いぶる、くすぶる、くすぼる、すぼる
【標準語】いぶす、くすべる
【品詞】動詞
【意味】
(1)「燻す」の「いぶる」
《意味》よく燃やさないで煙を出させる、くすべる
《同義》いぶる、くすぶる
《用例》
・腸詰ば、桜のチップで…よおーとイブッとうけん、えらい美味か
→腸詰を、桜のチップで…よく燻してるので、とても美味い
・その薪な生乾きやけん、焼いたっちゃクスボルだけばい。
→その薪は生乾きだから、焼いても煙るだけだよ
・蚊取り線香ば…たいそスボラせようとい、まあだ蚊のおる、なしかいな?
→蚊取り線香を…たくさん燻べているのに、まだ蚊がいる、なぜなんだ?
(2)「燻ぶる」の「いぶる」
《意味》煙で暗くなる、煙がこもる、火がよく燃えないでけむる
《同義》いぶる、くすぶる、くすぼる、すぼる
《用例》
・えらいスボットルばってん、野焼きでもしよんなるとな?
→ひどく煙っているけど、野焼きでもやっているのかい?
・えらいクスボットウね…火事でプラスチック倉庫の燃えようげな
→すごく煙って黒くなっているね…火事でプラスチック倉庫が燃えているらしい
・煙草は止めない、こえんイブッタら…吸うとらんもんも吸うたととおんなしたい
→煙草は止めろ、こんなに煙がこもったら…吸ってない者も吸ったのと同じだ
(3)「隠棲(いんせい)する」の「くすぼる」
《意味》隠棲する、隠遁する、表舞台から退く、田舎に引きこもる
《同義》いぶる、くすぶる、くすぼる、すぼる
《参考》「くすぼる」のみ上記の意味がある
・若っか時ゃあ人気の映画俳優やったばってん、今な田舎いクスボットンしゃるげな
→若い時は人気の映画俳優だったけど、今は田舎で隠遁生活をしているそうだよ
・政財界で…えらい影響力のあったばってん、大病して…クスボッテしまいなった
→政財界で…凄く影響力があったけど、大病を患って…表舞台から退いてしまった
【参考】
(1)「いぶる」「くすぶる」は、主に能動的行為…煙らせる、自主的に隠棲する
・「いぶる」の由来は「燻す(いぶす)」の音変異
・「くすぶる」の由来は「燻べる(くすべる)」の音変異
(2)「くすぼる」「すぼる」は受動的行為…煙る、隠棲してしまう
・「くすぼる」の由来は「燻ぼる(くすぼる)」
・「すぼる」の由来は「燻ぼる(くすぼる)」の音変異
「すぼる」に関連することば
すぼり
【標準語】煤(すす)、内弁慶の外すぼり
【品詞】名詞
【意味】
(1)「煤(すす)」の「すぼり」
《意味》煙の中に含まれる黒色の粉末、油煙、煤煙
《用例》
・囲炉裏からのスボリな、藁葺き屋根の防虫やら防水やらの…働きばすると
→囲炉裏からの煤煙は、藁葺き屋根の防虫や防水などの…働きばするんだ
・知っとう?習字い使う墨な…スボリば集めて、練ったとば乾かいて作るげな
→知ってる?習字に使う墨は…煤を集めて、練ったのを乾かして作るそうだ
(2) 「内弁慶の外すぼり」の「すぼり」
《意味》家の中では威張るが外ではいくじのない者、内弁慶、陰弁慶
《同義》うちぼうぼうのそとすぼり、うちばたかりのそとすぼり、すぼり、そとすぼり
《用例》
・旦那あ…家でしか威張りきんなれん、ウチボウボウノソトスボリやもん
→旦那は、家でしか威張れないんだ、内弁慶の外すぼりだもの
・いっつも悪口ば言いようくせい…あえんヘコヘコして、課長なスボリやん
→いつも悪口言っているくせに…あんなに卑屈になって、課長は内弁慶だもん
イラストによる用例解説
【翻訳】
「煙ってばかりで、ちっとも燃えないなー…どうしてかなー?」
「煙たいよー、もう燻さないでよー、えほっ、えほっ」
【翻訳】
「蚊はいなくなったけど…目がチカチカする!」
【博多・糸島弁検索】
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