ごたえ
【標準語】身体、体格、健康、苦労
【品詞】名詞
【意味】
(1)「身体」の「ごたえ」
《意味》
・がたい、五体
・頭・首・胸・手・足、筋・血脈・肌肉・骨・皮、これら各部位、部位すべて
《参考》不潔な足や無作法に投げ出した足などを罵って言うときにも使う
《用例》
・宇宙飛行士な…訓練なもちろん、適正かどうか…ゴタエの検査もあるげな
→宇宙飛行士は…訓練はもちろん、適正かどうか…五体の検査もあるらしい
・腕の力だけや…なか、ゴタエ全体で投げらなあ…ピッチャーいななられん
→腕の力だけじゃ…ない、身体全体で投げないと…ピッチャーにはなれない
・きしゃなかゴタエば…テーブルの上い乗しなんな、ほんにい…行儀の悪か
→汚い投げ出した足を…テーブルの上に乗せないで、本当に…行儀が悪い
(2)「体格」の「ごたえ」
《意味》体つき、背格好、筋骨、スタイル
《用例》
・あいつは柔道家で立派なゴタエばしとるばってん、頭な悪かと…馬鹿やもん
→あいつは柔道家で立派ながたいをしているけど、頭は悪いんだ…馬鹿なんだ
・あんた良かゴタエしとうなあ、天神やらそうつかんで…自衛隊い入らんな?
→あんた良い体つきをしてるね、天神なんかうろつかずに…自衛隊に入らない?
・ああた…顔もゴタエも好かけんもちょ?うちの店で…ホストばせん?
→あなた…顔もスタイルも良いからモテるでしょ?うちの店で…ホストをしない?
(3)「健康」の「ごたえ」
《意味》身体の具合、健全な心身
《用例》
・独り暮らしやけん…滋養のあるとば食うて、ゴタエいな気ばつけときないよ
→独り暮らしだから…滋養のあるものを食べて、健康には気をつけるんだよ
・わっか時い無理して…ゴタエば壊いた?放蕩して…ゴタエの悪うなったっちゃろ
→若い時に無理して…健康を壊した?放蕩して…身体の具合が悪くなったんだろ
・妊娠した?無理しなんな、これから産むっちゃけん…ゴタエば大事いしない
→妊娠した?無理するなよ、これから産むんだから…健康を大事にしなさい
(4)「労働」の「ごたえ」
《意味》労力、体を動かすこと
《用例》
・あの店の奥さんな…嫌な顔ば一つもせんで、ゴタエば惜しまんで…よう働きなさあ
→あの店の奥さんは…嫌な顔を一つもせずに、労力を惜しまないで…よく働いている
・借金のあるけん…ゴタエかんまんで働きよったが、ゴタエば壊いてしもうた
→借金のあるので…苦労構わずに働いていたが、病気になってしまった
【参考】「ごたい」「がたい」は標準語
イラストによる状況解説
【翻訳】
「おおう…どうだぁ?鍛えてるだろ」
「ごたえ」に関係する言葉
ごたいされ
【標準語】怠け者
【品詞】名詞
【意味】よく怠ける人、無精者、なまぐさ
【参考】由来は諸説ある
(1)「五体死に(ごたいしに)」の音変異説
・身体を死んだように動かさない人に、侮蔑を意味する「され」をつけた
(2)「五体惜しみ(ごたいおしみ)」の音変異説
・手足を動かすのを惜しむ人に、侮蔑を意味する「され」をつけた
(3)「五体腐れ(ごたいくされ)」の音変異説
・手足が腐れているように動かない
(4)「御大身(ごていしん)」の音変異説
・身分が高く、ちっとも働かない人に、侮蔑を意味する「され」をつけた
【関連】
・大分を中心とした豊後弁では「ごていしん」や「ごてしん」という
・九州北部の一部地域では「ごてくされ」という
【用例】
・うちの息子な…いっちょん手伝いなれん、でけそこないで…ゴタイクサレたい
→うちの息子は…ちっとも手伝わない、不良者で…無精者だよ
・あの店な…嫁ごのこごたいのいごきなあもん、旦那あゴタイクサレで…仕事しなれんと
→あの店は…奥さんが気が回って対応も早い、旦那は無精者で…仕事しないんだ
・専業主婦んとい…家事一切な旦那のあたし、しもうた…ゴタイクサレと結婚してしもうた
→専業主婦なのに…家事一切は旦那の私、失敗した…怠け者と結婚してしまった
こごたい、こごたえ
【標準語】身体、身のこなし
【品詞】名詞
【意味】
(1)「身体」の「こごたい」
《意味》体、五体、頭からつま先まで
《参考》「身体」という意味では「ごたい」と同じ
《用例》
・ああた…よかコゴタイしとうが、どえなスポーツで…筋肉ば鍛えよると?
