「へ(ヘ)」の博多・糸島弁
1 | ベエカ |
【標準語】子牛 【意味等】子どもの牛、牛の子 【同義】ベエカ、ベッコ、ベベノコ、ベベンコ 【参考】牛を表す「ベコ」に由来 |
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2 | べえべえ |
【標準語】嘔吐(幼児語) 【意味等】食べたものを吐く、嘔吐物 【同義】べえべえ、べっこ、べっこう 【参考】擬声語、嘔吐するときの声に由来 【用例】「車い酔うて、イスの上い…ベエベエしよんしゃあ」 →「車に酔って、イスの上に…嘔吐しているよ」 |
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3 | べえんしゃ |
【標準語】財産家 【意味等】「ぶげんしゃ」に同じ 【参考】「分限者(ぶげんしゃ)」の音変異 |
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4 | べえんしゃどん |
【標準語】財産家 【意味等】「ぶげんしゃ」に同じ 【参考】「分限者(ぶげんしゃ)」の音変異+どん(敬称) |
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5 | へがと 《詳しくはこちら》 |
【標準語】価値がない 【意味等】役に立たない程度、取るに足らない 【同義】へがと、へのしこ、へのしこら 【参考】へ(屁:取るに足らないの例え)+がと(分、価値)→取るに足らない価値 【用例】「お祝いい絵皿ばもろうたが、ヘガトやん…げさっかけん、飾りようもなか」 →「お祝いに絵皿をもらったが、役に立たん…品がわるいので、飾りようもない」 |
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6 | へがともなか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】屁とも思わない 【意味等】眼中にない、物の数ではない 【参考】へ(屁)+がと(分、価値)+もない→屁の価値もない 【用例】「俺な…喧嘩の強かっつぇー、お前のごと…しゃばかとやら、ヘガトモナカ」 →「俺は…喧嘩が強いんだぜぇー、お前のような…弱いやつなど、物の数じゃない」 |
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7 | へかます 《詳しくはこちら》 |
【標準語】一発食らわす 【意味等】ぶん殴る、相手に対し手痛い打撃を食らわせること 【同義】へかます、へへりかます 【対義】へもかません:相手に対し何もしないこと 【参考】へ(屁)+かます(噛ます:相手に強い衝撃を与える)→ぶん殴る ・相手にとって不快なものを食らわせるの意、「かます」だけでも同じ意となる ・発生は「京ことば」で関西を中心に使われるが、博多・糸島弁とは意味が違う ・関西では主に「ちょろまかす」や「盗む」「約束を破る」などの意で使う ・放屁によって一瞬の不快と啞然を発生させ、その隙に小細工をすることに出る 【用例】「なんてや?まいっぺん言うてんろ…たいがいいしとかなあ、ヘカマッそ」 →「なんだと?もう一回言ってみろ…いい加減にしておかないと、ぶん殴るぞ」 |
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8 | へき 《詳しくはこちら》 |
【標準語】肩こりのツボの筋肉 【意味等】脇背の筋肉、肩から背にかけての部分の筋肉、僧帽筋の周辺、肩、背中 【参考】九州各地で使われる、語源は諸説ある ・肩こりを表す「痃癖(けんぺき)」が由来 ・オランダ語の医学用語が由来、長崎から派生した 【関連】「へき」を使った言葉 (1)へきのおこる 《意味》僧帽筋の引攣 《参考》肩胛骨の運動をつかさどる筋肉が痙攣を起こし引きつること 【用例】「ヘキの痛かっちゃん、こわっとるごたるけん…肩ば揉んじゃらんね」 →「肩甲骨の間が痛いんだ、凝っているようなので…肩を揉んでくれないかい」 |
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9 | へぎ |
【標準語】折ぎ板 【意味等】スギやヒノキの薄い板、またその加工品(折箱や折敷など) 【参考】語源は薄く削る意の「剥ぐ、折ぐ」、全国広範囲で使われる 【関連】紙のように薄く剥いだ板を「経木」というが、語源は「へぎ」 【用例】「うちゃあ…神棚い上ぐるヘギな、毎年…正月い、新しい買い替えよるばい」 →「我が家は…神棚にお供えする折敷は、毎年…正月に、新品に買い替えているよ」 |
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10 | へきのおこる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】僧帽筋の引攣 【意味等】肩胛骨の運動をつかさどる筋肉が痙攣を起こし引きつること 【用例】「あ痛ぁ…ヘキノオコッタ、こらあ力仕事なでけん…田植えな頼うどくけん」 →「あ痛ぁ…背中が攣った、これは力仕事は出来ない…田植えは任せておくから」 |
