かじくる、がじくる、かじける、がじける、こじくる、こじける
【標準語】悴む(かじかむ)、痩せ細る(糸島弁)
【品詞】動詞
【意味】
(1)「かじかむ」の「がじくる」
《意味》手足の先がこごえて動かなくなること
《用例》
・今朝は冷え込んどうけん、手袋しとらんやったら手のカジクルね
→今朝は冷え込んでいるので、手袋をしていないと手がかじかむね
・冬の早朝練習…道場の雑巾がけな、凍えて…指先の痛うなるごとカジケル
→冬の早朝練習…道場の雑巾がけは、凍えて指先が痛くなるほどかじかむ
・暖房の切れて…手足なガジケて、うずぶろうごと…寒うなってきた
→暖房が切れて…手足はかじかみ、震えるほど…寒くなってきた
(2)「やせ細る」の「がじくる」
《意味》痩せ衰えた様子、やつれた様、みすぼらしい様、貧相な様子
《参考》「やせ細る」や「みすぼらしい」の意は糸島弁
《用例》
・誰か子ネコば捨てとうごたあね、ガジケタとのニャーニャー鳴きよるばい
→誰か子ネコを捨てたみたいだね、痩せこけたのがニャーニャー鳴いているよ
・昔やあ金持ちやったばってん、事業ばやりそこのうて社長なガジケなったや
→昔は金持ちだったけど、事業に失敗して社長はやつれてしまったなあ
・ちーったあシャンとしない。ガジケとったら貧乏神しか寄り付かんばい
→少しは身なりを整えなさい。貧相にしていたら貧乏神しか寄り付かないよ。
【同義】かじくる、がじくる、かじける、がじける、こじくる、こじける
【参考】
・「がじ」と濁るのは糸島弁
・痩せ細るの意を持つのは、糸島の一部とその周辺
・古語の「かしく」は、萎えしなびて縮むことの意
イラストによる用例解説
【翻訳】
「ううう…うう、うらめしやぁ~」
「ねえ!父ちゃん母ちゃん…この人は、すごくやつれているようだね!干乾びてるよー!」
「そ・そ・それは幽霊だだよ~、指をさしちゃダメ!」
■「かじくる」に関連する言葉
がじ
【標準語】けち、貧相
【品詞】名詞
【意味】
(1)「けち」の「がじ」
《意味》極度に物惜しみする人、またその様
《類義》こすか
《用例》
・あらあ飲み会の会計の時ゃ…いっつもおらん、ガジでちゃ…我が分ぐらいな払わな
→あいつ飲み会の会計の時は…いつもいない、ケチでも…自分の分くらいは払わなきゃ
・おらあガジやけん、総菜な値引きシールの貼っちゃらなあ…買わん
→俺はけちだから、総菜は値引きシールが貼ってないと…買わない
・あっちゃガジばってん…歳末助け合い募金のときゃ、たまがるごと…たいそ寄付しなる
→あのお宅はけちだけど…歳末助け合い募金の時は、驚くほど…たくさん寄付される
(2)「貧相」の「がじ」
《意味》みすぼらしい、痩せ衰えている、やつれている
《用例》
・あの会社の社長なガジやけん、いっつも運転手が…社長と間違わかさるるげな
→あの会社の社長は貧相だから、いつも運転手が…社長と間違えられるそうだ
・美人で…玉の輿い乗んなったが、姑のやかましもんやけん…ガジいなっとんなあ
→美人で…玉の輿に乗ったけど、姑が口うるさい人なので…痩せ衰えているよ
・あっちの旦那…がんやなかや?たまがるごと瘦せ細って…ガジいなっとんなあぜ
→あちらの旦那…がんじゃないか?驚くほど瘦せ細って…やつれちゃっているぞ
【同義】がじ、かたか
がじがじ
【標準語】痩せこけた状態、生煮えの触感
【品詞】副詞
【意味】
(1)「痩せこけた状態」の「がじがじ」
《意味》体に肉がついていない身体、非常に痩せた状態
《用例》
・ガンいなった友達ば見舞うてきたが、ガジガジいなっとんなったや
→ガンになった友達を見舞ってきたけど、痩せこけてしまっていたよ
・ああた…ちゃんと子供い食わせようと?欠食児童のごとガジガジしとるが
→あなた…ちゃんと子供に食べさせてんの?欠食児童のように痩せこけてるじゃないの
・戦争な…いかん。見てん…栄養やら衛生状態やら悪うして、女子供なガジガジやが
→戦争は…いけない。見てよ…栄養や衛生状態などが悪くて、女子供はやつれてるよ
