こまい、こまか
【標準語】小さい、けち、若い
【品詞】形容詞
【意味】
(1)「小さい」の「こまか」
《意味》微か、僅か、細い、大きくない
《用例》
・ネジのコマカけん、まちーっと…コマイドライバーば取っちゃり
→ネジが小さいので、もう少し…細いドライバーを取ってちょうだい
・このごらあ…老眼のひどうなって、コマカ字な…いっちょん読まれん
→この頃は…老眼がひどくなって、小さな字は…ちっとも読めない
・何な…このエビ天な、衣ばっかしで…エビなメダカのごとコマカ
→何じゃ…このエビ天は、衣ばかりで…エビはメダカのように小さい
(2)「けち」の「こまか」
《意味》物事にこすい、けち、吝嗇、過度に物惜しみをすること
《用例》
・商売ばしよんなあけんかいな…あの人なえらいコマカ…いっちょんじぇんば出さん
→商売をしているからかなあ…あの人はひどくケチだ…ちっともお金を出さない
・倹約な…美徳ばってん、あんまとコマカったら…性格まで貧相いなっしまう
→倹約は…美徳だけど、過度に物惜しみしたら…性格まで貧相になってしまう
・あのコマカとが募金やら…しなあもんや、頼みい行ったんだ…文句ば言いなあとぜ
→あのケチな奴が募金なんか…するもんか、頼みに行ったら…文句を言うんだぜ
(3)「若い」の「こまか」
《意味》年下、年齢が少ない、幼い
《用例》
・おらあ…先輩ぜ、おまやあコマカっちゃけん…逆らわんで言うこと聞きやい
→俺は…先輩だぞ、お前は年下なんだから…逆らないで言うことを聞くんだ
・お前たちゃ…まあだコマカ、大事かことやけん…大人たちだけで決むる
→お前たちは…まだ若い、大事なことだから…大人たちだけで決める
・ああた…一人でお留守番しよると?一人でえずうなかね?コマカとい偉かねえ
→あなた…一人でお留守番してるの?一人で怖くないの?幼いのに偉いねえ
【同義】こまい、こまか
【参考】由来は「細かい」の音変異と思われる
イラストによる用例解説
【翻訳】
「お前は…チビだなあ」
「身体はちっちゃいけど、お前より人間の器は…でっかいんだぜー!」
「こまい、こまか」を使った言葉
こまいこまい
【標準語】小さい小さい
【品詞】連体詞
【意味】たいしたことではない、取り立てて言うほどのことではない
【用例】
・財布ば落といたやら…コマイコマイ、うちゃあ…ぬすとい金庫ば盗られた
→財布を落としたなんて…大したことじゃない、うちは…泥棒に金庫を盗まれた
・彼女いフラれた?コマイコマイ、おいしゃんな…嫁ごい8回も逃げられた
→彼女にフラれた?小さい小さい、おじさんは…女房に8回も逃げられた
・わこうして社長いなったって?コマイコマイ、おらあ…同い年で将軍様ぜ
→若くして社長になっただと?大したこっちゃない、俺は…同い年で将軍様だよ
こまかもん
【標準語】子ども
【品詞】名詞
【意味】子どもたち、大人の側から子ども(たち)をさしていう言葉
【参考】
・こまか(幼い)+もん(者)→こども
・単数だけでなく、複数の「子ども」のことも言う
【用例】
・ここんにきな…共働きの多かけん、放課後児童クラブで…コマカモンば預かっとります
→この辺は…共働きが多いので、放課後児童クラブで…子どもたちを預かっています
・あっちのコマカモンな…悪か、おごったっちゃ口返事して…言うこと聞ききゃあせん
→あのお宅の子供は…悪い、叱っても口答えして…言うことを聞きゃしない
・あっちゃあ…両親とも器量好しやけん、コマカモンも…そうよう愛らしか顔しとう
→あちらは…両親とも顔が綺麗なので、子供たちも…みんな可愛い顔をしている
こまぎのつく
【標準語】注意が行き届く
【品詞】形容動詞
【意味】細かなことにも気がまわる、細かに気配りをする、よく気が利く
【参考】こま(細かい)+ぎのつく(気がつく、気が利く)
【用例】
・パートばってん…あの奥さんなコマギノツク、正社員で雇いたか
→パートだけど…あの奥さんはよく気が利く、正社員で雇いたい
・うちの亭主な…コマギノツキ過ぎなあけん、一緒いおったら…鬱陶らしゅうなる
→うちの亭主な…細かく気配りし過ぎるので、一緒にいたら…鬱陶しくなる
・あらあ…頭の良うしてコマギノツク、えらい頼りいなるとばってん…何か好かん
→あいつは…頭が良くて注意が行き届く、とても頼りになるんだが…何だか嫌い
こまごと
【標準語】小言、駄々
【品詞】名詞
【意味】
(1)「小言」の「こまごと」
《意味》口やかましい言葉、嫌味、皮肉、言い立てる細かい事柄
《同義》いやごと、こまごと
《用例》
・かかさんな…コマゴトの多かったが、嫁ごも負けんごと…コマゴトの多か
→母親は…小言が多かったけど、女房も負けないくらい…小言が多い
・あらあ…つまらん、先生からコマゴトば言われたっちゃ…なあも応えちゃおりゃあせん
→あいつは…駄目だ、先生から口やかましいことを言われても…何にも応えていない
・おまやあコマゴトの多か、我慢しとうばってん…ストレスで10円ハゲのでけたとぜ
→お前は小言が多い、我慢しているけど…ストレスで10円ハゲが出来たんだぞ
(2)「駄々」の「こまごと」
《意味》言い放題のわがまま、子どもが言う文句・不平・不満
《用例》
・甥っ子な…躾のいかん、遊園地いつんのうて行たら…コマゴトの多か
→甥っ子は…躾がよくない、遊園地に連れて行ったら…言い放題のわがまま多い
・こえん尽くしちゃりようとい…コマゴトばっかし、どえんしてほしかとかいな?