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11 | へぎもち |
【標準語】かき餅 【意味等】餅を薄く切って乾かしたもの、片餅(へぎもち)、欠餅(かきもち) 【参考】へぎ(剥ぎ:薄く切る・剥いだ)+もち(餅)→かき餅 【用例】「子供ん時ゃ…ヘギモチば焼いて食いよったが、このごら…食わんねぇ」 →「子供の時は…かき餅を焼いて食べていたけれども、最近は…食べないねぇ」 |
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12 | へくい 《詳しくはこちら》 |
【標準語】親友 【意味等】最も親しい友人、心を打ち明けて交わえる友人 【参考】語源は諸説、漢字で「屁食い」または「戸喫・竈食い」 ・「屁食い」説:いつも屁を嗅ぎ合うほど近い仲であること ・「戸喫」「竈食い説」:同年輩の人、同じ釜の飯を食べた人 【同義】ちんくそ、へくい、へくいどし、へくいともだち 【用例】「今な…偉うなっとうが、市長と俺な、こまかとっからのヘクイやん」 →「今は…偉くなってるけど、市長と俺は、小さい頃からの親友だよ」 |
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13 | へくいどし 《詳しくはこちら》 |
【標準語】親友 【意味等】「へくい」に同じ 【参考】へくい(親友)+どし(同士)→親友同士、戸喫同士 【用例】「あれたちゃヘクイドシやったが…三角関係いなって、今な口もききなれん」 →「あいつら親友だったけど…三角関係になって、今は話もしなくなった」 |
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14 | へくいともだち 《詳しくはこちら》 |
【標準語】親友 【意味等】「へくい」に同じ 【参考】へくい(親友)+ともだち(友達)→親友 【用例】「俺たちゃヘクイトモダチばってん…ぜんの貸し借りな、シビアかとぜ」 →「俺たち親友だけど…お金の貸し借りは、シビアなんだぜ」 |
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15 | へこ |
【標準語】褌、腰巻 【意味等】 (1)褌の「へこ」 《意味》褌、締め込み、男子の陰部をおおう布、したおび (2)腰巻の「へこ」 《意味》腰巻(女性用の和下着)、腹から足にかけてまとう布(湯文字や蹴だしなど) 【参考】兵児帯(縮緬等の帯)や石べこ(石を運ぶための綱の環)も「へこ」という 【関連】「へこ」を使った言葉 (1)へこたれ 《意味》罵倒の言葉:意気地なし、ぐずなやつ、のろまなやつ 《参考》へこ(褌)+たれ(垂れ)→いつも褌を垂らしている駄目な人 (2)へこたれる 《意味》へたばる、くたびれる、気力がなくなる、往生する、疲れる 《参考》へこ(褌)+たれる(垂れる)→力が入らない…など諸説ある |
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16 | へご |
【標準語】竹ひご、籠 【意味等】 (1)竹ひごの「へご」 《意味》籠などを編むために竹を薄くまたは細く割り裂いた物 (2)籠の「へご」 《意味》竹ひごで編んだ籠(魚籠など) |
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17 | へこいかく |
【標準語】褌を締める 【意味等】締め込みをつける 【参考】伝承に「博多ん者な横道者、青竹割ってヘコイカク」というのがある 《意味》博多の人は強情者なので、青竹を割って褌にするくらいの意気込みがある 《参考》上記により「へこいかく」は、度量・胆力がある、軽く見て侮るの意もある |
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18 | へこおび |
【標準語】しごき帯 【意味等】帯締めの下方に軽く締める飾り帯、縮緬など一幅の布を扱いて帯とする 【参考】漢字で「兵児帯」、薩摩の若者用の帯で幕末に江戸で流行、女性にも流行 |
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19 | へこたれ |
【標準語】意気地なし 【意味等】駄目なやつ、だらしないやつ、ぐずなやつ、のろまなやつ 【参考】へこ(褌)+たれ(垂れ)→いつも褌を垂らした駄目な人(罵倒の言葉) 【用例】「好いとうといヘコタレやけん…振らるるとのえずうして、告白しきらんと」 →「好きなのに意気地なしなので…振られるのが怖くて、告白できないんだ」 |
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20 | へこたれる |
