意味》退ける、どける、よける
《参考》語源は「抜ける」と思われるが、退けるという意味で使われる
《用例》「お客さんの来んしゃるけん、玄関前の車なヌケルごと父さんい言うとって」
 →「お客さんが来られるから、玄関前の車はどけるようにお父さんに言っておいて」
(2)間が抜けているの「ぬける」
《意味》少し馬鹿、間が抜けている
《用例》「あれがちっとヌケトンなるけん、やりそこなおうごたって…任せられんと」
 →「あいつが少し間が抜けているんで、失敗しそうで…任せられないんだ」
20 ぬし
  【標準語】自分、お前、彼
【意味等】
(1)自分の「ぬし」
《意味》自己、自分
《用例》「ヌシのこたあヌシでせにゃあ」→「自分のことは自分でしなきゃ」
(2)お前の「ぬし」
《意味》お前、汝
《用例》「初めて見るが…ヌシな誰や?」→「初めて見るが…お前は誰だ?」
(3)彼の「ぬし」
《意味》彼、彼女
《用例》「ああた、ヌシなおらんとね?」→「あなた、彼氏はいないのか?」
21 ぬすくる  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】なすりつける
【意味等】「なすくりつける」に同じ
【用例】
・虫刺されのあばけたけん、お勧めの軟膏ばヌスクッたら、すぐいようなった
 →虫刺されがただれたので、お勧めの軟膏を塗り込んだら、すぐによくなった
・真犯人な親友の彼女…彼氏ば殺いて、そうよう主人公い罪ばヌスクッテ…悪か女たい
 →真犯人は親友の彼女…彼氏を殺して、すべて主人公に罪をなすりつけて…悪い女だ
22 ぬすと
  【標準語】盗人
【意味等】泥棒、他人のものを盗む、また盗む人、盗人、盗賊
【用例】「あらあ、見られとらん思うたらヌストするけん…よおと見とかなあばい」
 →「あいつは、見られてないと思ったら泥棒をするから…しっかり注意しててね」
23 ヌストグサ 
  【標準語】イノコズチ
【意味等】猪子槌、ヒユ科イノコヅチ属の多年草
【参考】根を乾燥させた漢方薬を牛膝という、種子にはカギがあり衣服にくっつく
24 ぬすとねこ 
  【標準語】野良猫
【意味等】どろぼうねこ、人に飼われていないネコ、どらねこ
【同義】ぬすとねこ、やまねこ
【用例】「ヌストネコの物置い子ば産んで…飼いもされんで、おうじょうしとります」
 →「野良猫が物置に子を産んで…飼うこともできないので、困っているんです」
25 ぬた 
  【標準語】味噌和え、和え物
【意味等】味噌に酢や味醂などを加えてすり練ったもの、またそれを和えた料理
【同義】ぬた、ぬたい
【参考】漢字で「饅」、語源は「沼田」…ぬるぬる感が沼田のようであるため
【関連】ぬたなます、一般的に酢味噌で和えたなますの一種、伝統的な日本の郷土料理
【用例】「ちさか時な好かんやったが…おせいなったら、おばいけいヌタな最高」
 →「小さい時は嫌いだったけど…大人になったら、鯨の尾の身に酢味噌は最高」
26 ぬたい
  【標準語】味噌和え、和え物
【意味等】「ぬた」に同じ
27 ぬたまき 
  【標準語】泥土への種まき
【意味等】かるみ状の土に種子を播くこと
【参考】ぬた(沼田:泥田)+まき(播き:種まき)
28 ぬっか  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】暖かい、温かい
【意味等】「ぬくい」に同じ
【用例】「今日なえらいヌッカ、汗の出るごとヌッカけん…ビールのうまかろうや」
 →「今日はすごく暖かい、汗が出るほど暖かいので…ビールがうまいでしょう」
29 ぬっかもん  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】暖かい飲食物
【意味等】鍋や汁物、熱燗など、寒いときに食べると温まる飲食物
【用例】「寒かったろう?ヌッカモン食うて、たんたん飲うで…温もんしゃい」
 →「寒かったでしょ?暖かい物を食べて、熱燗飲んで飲んで…温まんなさい」
30 ぬってっつう 
  【標準語】鈍い人、のろま
【意味等】意気地がなく役に立たない人、目立って優れた点のない人(鈍才)
【参考】糸島西部や唐津などで使われる
31 ぬぶる  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】うめる
【意味等】水を入れて湯をぬるくする、さし水をする
【参考】語源は「埋める」のほか「薄める」や「ぬるめる」の説がある
