もやい

【標準語】共有物、仲間、船を横に連結する

【品詞】名詞

【意味等】

(1)「共有物」のもやい

《意味》共同して使用すること、一緒に使うこと、共催すること、一緒にすること

《同義》けんたい、もやい

《用例》

・ハサミなグループい、いっちょしかなかけん…モヤイで使うちゃり
 →ハサミはグループに、一つしかないから、共用して使ってください

・大皿料理ですまんばってん、社長からの差し入れやけん…みんなでモヤイで食べり…
 →大皿料理ですまないけれど、社長からの差し入れなので、みんなで共有して食べて…

・お祝いい花ば贈るげなが…うちもかっせちゃり、モヤイなら胡蝶蘭の買わるるよ
 →お祝いに花を贈るそうだが…私も仲間に加えて、一緒にすれば胡蝶蘭が買えるよ

(2)「仲間」のもやい

《意味》仲間、同士、一緒、ともども

《同義》つれ、どうし、どし、もやい

《用例》

・あたきとあんたあ…こまかとっからモヤイで、結婚する運命やったごたあ
 →わたしとあなたは…小さい時から一緒で、結婚する運命だったようだ

・大きさな違あが、デザインなおんなしやけん、これとこれなモヤイの夫婦茶碗やが
 →大きさは違うけど、デザインは同じなので、これとこれは一対の夫婦茶碗だなあ

(3)「船を横に繋ぐこと」のもやい

《意味》舫、二艘の船を寄せて繫ぐこと、また、そのための綱

《用例》

・台風のきようけん、ボートの流されんごとモヤイいして、浜い引き上げとって
 →台風が来てるので、ボートが流されないように横に繋いで、浜に引き上げておいて

・沖で2隻の船のモヤイいなっとったが、何か怪しかごたった…覚せい剤の瀬取りやなかろうか?
 →沖で2隻の船が繋がっていたが、何だか怪しそうだった…覚せい剤の密輸ではないだろうか?

【参考】

・由来は「舫舟(もやいふね)」2隻の小舟を一つに繋ぐこと

・方言としては…使われる範囲が広く、東京を始め全国的に使われる

【関連】「もやい」を使った言葉

(1)もやいうえ

《意味》共同の田植、複数の農家が協力してする田植え、グループでする田植

《参考》もやい(共同、仲間同士)+うえ(植え:田植え)

《用例》

・昔ゃあ…田植機やらのうして、田植えなおおごとやったけん…農区でモヤイウエしよった
 →昔は…田植機などなくて、田植えは大変な作業だったので…近隣の農家で協力して植えていた

・昔なモヤイウエやったけん、作業のしまえたら鶏ば絞めて…賄いな、たいがい「素麺ちり」
 →昔は共同田植だったので、作業が終わったら鶏を潰して…賄いは、だいたい「素麺ちり」

※「素麺ちり」は、糸島の郷土料理。鶏がら肉や野菜、豆腐などを煮込んだ鍋料理。素麵と食べる。

(2)もやいだ

《意味》共同の水田、複数の世帯が共同して耕作する水田、共有の水田

《参考》もやい(共同、仲間同士)+た(田:水田)

《関連》神社の「神田(じんでん)」など、共有施設を維持するための水田などがある

《用例》

・神田なモヤイダやけん…氏子で耕いて、米ば売ったぜんで…神社の祭典やら修繕費い充てると
 →神田は共有水田なので…氏子で耕して、米を売ったお金で…神社の祭典や修繕費に充てるんだ

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イラストによる状況解説

【翻訳】
上「恋人同士なので…共用して食べよう」
「じゃあ…先に食べて、いいよ」
下「じゃあ…一口(じゅるっ…)」
 「あっ!」

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