【標準語】へたばる 【意味等】くたびれる、気力がなくなる、往生する、疲れる 【参考】語源は諸説ある (1)へこ(褌)+たれる(垂れる)→褌が緩んで力が出ない、褌垂れる (2)へこ(屁)+たれる(垂れる)→おならが出て力が出ない、屁垂れる (3)へこ(凹む)+たれる(垂れる)→凹んでしまって力が出ない、凹垂れる 【同義】くたばっとる、へこたれる、へたばる 【用例】「またコロナで休業要請…飲食店やけん、休業補償の出んとヘコタルルが」 →「またコロナで休業要請…飲食店なので、休業補償が出ないと潰れてしまうよ」 |
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21 | へことり |
【標準語】ふんどし祝 【意味等】男児が成人男性に達したことを祝う祭事、日本各地で行われる 【参考】11月15日(七五三の日)に9歳の男子が初めての褌をつける祭事 【関連】褌は陰部を覆う下着で、生殖能力を備えたことを祝う象徴となる |
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22 | へずる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】減らす 【意味等】取って減らす、分量を減らす、削り取る、争い取る 【参考】語源は「剥る」で、古語の「へつる」 【類義】はつる(削る):少しづつ削ること、博多弁では横っ面を平手打ちすること 【関連】全国各地で広く使われる方言 【用例】「そえん…たいそ食いきらん、お茶碗のご飯ば、ちいっとヘズッちゃらんね」 →「そんなに…たくさん食えないよ、お茶碗のご飯を、少し減らしてくれないかい」 |
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23 | へそばば |
【標準語】助産婦 【意味等】産婆、出産を補助する人 【参考】漢字で「臍婆」、臍のおを切る人(高齢の女性) 【関連】地域によっては「取上婆」や「子取婆」という |
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24 | ヘソミカン |
【標準語】ネーブルオレンジ 【意味等】柑橘類でオレンジ、アメリカ原産の早生のスイートオレンジ 【参考】果頂部にヘソに似た窪みがある、ヘソは英語でネーブル(navel) |
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25 | ~へた |
【標準語】海岸、端 【意味等】 (1)海岸の「~へた」 《意味》「うみべた」に同じ、海のほとり、海ばた、海浜 《用例》「昔な…冬の荒れたヘタい、バカイカの打ち上がるけん、ひらい行きよった」 →「昔は…冬の荒れた海岸に、ソデイカが打ち上るので、拾いに行っていた」 (2)端の「~へた」 《意味》端、縁、辺 《用例》「戦後すぐい、池のヘタい桜の植えられたが…今な、花見の名所いなっとう」 →「詮議すぐに、池の縁に桜が植えられたが…今は、花見の名所になっている」 【同義】~へた、~べた |
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26 | ~べた |
【標準語】海岸、端 【意味等】「~へた」に同じ |
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27 | べた |
【標準語】平ら 【意味等】平たい、平べったい、扁平 【同義】べた、べったるか 【参考】語源は「ひらべったい」の音変異 【関連】「べた」を使った言葉 (1)べたあし:偏平足 (2)べたなぎ:油凪、波ぎとつない穏やかな海面 (3)じべた:地面 |
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28 | べたあし |
【標準語】偏平足 【意味等】足の裏が平たい、足の裏に土踏まずがほとんどない足 【参考】偏平足は足が疲れやすいと言われる |
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29 | べたなぎ |
【標準語】あぶらなぎ(油凪) 【意味等】「すけだちなぎ」に同じ、光り凪、ひがんなぎ 【参考】ベタ凪、油を流したように波風が穏やかな海面 |
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30 | へたばりつく 《詳しくはこちら》 |
【標準語】へばりつく 【意味等】「へたばる」(3)に同じ |