【同義】うぶる、うべる、ぬぶる、ぬべる
【関連】関連することば:「うべみず」
《意味》差し水、風呂の湯加減をする水
《参考》湯が熱くて入浴できない場合に入れる、糸島西部や唐津などで使われる
《用例》「風呂の熱かけんウベミズば入れたら、ちゃんとこ…ぬるうなっしもうた」
 →「風呂が熱いので差し水を入れたら、つい失敗して…ぬるくなってしまった」
【用例】「よう、そえな熱か湯い入りきいなあ…おらぁ、入りきらんけんヌブルばい」
 →「よく、そんな熱い湯に入れるものだ…俺は、入ることができないので埋めるよ」
32 ぬべる  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】うめる
【意味等】「ぬぶる」に同じ
33 ぬらむ  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】睨む
【意味等】目を怒らして見つめる、鋭い目つきで見る
【同義】ぬらむ、ねらむ
【参考】「ねらむ」は関西から九州まで使われる地域が多い
【用例】「さあきから、俺ばヌラミつけよるが…何ばはらかいとうと?言うてんない」
 →「先程から、俺を睨みつけているけど…何を怒っているの?言ってごらんなさい」
34 ぬりこみ 
  【標準語】種おろし(農業用語)
【意味等】苗床に播いた籾を鍬を使って塗るようにして埋めること
【参考】一般的には田畑に種を播くこと、稲の場合は苗床に塗り込むように播く
35 ぬるか  ≪詳細はこちら≫
  【標準語】ぬるい、鈍い、愚鈍
【意味等】
(1)ぬるいの「ぬるか」
《意味》ぬるい、湯などの温度が低い、温度が足りない
《用例》「猫舌やけん、熱々のラーメンな食いきらん…ヌルカとがよか」
 →「猫舌だから、熱々のラーメンは食べられない…ぬるいのがいい」
(2)鈍いの「ぬるか」
《意味》のろい、たやすい、たりない、愚鈍である
《参考》すばしっこくない、容易である、不十分である、愚かで物の道理に暗い
《用例》「まーだ終わらんとや?おまやあ仕事のヌルカ…しかーっとしてんやい」
 →「まだ終わらないのかい?お前は仕事がのろい…てきぱきとやってみろよ」
【関連】「ぬるか」を使ったことば:「ふうたんぬるか」
《意味》ぐずぐずする、動作が遅い、やり方がのろい、どんくさい(大阪弁)
《参考》本来は「ぼんやりとした」という意味から、上記の意味に派生
《参考》ふうたん(ほっぺた)+ぬるい(のろい)→ぼんやりとした表情と思われる
《用例》「ボーっとしてフウタンヌルカごたあが、実は…世界的い凄か発明家げな」
 →「ボーっとしてどんくさそうだけど、実は…世界的に凄い発明家らしいよ」
36 ぬるっと 
  【標準語】ぬるりと
【意味等】ぬるぬるとした物に触った感じ、ぬめりのある触感
【用例】「ちゃんと風呂掃除ばしたとや?一番風呂んとい…浴槽のヌルットしとうぜ」
 →「ちゃんと風呂掃除をしたのか?、一番風呂なのに…浴槽がぬるぬるしているぞ」
37 ぬれしおたれる
  【標準語】ずぶ濡れ
【意味等】上から下までびっしょりと濡れること、びしょ濡れ
【参考】ぬれ(濡れ)+しおたれる(みすぼらしい有様)
【同義】ぬれしおたれる、ぬれしょぼたれる
【用例】「傘ば持って行とらんやったけん、帰りい夕立でヌレシオタレッしもうた」
 →「傘を持って行ってなかったので、帰りに夕立でずぶ濡れになってしまった」」
38 ぬれしょぼたれる
  【標準語】ずぶ濡れ
【意味等】「ぬれしおたれる」に同じ
【参考】ぬれ(濡れ)+しょぼ(しょんぼり)+たれる(垂れる)
【用例】「汗ごうかけん、汗じっくりいなって…雨でヌレショボタレタごとなっとう」
 →「汗かきなので、汗でぐっしょりになって…雨でびしょ濡れになったみたいだ」
39 ぬれっと
  【標準語】のほほんと
【意味等】締まりがなくだらしないさま、無反省で厚かましいさま
【類義】おおまん(大雑把)
【用例】「何や?あらあ…窓口業務んとい、ヌレットした格好して…社会人失格ばい」
 →「何だ?あいつは…窓口業務なのに、だらしない格好をして…社会人失格だよ」
40 ぬれわらじ 
  【標準語】よそで厄介になる
【意味等】他の土地の者が初めて世話になった家、旅先で草鞋を解いて世話になった家
【参考】旅で濡れた草鞋を脱ぐという意


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