さばくる
【標準語】櫛をかける、処理する
【品詞】動詞
【意味】
(1)「櫛をかける」の「さばく」
《意味》捌く、髪をとかす、髪を梳(くしけず)る
《用例》
・「髪ばサバクけん…櫛ば貸いちゃり」「ああた…サバクごたあ髪ななかろうもん」
→「髪をとかすので…櫛を貸してくれ」「あなた…とかすような髪は無いでしょ」
・うちの娘な…髪の毛の多か、髪のブラシい絡むけん…サバクといほにょっとする
→うちの娘は…髪の毛が多い、髪がブラシに絡むので…とかすのに骨が折れる
(2) 「処理する」の「さばく」
《意味》ごたごたした物事や複雑なことを適切に処理する、卸す、売り切る
《用例》
・あれば…仲介い立てない、離婚やら借金やら…もめ事な上手いサバク
→あいつを…仲介に立てなさい、離婚や借金なんか…もめ事は上手に処理する
・総菜な…売れ残ったっちゃしょんなかけん、サバクとい…18時から割引ば始むる
→総菜は…売れ残っても仕方ないので、売り切るのに…18時から割引きを始める
【参考】
・「さばく」の由来は「分ける」の古語「わく」の音変異
・語調を整える接頭辞「さ」がついた「さわく」が変化したと考えられる
・本来は、 入り乱れているものを選り分ける、解きほぐす、魚などを解体するなどの意
「さばく」を使った言葉
さばくる
【標準語】仕事ができる
【品詞】形容動詞
【意味】仕事が着々と進む、仕事のはかがゆく、仕事が片付く、進捗する
【参考】
・「さばくる」→さばく(処理する)+る(助詞の「る」で可能を表わす)
【対義】さばくれん、さばけん
《意味》もたもたする、捌ききれないなど
【用例】
・ずっと天気のよかけん…畑仕事のサバクル、ばってん…ごたえの節々のこわって痛か
→ずっと天気がいいので、畑仕事のはかがいく。でも…身体の節々が筋肉痛で痛い
・あらあ頭の良うして…仕事もサバクル、おまけい人い好かるるけん…出世するばい
→あいつは頭が良くて…仕事もできる、おまけに人に好かれるから…出世するぞ
・仕事もサバクル…あすびも恋愛関係もサバクル、おらあ…あんかとがいっちょん好かん
→仕事も出来る…遊びも恋愛も上手にこなす、おれは…あんなヤツが大嫌いだ
さばかす
【標準語】はかどらせる
【品詞】動詞
【意味】仕事を上手に進める、仕事を着々と仕上げる、仕事を片付ける、進捗させる
【用例】
・来週から…別の工事の入るけん、今週までいサバカイとかなあとばってん…終えん
→来週から…別の工事が入るので、今週までに片付けなきゃいけないけど…終わらん
・困った時の…助っ人たい、あいつい任いとったら…確定申告までいなサバカス
→困った時の…助っ人だ、あいつに任せていたら…確定申告までには片付けちゃう
・今日な…打ち上げばい、5時までい仕事ばサバカイて、生ビールば飲みい行くぜ
→今日は…打ち上げだ、5時までに仕事を仕上げて、生ビールを飲みに行くぞ
さばくれん、さばけん
【標準語】仕事ができない、捌ききれない
【品詞】形容動詞
【意味】
(1)「仕事ができない」の「さばけん」
《意味》もたもたと仕事する、のろい仕事ぶり
《用例》
・今度のバイトな…いっちょん気の利かん、サバクレンけん…トラブルも多か
→今度のバイトは…ちっとも気が利かない、もたもたするので…トラブルも多い
・お客の注文しよろうが…しかしか動け、ほんにサバケン男やね…まちっと気ば配れ
→お客が注文してるだろ…キビキビ動け、本当に出来ない男だな…もう少し気を配れ
・頭あ良かが…対人恐怖症でおまけい常識のなか、サバケンどころか…させられん
→頭は良いが…対人恐怖症でおまけに非常識、仕事ができないどころか…させられない
(2)「捌ききれない」の「さばけん」
《意味》物理的に処理する量が多すぎる、どうしようもない、終わらせるのは無理
《用例》
・2人で…今日中い終わらせれって?無理、量の多すぎて…2人じゃサバケン
→2人で…今日中に終わらせろだと?無理、量が多すぎて…2人じゃどうしようもない
・そえんたいそ仕事ば受けて…つぁーるもんかい、人手不足で…とてもサバクレン
→そんなにたくさん仕事を受けて…駄目でしょ、人手不足で…とても対処できない
・いくら札束ば積まれたっちゃ…でけん、とても期限までいな…でけん、サバクレン
→いくら札束ば積まれても…出来ん、とても期限までには…出来ん、終わらせるのは無理
【対義】さばくる
《意味》仕事ができる、仕事のはかがゆく、仕事が片付く
さばけたあ、さばけちゃあ
【標準語】てきぱきしている
【品詞】副詞
【意味】さばけている、仕事をてきぱき仕上げられる、要領よくできる、賢くて活発
【参考】
・さばけたあ→さばけ(仕事ができる)+たあ(ている)
【用例】
・糸島議員い相談した?あのひたあサバケタアけん…すぐ解決する、腹あ黒かばってん
→糸島議員に相談した?あの人は要領よくできるから…すぐ解決する、腹は黒いけど
・お義母さんなしょうな悪かが…サバケチャア、好かんばってん…家のこたあ任いとう
→お義母さんは性格は悪いが…賢くて活発、嫌いだけど、家のことは任せている
・営業の西新さんな…えらいサバケチャア、あの人い頼うどったら…間違いななか
→営業の西新さんは…とても捌けている、あの人に頼んでいたら…間違いはない
さばけもん
【標準語】切れ者
【品詞】名詞
【意味】仕事ができる人、仕事をてきぱきとこなせる人
【用例】
・あの大臣なサバケモンってやが、人望ななかけん…総理大臣いはなりきりめえや
→あの大臣は仕事ができる人らしいが、人望がないので…総理大臣にはなれないだろう
・あの議員秘書…えらいサバケモンやけん、議員の片腕やのうして…議員より力のある
→あの議員秘書…すごい切れ者だから、議員の片腕じゃなくて…議員より力がある
・若社長な馬鹿ぞうで…スタッフなサバケモンやけん、いいつか…会社ば乗っ取らるるばい
→若社長は愚か者で…スタッフはできるやつだから、いつか…会社を乗っ取られるぞ
イラストによる用例解説
【翻訳】
「間違いは、修正しといたから…、コピー済んでるよ、
プレゼン資料はUSBに落としといた…、データは転送している、
はーい!販売計画書できてるよー、はい!計算書完成!」
「仕事ができる人だもの…」
「すご~く、てきぱきしてるーっ」
【博多・糸島弁検索】
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