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31 | へたばる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】疲れ果てる、座る、粘着する 【意味等】 (1)疲れ果てるの「へたばる」 《意味》くたびれへたっている、「くたばっとる」に同じ 《参考》ひどく疲れ苦しんでいる状態 《用例》「農作業のバイトやが…暑かとときつかとで、午前中でヘタバッしもうた」 →「農作業のバイトだけど…暑いのときついので、午前中で疲れ果ててしまった」 (2)座るの「へたばる」 《意味》坐る、座り込む、へたる 《用例》「朝からの作業やったけん…くたぶれて、倉庫の前でヘタバッとんしゃあ」 →「朝からの作業だったので…くたびれて、倉庫の前で座り込んじゃっているよ」 (3)粘着するの「へたばる」 《意味》へばりつく 《同義》へたばる、へたばりつく 《用例》「フルマラソンな初めとやったけん、ゴールして…係員いヘタバッとんなあ」 →「フルマラソンは初めてだったので、ゴールして…係員にへばりついているよ」 |
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32 | べたゆき |
【標準語】綿雪 【意味等】水分を多く含んだ雪、すぐ解ける雪 【参考】溶けやすく、物にくっつきやすい雪 |
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33 | へちくずす 《詳しくはこちら》 |
【標準語】邪魔をする、物事をダメにする 【意味等】 (1)邪魔をするの「へちくずす」 《意味》難癖をつける、他人の仕事の邪魔をする 《用例》「みかじめ料ば払わん店いな、わっかとば使うて、ヘチクズイテきやい」 →「みかじめ料を払わない店には、若いのを使って、営業の邪魔をしてこい」 (2)物事をダメにするの「へちくずす」 《意味》計画などを台無しにする、、ぶち壊す 《用例》「いいたかいいのこきたかこき…コロナ対策ば、ヘチクズスつもりかいな?」 →「無責任に言いたい放題にして…コロナ対策を、台無しにするつもりなのかな?」 【同義】へちくずす、へちくやす、へちくりがやす 【参考】へち(辺、端)+くずす(崩す)→横から口を出す、その結果ダメにする |
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34 | へちくやす 《詳しくはこちら》 |
【標準語】邪魔をする、物事をダメにする 【意味等】「へちくずす」に同じ 【参考】へち(辺、端)+くやす(壊す)→横から口を出す、その結果ダメにする 【用例】「おらあ計画い反対やけん、説明会でヘチクヤイて…白紙撤回さしちゃあ」 →「俺は計画に反対なので、説明会で難癖をつけて…白紙撤回に追い込んでやる」 |
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35 | へちくりがやす 《詳しくはこちら》 |
【標準語】邪魔をする、物事をダメにする 【意味等】「へちくずす」に同じ 【参考】へち(辺、端)+くりがやす(ひっくり返す)→横から口を出し、ダメにする 【用例】「ヘチクリガヤソウって、ヤクザの来ようが…俺な、おかしかぜんな出さん」 →「営業を邪魔しようと、ヤクザが来ているけど…俺は、変なお金は出さない」 |
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36 | へちゃぽん 《詳しくはこちら》 |
【標準語】あべこべ、あちこち 【意味等】「ひっちゃこっち」に同じ 【用例】「俺がいっち年長やが、消防団な団暦やけん…ヘチャポンで醬油買いやもん」 →「俺が一番年上だけど、消防団は団暦なので…逆転して下っ端だもの」 |
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37 | へちゃむくれ 《詳しくはこちら》 |
【標準語】醜女 【意味等】仏頂面、不細工、「おっぺしゃん」に同じ 【参考】へちゃ(不細工:ベチャッとした顔立ち)+むくれ(剥れる:不機嫌な顔) 【同義】おっぺしゃん、ぶきりょう、ぶさいく、ぶす、へちゃむくれ 【対義】べっぴん(別嬪)、じょうもんさん(上物さん) 【関連】全国で広く使われる、地域によって、馬鹿者や意気地なし、役立たずの意あり 【用例】「彼女ば紹介しちゃあ」言うけん、つやつけて来たが…ヘチャムクレやなかや →「彼女を紹介してあげる」と言うから、おめかしして来たけれど…醜女じゃないか |
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38 | べっからべえ |
【標準語】あかんべえ 【意味等】下まぶたを指で引き下げ赤い目の裏を見せること 【参考】相手を侮り、または承知しない意を示す 【同義】あかちょこべえ、べっからべえ、めっこんごう |
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39 | ベッコ |
【標準語】子牛 【意味等】「ベエカ」に同じ |
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40 | べっこ |