→こんなに尽くしてあげてるのに…不平・不満ばかり、どうしてほしいんだろう?
・お客さんのコマゴトな…サービス向上の財産ってやが、聞きよったら…腹の立ってくる
→お客さんの文句は…サービス向上の財産ってだけど、聞いてたら…腹が立ってくる
【参考】こま(こまい:こまごまとした)+ごと(言葉)
こまごという
【標準語】小言を言う、駄々をこねる
【品詞】名詞
【意味】
(1)「小言を言う」の「こまごと」
《意味》口やかましく言う、細かい事を言い立てる、嫌味を言う
《用例》
・新婚の時ゃあ…優しかったが、今あ俺の顔ば見たんだあ…コマゴトイウ
→新婚の時は…優しかったけど、今は俺の顔を見たら…細かいことを言い立てる
・あらあ…つまらん、先生のコマゴトイワレたっちゃ…屁のごとしとう
→あいつは…駄目だ、先生から口やかましく言われても…全く動じない
・もう…コマゴトイウたあ止めて、ストレスで…10円ハゲのたいそでけようとぜ
→もう…小言を言うのは止めて、ストレスで…10円ハゲがたくさん出来ているんだぞ
(2)「駄々をこねる」の「こまごという」
《意味》わがまま言い放題、子どもが文句・不平・不満を言う
《用例》
・うちの孫な…辛抱りきのなか、遊園地いつんのうて行たら…コマゴトイウ
→うちの孫は…辛抱できない、遊園地に連れて行ったら…わがまま言い放題
・こえん尽くしようとい…コマゴトイウ、ああた…どえんしてほしかと?
→こんなに尽くしているのに…不平・不満を言う、あなた…どうしてほしいの?
・お客の…理不尽いコマゴトイイナアとば聞きよったが、だんだんと…腹の立ってきた
→お客の…理不尽にクレームを言うのを聞いていたが、だんだんと…腹が立ってきた
【参考】こまごと(小言・わがまま)+いう(言う)
【翻訳】
「あなた…プロポーズするときに、私に何を約束したか…覚えてるの?
結婚してから中洲で変な病気をもらってきたり…
知らない間に借金を作ったりして…くどくど…ねちねち…」
「私が間違っておりました…あなたがおっしゃるとおり
私が一番悪いんです!だから…もう…くどくどと
小言を言わないでください…」
こまじん
【標準語】ケチな人
【品詞】名詞
【意味】けちんぼう、吝嗇家、物事にこすい人、過度に物惜しみをする人
【参考】こま(こまい:けち)+じん(人)→ケチなやつ
【用例】
・あのこっけ爺な…コマジンやけん、何やらかんやら拾うてきて…家なゴミ屋敷やもん
→あのくそ爺は…吝嗇家だから、何やかにや拾ってきて…家はゴミ屋敷だもの
・あのおいしゃん…ぜんなあるといコマジン、金払いの悪うして…おうじょうしよる
→あのおじさん…お金はあるのにどケチだぜ、金払いが悪くて…困っている
・贅沢せんごと…倹約するごと育てたが、おせいなったら…コマジンい育った
→贅沢せぬよう…倹約するよう育てたら、大人になったら…物事にこすいやつに育った
こまたらしか
【標準語】くどい
【品詞】形容詞
【意味】しつこい、細々と煩わしい、あっさりしていない
【参考】こま(こまい:細々)+たらしか(態らしい;性質が強い)→細々と煩わしい
【同義】こまたらしか、ねんこつらしか
【類義】しちこいか、しちこいたらしか、ひちこいか、ひちこいたらしか
【用例】
・コンビニのレジな…コマタラシカ仕事の多して、あの時給でな…割りい合わん
→コンビニのレジは…細々と煩わしい仕事が多くて、あの時給では…割りに合わない
・コマタラシカごたるばってん、感染せんごと…うがいと手洗いな、しっかりしとき
→しつこいようだけど、感染しないように…うがいと手洗いは、しっかりしなさい
・車な買い替えんって言いよるとい、コマタラシュウ…営業い来なあったい
→車は買い替えないと言っているのに、執拗に…営業に来るんだよ
【博多・糸島弁検索】
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。