(2)「生煮えの触感」の「がじがじ」
《意味》生煮えや成長し過ぎたために芯や硬い繊維質がある食感
《用例》
・なんな、このカボチャの煮付けな?火の通っとらんけん、ガジガジするばい
→なんだ、このカボチャの煮付けは?火が通ってないから、繊維質のある食感がするよ
・このダイコ…安かったろ?とうのたって、ガジガジして食やされん
→このダイコン…安かっただろ?成長し過ぎて、繊維が口に残って食えないよ
・この鮭のルイベな…溶けっしもうとう、凍ってガジガジしとかな…うもうなか
→この鮭のルイーベは…溶けてしまっている、凍って硬くないと…うまくない
がじきい
【標準語】けちな、悪賢い
【品詞】形容詞
【意味】
(1)「けちな」の「がじきい」
《意味》物惜しみの度が過ぎる様、しみったれ
《用例》
・うちの息子なガジキイやけん、彼女とデートしたんだ…すぐいフラれなあ
→うちの息子はしみったれなので、彼女とデートしたら…すぐにフラれちゃう
・ばばさんなガジキイやったが、ボケなってから…家なゴミ屋敷いなっとう
→お婆さんは過剰に物惜しみする人だったが、ボケてから…家はゴミ屋敷になってる
・また…ああたが奢ったと?あの人あガジキイやが…ぜんなたいそ持っとんなあとよ
→また…あなたが奢ったの?あの人はどケチだぞ…お金はたくさん持ってるんだよ
(2)「悪がしこい」の「がじきい」
《意味》腹黒い、悪さに長けた
《用例》
・あれたちゃ…えらいガジキイ。闇バイトで我が手ば汚さんで…人い強盗やらさせなあと
→あいつら…凄く悪どい。闇バイトで自分の手を汚さずに…他人に強盗などさせるんだ
・おらあ…騙されんと思うとったが、オレオレ詐欺やらするたあ…ガジキイ
→俺は…騙されないと思っていたが、オレオレ詐欺なんかするヤツは…悪賢い
がじけ
【標準語】痩せ細った人、生育の悪い動植物
【品詞】名詞
【意味】
(1)「痩せ細った人」の「がじけ」
《意味》痩せた子供、やつれた人、小柄な人、またその人への悪口
《類義》ひがます、やせがます、やせぎす、やせっぽす、やせこんこつ
《用例》
・ああたこの女優ば好いとると?うそやろ、顔な愛らしかばってん…ガジケやん
→あなたこの女優が好きなの?うそでしょ、顔は可愛いけど…貧相だわね
・おらあ…ふっくらしたおなごしが好いとう、ガジケな好みやなか
→俺は…ふっくらした女性が好きだ、痩せ細った人は好みじゃない
・あのガジケが…こまかときいガジケとったあれが、こえん…きれゆうなっとうと?
→あの貧相なのが…子供のころ痩せ細ってたあいつが、こんなに綺麗になったの?
(2)「生育の悪い動植物」の「がじけ」
《意味》生育の良くない動植物、通常の大きさに生育していない果実など
《用例》
・今年な冷夏で、ナスもトウキビもガジケしかでけとらん
→今年は冷夏で、ナスもトウモロコシも生育不足のしかできていない
・道いガジケネコの捨てちゃった、可愛そかけん…飼うたらいきめえか?
→道に痩せネコが捨てられてた、可哀想なので…飼っちゃだめかなあ?
・はじめと家庭菜園したが…草ぼうぼうで、トマトやらナスやら…そうよガジケ
→初めて家計菜園をしたけど…草が生い茂って、トマトやナスなど…すべて生育不足
がじっぽう
【標準語】けちな人
【品詞】名詞
【意味】物惜しみの度が過ぎる人、しみったれた人
【用例】
・あげん儲かっとうとい給料なそんがしこ?あんたの店の社長ながじっぽうやね
→あんなに儲かっているのに給料はそれだけ?あなたの店の社長はケチな人だね
・あらあ…ガジッポウやけん、会費やら切りい行たっちゃ…なかなかぜんな出しなれん
→あいつは…けちな奴だから、会費なんかきりに行っても…なかなかお金を出さない
・課長の寸志…3千円?係長っちゃ5千円包んどうとい…ガジッポウやねえ
→課長の寸志…3千円?係長でも5千円包んでいるのに…しみったれた人だねえ
【博多・糸島弁検索】
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