【標準語】嘔吐物、汚い 【意味等】 (1)嘔吐物の「べっこ」 《意味》身体の調子が悪くて吐いた胃の中の未消化物 《同義》べえべえ(幼児語)、べっこ 《用例》「便所でベッコば吐きよんなあ、そえんなるごと飲むって…あるもんかい」 →「便所で嘔吐物を吐いているよ、そんなになるまで飲むなんて…あるものか」 (2)汚いの「べっこ」 《意味》不潔、いやらしい 《参考》嘔吐物は汚いので、嫌いな人を侮蔑するときに使う 《用例》「便所い行て手ば洗うとりめえ…ベッコやねえ、気安うさわらんのって」 →「便所に行って手を洗ってないだろ…不潔だなあ、気安く触るなよ」 |
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41 | べっそうかく |
【標準語】べそをかく 【意味等】泣き顔になる 【参考】べっそう(べそ(べし口:「へ」の字の口」)+かく(掻く:表に出る) 【用例】「ベッソウカイテそうつきよるが…どえんしたと?迷子いなったと?」 →「泣き顔になって歩き回っているけど…どうしたの?迷子になったの?」 |
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42 | べったるか |
【標準語】平べったい 【意味等】平らである、扁平である、平たい 【参考】「べた」の形容詞。形容動詞 【用例】「石ば投げて、水切り遊びばするとなら…まあだベッタルカ石ば探さなあ…」 →「石を投げて、水切り遊びをするんなら…もっと平べったい石を探さなきゃあ…」 |
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43 | べっちゃげる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】潰れる 【意味等】「しゃげる」に同じ、押し潰される 【同義】しゃぐる、しゃがれる、ひっしゃぐる、ひっしゃげる、べっちゃげる 【用例】「食パンなベッチャゲルけん、買いもん袋いな…しまえい入れちゃり」 →「食パンは潰れちゃうら、買い物袋には…一番最後に入れてちょうだい」 |
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44 | へっちん 《詳しくはこちら》 |
【標準語】うんこ 【意味等】大便、糞、肛門から体外に排出された食物のかす 【参考】厠を表す「雪隠(せっちん)」の音変異 【関連】「雪隠」は、唐の雪竇禅師が霊隠寺の厠を司ったなどが由来、諸説ある 【同義】あぽ、のんぎり、へっちん、んこ 【用例】「山ん中やけん誰も見とらん…こそっと、木の陰でヘッチンばしてきない」 →「山の中だから誰も見ていない…こっそりと、木陰で野糞をしておいで」 |
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45 | へっちんこく 《詳しくはこちら》 |
【標準語】行き詰る 【意味等】仕事などが行き詰ってできなくなる、進退に窮する、物の通りが悪くなる 【同義】ふんづまる、へっちんこく 【用例】「レポートな…明日までんとい、ヘッチンコイテ…間に合いめえごたあ」 →「レポートは…明日までなのに、行き詰って…間に合いそうもない」 |
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46 | へっちんごや 《詳しくはこちら》 |
【標準語】便所 【意味等】便所、厠、トイレ、雪隠 【参考】へっちん(雪隠:大便、厠)+こや(小屋) 【用例】「朝からビリビリやん…ちょっとヘッチンゴヤで、あぽしてきてよか?」 →「朝から下痢気味なんだ…ちょっとトイレで、うんこをしてきていいかい?」 |
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47 | へっちんだいく 《詳しくはこちら》 |
【標準語】腕の未熟な大工 【意味等】下手な大工、腕の悪い大工 【参考】トイレしか造れない使いようのない大工、下手な大工を嘲る言葉 【用例】「あの人い屋根の修繕ば頼うだが…ヘッチンダイクやったけん、失敗こいた」 →「あの人に屋根の修繕を頼んだけど…腕の未熟な大工だったので、失敗だった」 |
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48 | ヘッチンムシ 《詳しくはこちら》 |
【標準語】ウジムシ、蛆 【意味等】蛆虫、ハエ目短角亜目・環縫短角群に属する昆虫の幼虫 【用例】「生ゴミいヘッチンムシの沸いとう…ぞごぞごしょうごたあ」 →「生ゴミにウジムシが湧いている…鳥肌が立つちそう」 |
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49 | へっぱく 《詳しくはこちら》 |