→あなた…好い身体しているけど、どんなスポーツをして…筋肉を鍛えているの?
・背も高っか…肉付きも良か、食いもんのようなって…子供のコゴタエの大きゅうなっとう
→背も高い…肉付きも良い、食べ物が良くなって…子供の身体が大きくなっている
(2)「身のこなし」の「こごたい」
《意味》身体の動き、身動き
《用例》
・あの選手な…コゴタエのよか、スポーツ推薦で…うちの高校に来なれんかいな
→あの選手は…身体の動きが好い、スポーツ推薦で…うちの高校に来ないかなあ
・あのコゴタイ…ただもんやなかばい、ボーっとしとうごたあが…殺気ば感じる
→あの身のこなし…ただ者じゃないぞ、ボーっとしてるようだが…殺気を感じる
【同義】
・こごたい、こごたえ
・主に糸島を中心に使われ、博多弁としてはあまり使われていないようである
【類義】ごたえ
・「こごたい、こごたえ」は身体だけではなく、その動きの意味も含まれる
「こごたい、こごたえ」を使った言葉
こごたいのいごく、こごたえのいごく
【標準語】よく動いて働く、よく気が回って対処する
【品詞】動詞
【意味】
(1)「よく動いて働く」の「こごたいのいごく」
《意味》身を惜しまず働く、身のこなしがよい
《用例》
・あらあ…コゴタイノイゴク、ごたいかんまんで仕事しなあけん…心配しよう
→あいつは…動くのを惜しまず働く、疲労をおして仕事をするので…心配している
・あの選手な…コゴタエノイゴクなあ、こまかばってん…良か選手いなるばい
→あの選手は…身のこなしが良い、背は小さいけれど…良い選手になるぞ
・あっちの養子な…コゴタエノイゴク、見とって可哀想かごと…仕事しなあ
→あちらの養子は…身を惜しまず働く、見ていて可哀想なくらい…仕事している
(2)「機転を利かせて対処する」の「こごたいのいごく」
《意味》気を利かせて即座に対応する、よく気が回って対処する
《用例》
・そらあ…売れっ子いなるくさ、あのマネージャーな…コゴタイノイゴク
→そりゃあ…売れっ子になるよ、あのマネージャーは…気が回って対応も早い
・コゴタエノイゴクたあ…出世するばってん、リーダーいなるたあ…あんまとおらん
→即座に対応するやつは…出世するけど、リーダーになるやつは…あまりいない
・責任者な…あれいしとき、コゴタイノウゴクけん…任せとったらどえんかしなあ
→責任者は…あいつにしな、機転を利かせて対処するから…任せてたら何とかするよ
【同義】こごたいのいごく、こごたいのうごく、こごたえのいごく、こごたえのうごく
【参考】
・「こごたいのいごく」→こごたい(身体、身のこなし)+いごく(動く)
・他の同義語は「こごたいのいごく」の音変異
イラストによる状況解説
【博多・糸島弁検索】
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