ふうくる、ふうける、ぼける
【標準語】夢中になる、意識が鈍る
【品詞】形容動詞
【意味等】
(1)夢中になるの「ふうくる」
《意味》悪事や博打、遊興、色事などに熱中し、溺れること
《用例》
・わっかとっから真面目で…遊んどんなれんけん、定年前い風俗いフウケテ…手い合わん
→若い時から真面目で…遊んでないもんだから、定年前に風俗に溺れて…手に負えない
・初めと競艇い行て…大当たりしたもんやけん…博打いフウクルうて…借金地獄たい
→初めて競艇に行って…大当たりしたものだから…博打に夢中になって…借金地獄だよ
(2)意識が鈍るの「ふうくる」
《意味》正常な判断を失った言行をする、 頭の働きや知覚が鈍くなる
《用例》
・病気で奥さんば亡うなかいて、仕事ば辞めて…引き籠って、フウケタごとなっとんなあ
→病気で奥さんを亡くして、仕事を辞めて…引き籠って…無気力な状態になっている
・ひさしかぶりい会うたら…俺が誰か分かんなれんごたあ、フウクルごたあ歳でもなかとい
→久し振りに会ったら…俺が誰か分からないようだ、ボケるような歳でもないのに
【同義】ふうくる、ふうける、ぼける
【参考】語源は「ほうける(呆ける、惚ける)」
【関連】「ふうける」に関連することば
(1)「ふうけとる」→夢中になっている、意識が鈍っている
《意味》
・悪事や博打、遊興、色事などに熱中し、溺れる様
・正常な判断を失った状態、 頭の働きや知覚が鈍い様
《参考》ふうけ(溺れる・判断できない)+とる(ている)→惚(呆)けている
《用例》
・博打いフウケテ、嫁い逃げられ…財産も失うとうとい、馬鹿やけん…まーだフウケトル
→博打に夢中になって、嫁に逃げられ…財産も失ったのに、馬鹿なので…まだ溺れている
・えらいしこ借金のあるくせい…事業拡大やら自殺行為やが、社長なフウケトンナア
→ものすごく借金があるのに…事業拡大なんて自殺行為だ、社長は正気の沙汰じゃない
(2)「ふうけもん」→惚(呆)け者
《意味》痴れ者、愚か者、馬鹿者、あほう、うすのろ、役立たず
《同義》ふうけもん、ほうけ、ほうたれ
《参考》語源や由来について
・ふうけもん:ふうけ(溺れる・判断できない)+もん(者)→痴れ者
・ほうけ:「ほうけもん(惚け者、呆け者)」を簡略したいいかた
《用例》
・資産家やったが…息子がフウケモンやけん、騙くらかされて…財産のそうようのうなった
→資産家だったが…息子が馬鹿者で、騙されて…財産をすべて失ってしまった
・議員ば引退して…長男が立候補するげなばってん、あらあホウケやけん…おらあ入れん
→議員を引退して…長男が立候補するらしいけど、あいつ阿呆だから…俺は投票しない
(3)「ほけのごと」→惚(呆)けの如く
《意味》ぼんやりとする様、頭の働きが鈍い状態、素知らぬ様子
《参考》語源や由来について
・ほけ(呆け・惚け)+のごと(~の如く)→呆け(惚け)のように
・ほけ(湯気)+のごと(~の如く)→はっきりしないように
《用例》
・家賃ば滞納しとうとい、会うたっちゃホケノゴトしとうが…払わんつもりやなかろうね
→家賃を滞納してるのに、会っても素知らぬ振りだが…払わんつもりじゃないだろうな
・生活指導の…やかましもんの先生やったが、歳ば取んなって…ホケノゴトなっとんなった
→生活指導の…口うるさい先生だったけど、歳を取ってしまい…呆けたようになってた
イラストによる状況解説
【翻訳】
上:「競艇で100倍にしてきてやる」
「それは…子どもの給食費なのよ、持って行かないでー」
「博打はやめて…」「父ちゃん…」
下:「競艇で100倍にしてきてやる」
「それは…私のマスクだよ、持って行かないでー」
「昔は泣かされてたけど…呆けてしまっちゃった」「爺ちゃん…」
【博多・糸島弁検索】
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