【標準語】屁理屈、無駄話、滑稽 【意味等】 (1)屁理屈の「へっぱく」 《意味》差し出口、減らず口、口出し 《参考》出しゃばって口出しすること、また、人の厚意に口応えすること 《用例》「さあき、話し合いで決めたろうが…今のういなって、ヘッパク言いなんな」 →「さっき、話し合いで決めただろう…今ごろになって、屁理屈を言うなよ」 (2)無駄話の「へっぱく」 《意味》無駄口、無駄話、でたらめ、嘘 《用例》「ヘッパク言わんで、仕事ばしない…いっちょん、はかのいとりめえが」 →「無駄話せずに、仕事をしなさい…ちっとも、仕事の効率が良くないでしょ」 (3)滑稽の「へっぱく」 《意味》滑稽、ひょうきん、冗談 《同義》ぞうたん、へっぱく(やや毒のある冗談) 《用例》「あの人の来なったら…ヘッパクばっかし言いなるけん、みんな大笑いやん」 →「あの人が来たら…滑稽なことばかり言うので、みんな大笑いだよ」 |
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50 | へっぱくゆう 《詳しくはこちら》 |
【標準語】雑談する 【意味等】とりとめのない話をする、無駄話をする 【参考】へっぱく(無駄話や冗談)+いう→雑談する 【用例】「あたきゃあ、酒飲うで…ああたとヘッパクイウとが、いっち楽しか」 →「私は、お酒を飲んで…あなたととりとめのない話をするのが、一番楽しい」 |
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51 | へのこだる |
【標準語】取るに足らない 【意味等】役にも立たない、極めて容易だ、屁のようだ 【参考】へ(屁)+のごたる(のようだ)→屁のようだ 【用例】 ・あえなヘノゴタル男ば…好いとうと?やめとき、よか男なたいそおるよ →あんな取るに足らない男が…好きなの?やめなさい、いい男はたくさんいるよ ・九大い合格するやら…ヘノゴタルって言いよったが、今年で3浪目げな →九大に合格するなんて…極めて簡単だと言っていたが、今年で3浪目だって |
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52 | へのしこ 《詳しくはこちら》 |
【標準語】価値がない 【意味等】「へがと」に同じ 【参考】へ(屁:取るに足らないの例)の+しこ(分、価値)→取るに足らない価値 【用例】「親父の遺産ば相続したが、借金のたいそあったけん…ヘノシコやった」 →「親父の遺産を相続したけど、借金がたくさんあったので…微々たるものだった」 |
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53 | へのしこら 《詳しくはこちら》 |
【標準語】価値がない 【意味等】「へがと」に同じ 【参考】へ(屁:取るに足らないの例)の+しこら(分、価値)→取るに足らない価値 【用例】「えらい儲かったばってん、税金ばたいそ払うたけん…ヘノシコラ」 →「すごく儲かったけど、税金にたくさん払ったので…たいしたことはない」 |
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54 | へのしこらもなか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】屁とも思わない 【意味等】「へがともなか」に同じ 【参考】へ(屁)の+しこら(分、価値)+もない→屁の価値もない 【用例】「ダイヤと思うとったが…ガラスやもん、売ったっちゃヘノシコラモナカ」 →「ダイヤと思っていたけど…ガラスだもの、売ってもほとんど価値がない」 |
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55 | へのつっぱりいもならん 《詳しくはこちら》 |
【標準語】役立たず 【意味等】物の役に立たぬこと、頼りにならぬ人 【参考】そのまんま「おならを我慢する力もない」役に立たないの意 【用例】「資格と経験のあるって言うけん雇うたが、ヘノツッパリイモナランやった」 →「資格と経験があると言うので雇ったけれど、何の頼りにもならないヤツだった」 |
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56 | ヘフリムシ |
【標準語】ミイデラゴミムシ(三井寺歩行虫) 【意味等】ヘッピリムシ、コウチュウ目オサムシ上科ホソクビゴミムシ科の昆虫 【同義】ヘフリムシ、ヘヘリムシ 【参考】危機を察知するとお尻から大きな音で刺激臭のあるガスを噴出する |
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57 | べべ |
【標準語】着物(幼児語) 【意味等】衣服、着る物、晴れ着 【同義】べべ、べんべん 【参考】語源は不明、紅色に由来との説もある 【用例】「まあ…愛らっさ、綺麗かべべば着て、母ちゃんとお出かけね?よかねー」 →「まあ…可愛い、綺麗な着物を着て、母ちゃんとお出かけかい?いいねえ」 |
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58 | ベベノコ |
【標準語】子牛 【意味等】「ベエカ」に同じ |
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59 | へへりかます 《詳しくはこちら》 |
