ぬかる
【標準語】踏み貫く、突き刺さる、ぬかるむ、失敗する
【品詞】動詞
【意味等】
(1)踏み貫くの「ぬかる」
《意味》尖った物が足などに突き立つ、突き刺さる、突き貫ける
《参考》語源は「貫かれる」の音変異と思われる、熊本を中心に使われる
《用例》
・あいたしもうた…安全靴ば履いとらんやったけん、そんくぎばヌカッシもうた
→あちゃ~しまった…安全靴を履いてなかったので、尖った竹株を踏み貫いてしまった
・軍手ばせんで作業やらするもんやけん、手いとげのヌカッタっしもうたろうが…
→軍手をせずに作業なんかするもんだから、手にとげが刺さってしまったでしょ…
(2)ぬかるむの「ぬかる」
《意味》泥濘る、泥と泥水でぬかるむ、地面が泥でぐちゃぐちゃになる
《参考》語源は「泥濘る」またば「抜かる」という説、全国で広く使われる方言
《用例》
・大雨で畑のヌカッテ、長靴でちゃ…いぼりこうで、野菜ば取りい行かれん
→大雨で畑がぬかるんで、長靴でも…泥にはまり込んで、野菜を収穫に行けな
・大水で工事現場な…たつのうってしもうて…とてもヌカッテ入りゃされん
→大水で工事現場は…崖が崩れてしまい…ひどく地面がぐちゃぐちゃで入れない
(3)失敗するの「ぬかる」
《意味》うっかり忘れるなどして失敗や迷惑をかける、失念する
《参考》語源は「抜かる」、大事なことが抜けているの意、全国で広く使われる方言
《用例》
・連絡係んといヌカッテしもうて、中止いなったとば…誰いも連絡しとらん
→連絡係なのにうっかり忘れてしまい、中止になったのを…誰にも連絡してない
・あたしがヌカッテ、会議な明日と思い込うで…すんまっせん、なあも用意しとりまっせん
→私がうっかり、会議を明日だと思い込んでしまい…すみません、何も準備していません
■ぬかっとう
【標準語】刺さっている、ぬかるんでいる、失念している、失敗している
【品詞】動詞
【意味等】
(1)刺さっているの「ぬかっとう」
《意味》刺さっている、突き立っている
《用例》「何か…イガイガすると思うたら、指いとげのヌカットウもん」
→「何か…チクチクすると思ったら、指にとげが刺さっているんだもん」
(2)ぬかるんでいる「ぬかっとう」
《意味》泥と泥水でぬかるんでいる、地面が泥でぐちゃぐちゃになっている
《用例》「水漏れで、玄関らへんのヌカットウけん…気ばつけて帰んなっせ」
→「水漏れで、玄関の近辺がぬかるんでいるので…気をつけてお帰りください」
(3)失念しているの「ぬかっとう」
《意味》うっかり忘れるなどして(失敗し、迷惑をかけ)ている
《類義》やりそこのうとう、やりかぶっとう
《用例》「焼肉のタレのなか?あたしが…ヌカットッタ、買うて来とりまっせん」
→「焼肉のタレがない?私が…うっかり忘れてた、買ってきていません」
【参考】ぬかる(刺さる・ぬかるむ・失念する)+とう(~している)
イラストによる状況解説
【翻訳】
ぬかる①:痛いなあと思ったら…トゲが刺さっている
ぬかる②:ぬかるんで…ベチャベチャになってる
ぬかる③:失敗しちゃった!納豆にソースを入れちゃった
【博多・糸島弁検索】
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