かくする、かすくる、かする
【標準語】①掻き取る、②汲み干す、③底までさらう
【品詞】動詞
【意味】
(1)「掻き取る」の「かすくる」
《意味》こそぎ落とす、鍋の物などをこそげ取る
《用例》
・食の細かばってん…プリンな大好物やけん、最後までカスクッテ食いよる
→食は細いけど…プリンは大好物だから、最後まで掻き取って食べてる
・おじやの…そえん旨かったとな?もう…のうなったけん、鍋ばカスクリトリ
→雑炊が…そんなに旨かったかい?もう…無くなったので、鍋をこそぎ落として
・ビンにジャムの少しだけ入っとうけん、カスッテから新しかとば空けちゃり
→ビンにジャムが少しだけ入っているから、こそぎ取ってから新しいのを空けてね
(2)「汲み干す」の「かすくる」
《意味》汲み尽くす、粥などをすする
《用例》
・コーヒー用の水ば分けちゃるが、タンクの水ばそうよう…カスクランのって
→コーヒー用の水を分けてあげるけど、タンクの水を全部…汲み干さないでね
・食わなあ体力のつかんが、粥なっとカスラなあ…ようならんばい
→食べないと体力がつかないよ、粥くらい食べ干さないと…よくならないよ
・鯉攻めな、堤のゴミやら泥やらカスクリ出いて、きれゆうするとがほんな目的たい
→鯉攻めは、ため池のゴミや泥をかき出して、きれいにするのが本当の目的だ
(3)「かすめ取る」の「かすくる」
《意味》上前をはねる、一部横取りする、ピンハネする
《用例》
・親方のカスっとんなあごたあ、一人1万円のはずやが…8千円しかなか
→親方がピンハネしているようだ、一人1万円のはずだけど…8千円しかない
・給料から源泉徴収で…税金やら社会保険料やらカスクルけん、手取りな…少なかと
→給料から源泉徴収で…税金や社会保険料など天引するので、手取りは…少ないんだ
・手数料い…売上の2割ばカスクリトリよったが、ぜん持っつぁんい…なっしもうた
→手数料に…売上の2割を取っていたら、お金持ちに…なっちゃったよ
【同義】かくする、かすくる、かする
【参考】
・「かする」は「擦る(こする)」の音変異
・「かすくる」は「かする(擦る)」+「くる(繰り返す)」で繰り返し擦るの意
・「かくする」は「かすくる」の音変異
・「かすくりとる」は「かすくる」+「とる(取る)」で、擦り取るの意
イラストによる用例解説
【翻訳】
「鍋の雑炊をこそぎ落としてまで食べてるけど…これだけじゃ足りないよ!
何かないのかい?部活が終わるまで、お腹がもたないよ!」
「おーい!おばさん、ほかに何かないのー?」
「かすくる」に関連する言葉
かすかす、かつかつ
【標準語】からから、ぎりぎり
【品詞】名詞、形容動詞
【意味】
(1)「からから」の「かすかす」
《意味》水が枯れた状態、汁気のない様子
《用例》
・雨の降らんけん…ダムなカスカス、水不足で…給水制限いなるとげな
→雨が降らないので…ダムはからから、水不足で…給水制限になるそうだ
・このミカンな…ひかちこうけよう、カスカスして…あじもこっけもなか
→このミカンは…干からびてるよ、汁気がなくて…味も香りもない
(2)「ぎりぎり」の「かすかす」
《意味》かろうじて足りるか足りないかの状況、やっとこさ
《同義》かすかす、かつかつ
《用例》
・ガソリンなあと1メモリ、給油せんで…家までカスカスやねえ
→ガソリンはあと1メモリ、給油しないで…家まで足りるか足りないかだなあ
・物価の上がって…家賃も高うして、毎月カスカス…給料の上がらんかいな
→物価が上がって…家賃も高くて、毎月やっとこさ…給料が上がんないかな
【博多・糸島弁検索】
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