【標準語】一発食らわす 【意味等】「へかます」に同じ 【参考】へへり(放屁)+かます(噛ます:強い衝撃を与える)→ぶん殴る 【用例】「あいつ横着っか…言いたか放題…ヘヘリカマサな、言う事ば聞きめえや」 →「あいつ横着だ…言いたい放題…一発食らわせないと、言う事を聞かないだろう」 |
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60 | へへりむし 《詳しくはこちら》 |
【標準語】よくおならをする人 【意味等】頻繁に放屁する人、おなら野郎 【参考】ミイデラゴミムシ(ヘヘリムシ)に由来する 【用例】「あんたぁ…イモばっかり食いようけん、屁の止まりめ…ヘヘリムシやん」 →「あんた…イモばかり食ってるんで、屁が止まらんだろ…おなら野郎だな」 |
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61 | ヘヘリムシ |
【標準語】ミイデラゴミムシ(三井寺歩行虫) 【意味等】「ヘフリムシ」に同じ |
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62 | へへる 《詳しくはこちら》 |
【標準語】放屁する 【意味等】おならをする、屁を放る 【参考】へ(屁)+へる(放る)→放屁する 【関連】「へへり」を使った言葉 (1)へへりかます 《意味》一発食らわす 《同義》へかます、へへりかます 《用例》「ヘヘリカマイタラ…はつりたあされっしもうた、うちんとな…強か」 →「一発食らわしたら…往復びんたを食らってしまった…うちの女房は…強い」 (2)へへりむし 《意味》よくおならをする人 《用例》「歳ば取ったんだあ、尻んすのゆるうで…プッププップ、ヘヘリムシやん」 →「歳をとったら、肛門が緩んでしまって…プッププップ、おなら野郎だよ」 【用例】「ああた、こたつでヘヘッタろ?臭かけん…ヘヘランのって、うらんしか」 →「あなた、こたつで放屁したでしょ?臭いので…おならしないで、ああ嫌だ」 |
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63 | ベベンコ |
【標準語】子牛 【意味等】「ベエカ」に同じ |
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64 | へもかません 《詳しくはこちら》 |
【標準語】相手に対し何ひとつしないこと 【意味等】世話になった人に最低の義理すら果たさない、何ひとつしない 【参考】へ(屁)も+かません(噛ません:衝撃を与えない)→何もしない 【対義】へかます、へへりかます:相手に一発食らわす 【用例】「合格したら…世話いなった人たちい、礼も言わんし…ヘモカマセン」 →「合格したら…世話になった人たちに、礼も言わないし…何も義理を果たさない」 |
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65 | べらべらなく |
【標準語】しくしく泣く 【意味等】さめざめと泣く、いつまでも泣く 【参考】べらべら(とりとめのない様)+なく(泣く)→しくしく泣く 【用例】「いつまでっちゃ…ベラベラナイテ、飯ば食いよう時い…うっとうらしか」 →「いつまでも…とりとめなく泣いて、ご飯を食べている時に…鬱陶しい」 |
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66 | べらり 《詳しくはこちら》 |
【標準語】ごっそり 【意味等】ごそっと、残らず、根こそぎ、全部 【同義】ごろっと、べらり 【類義】そうよう(全部) 【参考】語源は不明、佐賀弁の「べらい(がばい)」の音変異と推測している 【用例】「夏野菜の苗ば植えとったが、急い寒うなって…ベラリ枯れっしもうた」 →「夏野菜の苗を植えてたけれど、急に寒くなって…残らず枯れっしもうた」 |
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67 | べんか |
【標準語】美しい(幼児語) 【意味等】綺麗 【参考】語源は「紅(べに)か:赤いものは綺麗」…と思われる 【用例】「今日な…七五三?よかねえ、ベンカべべな着て…えらい愛らっさ」 →「今日は…七五三?いいねえ、きれいな服を着て…とっても可愛いねえ」 |
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68 | ベンガネ |
【標準語】ベンケイガニ 【意味等】弁慶蟹、十脚目ベンケイガニ科に分類されるカニの一種 |
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69 | へんげる |
【標準語】病状が悪化する 【意味等】病状の悪化 【参考】漢字で「変化る」、変化に出る 【関連】各地で使われるが「心変わり」や「化ける」など、微妙に意味が違う 【用例】「見舞いい行たときゃ…普通い話よんなったが、急いケンゲテ…死んなった」 →「見舞いに行ったときは…普通に話してたけど、病状が急変して…亡くなった」 |
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70 | べんさし |
【標準語】薬指 【意味等】紅差し指、くすり指、紅つけ指 【参考】口紅をつける指 |
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71 | へんしゃ |
【標準語】貧乏人 【意味等】貧しい人、貧乏者 【参考】語源は不明、財産家の「べんしゃ」に対して「へんしゃ」をあえて使うのか? 【関連】「へんしゃ」は「変物・偏物」として、変わり者や偏屈な人の意もある |
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72 | べんしゃ |
【標準語】財産家 【意味等】金持、富豪、「ぶげんしゃ」に同じ 【参考】「ぶげんしゃ」の音変異、他地域では「ぐべんしゃ」「ぐえんしゃ」など言う |
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73 | へんちく 《詳しくはこちら》 |
【標準語】変人 【意味等】変わり者、へんてこ、「ふうがじん」(2)と同じ 【同義】ふうがじん、へんちく、へんちくりん 【参考】「へんちくりん」の短縮 【用例】「あらあ…秀才ばってんヘンチクやけん、ぜんいもならん研究ば…しようと」 →「あいつは…秀才だけど変わり者なので、お金にもならない研究を…してるんだ」 |
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74 | へんちくりん 《詳しくはこちら》 |
【標準語】変人 【意味等】「ふうがじん」(2)と同じ、へんてこ、へんてこりん 【類義】ちんちくりん、みょうちくりん 【参考】語源は諸説 (1)竹林説:竹は種類が異様に多いので、変わっているの意で「ちくりん」を使う 《補足》へんちくりん:変竹林、ちんちくりん:珍竹林、みょうちくりん:妙竹林 (2)接尾語説:「ちく」の語源は「的」で「りん」は意味のない接尾語 《補足》へんちくりん:変的、ちんちくりん:珍的、みょうちくりん:妙的 《関連》「へんてこりん」の「てこ」の語源は「的」または「梃」で補足に同様 【用例】「地元でなヘンチクリンばってん、鉄道オタクの世界でな…レジェンドげな」 →「地元じゃ変わり者だけど、鉄道オタクの世界では…伝説的人物らしい」 |
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75 | へんなか 《詳しくはこちら》 |
【標準語】変だ 【意味等】おかしい、違和感がある、「おかあしか」(4)に同じ 【同義】おかしか、おかあしか、へんか、へんなか 【参考】へんな(変な)+か(形容詞に変化する接尾語)→おかしい 【用例】「独り暮らしばさせようばってん…ヘンナカ男いやら、引っ掛かりめえか」 →「独り暮らしをさせているけど…変な男になんか、引っ掛からないだろうか」 |
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76 | べんべん |
【標準語】美しい服 【意味等】綺麗な服 【参考】語源は不明、べんか(綺麗な)+べべ(服)の短縮形と思われる 【用例】「成人式んときゃあ、お姉ちゃんたちの…ベンベンば着んしゃるとよ」 →「成人式の時には、お姉ちゃんたちが…綺麗な服を着るんだよ」 |
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77 | ペンペングサ |
【標準語】ナズナ 【意味等】薺、アブラナ科ナズナ属の越年草 【同義】ペンペングサ、ネコノジャラジャラ 【関連】実が三角形で三味線のバチの形をしているのでシャムセンソウとも言われる 【参考】三味線の弦を弾く「ペンペン」という音が名前の由来 |
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78 | ヘンボウ |
【標準語】トンボ 【意味等】蜻蛉、細長い翅と腹を持った蜻蛉目の昆虫の総称 【参考】九州西部のトンボを表す方言「エンバ」「ヘンブ」の音変異と思われる |
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79 | へんや |
【標準語】路地 【意味等】塀に囲まれた路地、家と家の間にある細い道 【参考】糸島市加布里地区の方言、「塀屋」に由来 【関連】江戸時代の天領で、当時は路地が敷地の塀で囲まれている街並みだった |
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80 | へんやのかぜ |
【標準語】路地風 【意味等】夏場に海から路地を通って集落を吹き抜ける涼風 【参考】糸島市加布里地区の方言、集落の北側に海に面した漁港がある |